恋愛かくれんぼ

恋愛かくれんぼ・デートノート2010①

投稿日:2021年6月28日 更新日:

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彼女はT子、彼はK君。

ふたりは同じ高校の1学年違いで、15歳と16歳の出会いだった。

T子新入学の春が終わる前に、お互い好きになっていた。

それから2年後、K君が一足先に卒業した。

大学浪人生となったK君は、前ほどT子に構わなくなった。

ひとりでいるのがつらかったT子は、K君以外の男の子ともずいぶん仲良くした。

K君もまた、T子以外の女の子と仲良くすることがよくあった。

そんなふうにして45年の月日があった。

K君が61歳で病死するまで、ふたりの仲は途切れ途切れに続いた。

その45年のうち、最後の12年間に、ふたりはメールのやりとりをした。

それが膨大な交信記録となって、T子の手元に残っている。

交信のはじまりは2004年。

T子の名刺にメルアドが記載されており、それを捨てずに持っていたK君がアクセスしたのだった。

ふたりが言葉を交わすのは、数年ぶりだった。

そして6年がたち、今は2010年──。

【2010 July】

●K君──Kです。

如何お過ごしですか。

石井監督の新作『ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う』の現場が5月に終わり、早ふた月。

すでに回転をやめた独楽。

転がらない石に苔は生える。

ああ、日雇いプロデユーサーよ。

昼の羽根木公園に所在無く居れば、世田谷のセレブ犬どもが、一瞥くれて行き過ぎる。

ほら、野良人!

絶対に俺より良い暮らしをしているに違いない犬ども。

野良人です。

…………………………

●T子──マンション売って、実家で母と暮らすことにした。

思いのほか高く売れたよ。

ローン残額を精算して、1000万くらい残る。

来月お盆休みに所有権を移し、小さな引越しをします。

今度は井土ヶ谷の実家。

当分そこにいるつもり。

追い出されないといいけどなあ。

☆☆

書く仕事は続けるよ。

幸い、ヒマだし、今みたいにテレビ観ながらゴロゴロしてらんないから、自室でひたすら考え、小説を書くことになるでしょう。

☆☆

次はキャッシュでマンション買うんだ。

あるいは、素敵な邸宅が建ってしまうかも。

私の名前で本を出し、そこそこ売れてくれれば、ね。

☆☆

そちらは、好みにあう仕事がたまにあるようで、よござんした。

近況を知らせてくれて嬉しうござんす。

生き延びましょう。

【2010 August】

 (T子記す)

明日はKの誕生日。

Kより3万借金の申込メールあるが、黙殺。

【2010 October】

(T子記す)

Kは家を追い出されて徒歩で横浜方面へ向かう途中、T子実家に電話をかける。

T子の母が応対。

T子はその旨母から聞いてKの携帯にかける。

Kは「安酒飲ませてれ」

T子は「急な話なので対応できない。横須賀の実家へ行け」と断る。

……………………

その数日後、T子は大連へ旅行。

……………………

(T子旅行から戻り)

「その後どうしましたか。大丈夫ですか。大丈夫ならいいんです」

とKの留守電に残す。

……………………

翌日Kより電話あり。

都内自宅から横須賀の実家まで24時間歩いたとのこと。

その翌日、T子は横須賀で旧友Uちゃんと会うことになっていたので、ついでにKと飲むことを決定。

【デートノート① 2010.10.30〜11.1 24時間】

(T子記す)

午後4時、汐入駅でKと待ち合わせ。

会うなり、「美人度あがったじゃん」とKが言う。

私は「なにか魂胆あるんでしょ、お金貸さないわよ」と返し、Kと腕を組む。

台風のなかを相合い傘で歩き、今夜はシティホテルに泊まることを即決定。

(ふたりとも、そのつもりで準備していた)

☆☆

ドブ板のバーでワイン飲む。

Kのオゴリ。

バーに入ってコートを脱ぐと、また「きれいだ」と言われる。

私が乳がん手術後に再建手術をした胸のことが気になるのか、Kは胸元に視線をやる。

☆☆

Kの実家での話など聞く。

ドブ板のHOTEL横須賀にチェックイン。

支払いは私のAMEXで。

ホテルロビーに、ジャーナリスト風の外国人が大勢いた。

☆☆

横須賀中央駅周辺へ移動し、Uちゃんたちと飲む。

割り勘。

Uちゃんにケータイでふたりの写真を撮ってもらう。

(ふたりとも同じことを考えていた)

☆☆

HOTELに戻り、部屋で飲む。

(コンビニで買ったワイン)

先にお風呂はいっちゃった、と私。

平気、うちは女の子多いから、待つの慣れてる、とK。

その夜、交わる。

ディープキス。

久しぶりだから恥ずかしいんだろ、とK。

私は久しぶりの交わりなので、人生初の処女出血。

(15歳当時の処女喪失のときは出血しなかったから、これが人生初)

シーツにも鮮血。

かなり痛かった。

ついでに言うと、いけなかった。

イケなくても幸せ。

フェラチオするの好き?とK。

相手による、と私。

いけなかっただろ。

いいの、幸せだった。

☆☆

起き上がって話に夢中になっていると、「裸きれいだな」とK。

☆☆

翌朝、二日酔いの私のために、Kはコンビニでオレンジジュースとコーヒーを買ってきてくれる。

K君もコーヒー好きでしょ、飲みなよ。

ところがKはもう酒を飲んでいる。

1パック100円の「鬼ころし」という酒を持ち歩いているらしい。

☆☆

鏡の前で化粧をしていると、「後ろ姿も見せてくれ」とK。

朝、再び交わる。

ねえ、もう一度する?

見たい。

お見せするほどきれいじゃない。

だからいいんじゃないの? 俺ここからはじまったという気がするんだ。

私があんたを産んだわけじゃない。

締まって、痛い。

☆☆

Kは痩せた。

私が大好きだった「カリ」も小さくなった。

性的パワーが落ち、なかなかイカなくなった。

☆☆

チェックアウト後も名残惜しく、汐入から久里浜へ、そしてフェリーで千葉へ。

船上で水平線の光を眺めていると、「死んでもいいかな、あんたと一緒だし」という気になり、私はKにそう言った。

☆☆

千葉の寿司屋。

Kは酔って、ちょっと泣く。

「おふくろは生前のおやじを大事にしなかった」と盛んに怒って泣いている。

現在の自分の境遇と重ね合わせているのかも。

☆☆

フェリーで久里浜に戻る。

あいつ、女の体のことまるでわかってない。今まで何してたんだか。仕方ないから私、ベッドのなかでもフェリーでも、いろいろレクチャーしてしまったよ、笑い話にして。

☆☆

おっぱい、いいけどチト硬い、とK。

このシリコン、ダブリンから来てんの。

だからさあ、フランス製かなんかでもっと柔らかいのはないのかな。

大事なのは乳首だよ、「性感のために」ってせっかく先生が乳首を残してくれたけど、感度は以前の10分の1に落ちたね、乳首は子宮に直結してるの、乳首吸われると血が下半身に集中してバイアグラでも飲んだような状態になる、子宮もクリも3倍くらいに大きくなるらしい、でもって充血するからいける。

☆☆

○○○の社長とのことも話してしまった。

東京で口説かれて横浜でデートしたこと、「僕2週間に1度くらいしか勃たないよ」「ウソ!?」の話、「T子、T子、T子!!」と3連呼してイッた話、ワイシャツの衿に私が口紅つけちゃったからホテルの洗面所で一生懸命洗ってから帰った話、など。

☆☆

フェリーの中で、私もKも疲れてぐったり。

ときどき海を見ながら、頭をのけぞらせて寝る。

☆☆

昨晩Uちゃんたちと飲んだとき、あんた私のこと「昔は可愛かった」と力説してた、でもって私の寝顔が好きなんだって? 起きてるときは何言い出すかわかんないから?

今、シワはあるけど、いい女だ、ホテルにいるときよりも今の君が好きだ。

ホテルではあんまり好きじゃなかったの?

☆☆

船から降りると、「おまえといると楽だ」とKが言う。

☆☆

タクシーで野比駅へ向かい、そこで別れる。

別れの抱擁。

24時間一緒にいて一度も喧嘩しなかった。

ずっと恋人モードだった(古い恋人)。

素直に気持ちを語れた。

Kも少し、語ってくれた。

やさしかったし、ほめてくれたし、こうあってほしいと思う彼でいてくれた。

こんなにやさしかったのは、Kも相当弱っているから?

久しぶりに会えてうれしかったから?

お金借りたかったから?

おそらく、すべての要因が重なったのだろう。

かつて、ひどいこといっぱいされたけど、そうされるような荒れ方をしていた私も悪い。

だから、ごめんね。

あの頃はお互い、荒れてた。

私がもっと賢くて、大学にでも通いながらおとなしく待っていればよかったとは思う、かなりむずかしい選択だが、とKに伝えた。

☆☆

Kは「下腹部が痛い」と言う。

「生活苦から病気になった? 私が一緒なら徹底的に守ってあげたのに」と冗談かましたら、Kは「ほかのところが悪くなっていたかもしれない」だと。

☆☆

結婚したのはタイミング、そのとき彼女がそばにいたからだ、とK。

男はみなそう言うが、その心理が女にはわからない。

【2010 November】

(11月1日、T子誕生日)

●K君──おめでとう!

20年振りの横須賀のデートだったね。

40年の時間が、あるんだ。

今宵、

万聖節。

……………………

(T子記す)

横須賀時代に別れたあとも、あんたはたまに電話をくれた。

でも会おうとしなかった。

このまえ会ったときは、私25歳だったと思う。

だからおよそ30年ぶりなのに。

……………………

●K君──処女と夜獣

野獣です。

(昨晩撮ってもらったふたりの写真をケータイから送信してきた)

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