恋愛かくれんぼ

恋愛かくれんぼ・デートノート2012③

投稿日:2021年8月3日 更新日:

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【デートノート⑨ 2012.1.7〜1.9 50時間】(後編)

(T子記す)

翌朝、カナディアン・クラブとYou Tube。

ジェーン・バーキンの曲名を聞かれ、「ジュテーム」と教える。

アラン・リックマン出演のMPVも観る。

素敵でしょ。

ヨーロッパのすてきなおじさん、とKも賛同。

☆☆

そろそろ帰らないと迷惑だろ、仕事だろ、とKは言っていたけれど、「休みの日は朝から飲んで遊べて楽しい」と私が伝えたら、「今日は夕方までここにいて、夜はバーガーキング、そうすれば問題ない」とK。

どうぞお好きなように、と私。

☆☆

菊池成孔の曲に付随している映像は、トニー・レオンとチャン・ツィイが出演している映画の一場面。

石井さんにはこういうのが足りない、すぐ強姦しちゃう、だけどそんなことしなくても、こういうふうにドキドキする場面は撮れるんだ、とKは感心することしきり。

☆☆

「スープ飲みたい」と言うので、キャベツの残りとチャーシューを刻んでスープを作った。

味付けは塩コショウと、醤油を少し。

おいしくできた。

はやいね、チャーシューがいい味だしてる、とKは喜んで食べてくれた。

Kはコロッケサンドイッチもパクパク食べる。

☆☆

宇崎の横浜ホンキートンク、うまい、自由自在に歌いこなしている、さすが音楽家。

松田優作も原田芳雄も足元にも及ばない、作曲者のエディさんよりうまい。

沖縄ベイブルースは、基地がなければ生まれなかった曲、俺たちやっぱりアメリカの占領下に生きている。

そして、恋のかけら、これを聴きながら私はKの肩に頭をもたせかけていた。

名曲だよ、とK。

オハラの場面を書くなら、音楽はこれ、と私。

☆☆

どんどんのってくる。

お酒がすすむ。

GSもいろいろ聴く。

☆☆

ジョージ・ワシントンの乗組員が船上でウクレレ弾いて自作の歌を歌っている動画も観た。

「横須賀ホンキートンクブルース」なんていうのもあったけど、歌詞の「橫浜」を「横須賀」に替えただけだった。つまんない。

ジャガーズだったかダイナマイツだったか、メンバーの1人が「村八分」となって音楽業界に残り、「はっぴいえんど」とも一緒にやっている、嘘だと思うなら聞いてみろよ、あいつらに、とK。

あいつらって、○上ちゃんやパ○、カ○リなど、バンドの連中?

(Kは彼らの存在を意識しているのか?)

☆☆

「2時間遊んだ」とKは言い、酔ってまた寝てしまう。

私もつられて眠った。

☆☆

数時間後。

あんたよく寝るね。

ここでは寝るしかないもん。

悪かったわね。

☆☆

Kは入浴。

風呂あがりの顔と手にクリームを塗ってあげる。

シャンプーした髪にニベアをつけるK。

ヘアクリームはないかと言うので、貸してあげる。ヘアムースも勧める。

☆☆

今回はあまり寒い思いをさせずにすんだ。

エアコン強風にすれば暖房効果が高いと気づいたから。

キッチンのクッキングヒーター弱で湯を沸かし続け、暖房オイルヒーターもスイッチオン、睡眠時はエアコン静音にした。

☆☆

ここでバイバイがいいかと聞くと、おまえは?と聞き返すK。

買い物に出るから駅まで一緒に行くと言うと、Kは嬉しそうだった。

☆☆

アパートでKが言った、「今年は決着つける」と。

書く仕事のことかと思ったら、離婚のことらしい。

金があっても別れていただろう、と。

今はお金がないから別れられないけど、手切れ金を払えば別れやすいってこと? どうもそうではないらしい。

経済状態が悪化して夫婦仲が悪くなったが、お金があっても別れたくなっただろうということかしら。

お金があればとっくに一人暮らしをしていた、あるいは、もっと早くT子と横浜でデートして復縁していた、ということかしら。

☆☆

外に出た。

女流脚本家から電話が入っていた、とKが言う。

「星の○貨」を書いたひと。

そのひとにも面倒みてもらえば? ただで会わないでさ、でも仕事の依頼かもよ?

そんなような動きはたしかにあった、とK。

(T子記す)

私の実感でいうと、ワンルームマンションで一人暮らしが一番快適で、書ける。

2LDKマンションを所有して、生活があまりに快適だと、かえって書けない。

だって、BS旅番組を毎日何時間も観てしまうから。

「書くしかない」という環境に自分を追い込むことがベスト。

Kが「ゴミを出せ」と言ったので、出した。

Kもこの近所の道をだいぶ覚えたみたい。

だけどいきなり来たりしないでよ、居留守つかうよ。

☆☆

新人賞の賞金でバリ島に行くんだよね、と私。

そのときそういう気分かどうかわからない、とK。

でもどこか旅行に行きたい、私は今なんにも借金ないから、旅にお金つかう。

☆☆

同じマンションの中に住もうよ、私はいとこのウーちゃんと同じマンションだったとき便利だった。

それじゃ近すぎる、うるさいから居留守つかう。

(すぐそうやって対抗意識むきだしにするんだから)

電車で1時間くらいの距離がちょうどいい、とK。

だけど実際に仕事で書き出したら、やりとりすることいっぱいあるよ、メールだけでは足りないよ。

☆☆

おまえのアパートに来るのはこれが最後だろう。

どうして最後なの? 自分で部屋を借りるから、もういいってことなの?

俺は盛り返す、三浦に一軒家を借りようと思ってる、そうすればおまえもここから抜け出せる。

(これを聞いて、Kという男のたくましさを感じた)。

家を借りて、私に一部屋くれるっていうの? 同じマンションに住むよりも近いじゃん。

(Kは笑いながら肯定)

大きな家だからだいじょうぶだと思う、俺は三浦では名士だ、三浦についていろいろ書くから。

となると供物がいろいろ届くね、野菜と魚は買わなくていいね。

K笑。

あなたのよろしいように、と私は言っておいた。

☆☆

今年は抜け出す、盛り返す、と断言するKに底力を感じる。

だけど私は、母のために井土ヶ谷にいたい。

それに、大好きな横浜を離れることなど、できそうにない。

Kとはもちろん結婚したい。

一緒に住むのも楽しそう。

さてどうするか、というよりも、どうなるか。

今はただ見守るのみ。

☆☆

この前と同じ蕎麦屋で一杯やろうかと思ったが、今日は休みだった。

駅裏の中華料理店へ。

台湾出身の夫婦がやっている店だった。

穴場だ、とKは言う。

肉料理、鍋料理、酒、紹興酒、そしてKはここでもご飯を食べた。

(私は鍋料理の残りを持ち帰ることにした)。

しかしKは自分の気に入るものしか箸をつけようとしない。わがままなのだ。

☆☆

Kは機嫌もよく、作家になってからのあれこれを話す。

著者近影はドブ板で皮ジャンを着て、とK。

皮ジャンはおかしい、背景は武山でいいよ、と私。

K笑。

☆☆

平○書房でのサイン会、出身校での講演にも応じる、金とれないけど、とK。

講演が一番稼げる、私は人好きのするキャラだから玉代、花代がアップする、相場20万のところが30万になる。

それじゃ芸者じゃねえかよ。

☆☆

巻き返して金ができたら網走へ取材に行きたい、おまえつきあえよ。

(とKは言いながら、照れている)

うん、だけど新人賞の賞金で網走に行くのはいやだよ。

そうじゃないよ、とK笑。

道中で台詞を考えるんだ、とKは楽しみにしている様子。

☆☆

今はまだ1月で、賞が来るまであと3ヶ月半もある、と私。

K笑。

賞をとったときの言葉をオレが考えておく、とれなかったときの言葉はもっとむずかしい、とK。

とっても、とれなくても、書き続けていくことに変わりはない、と私。

☆☆

○○出版の○○さんと、その後なにか話したか?

このまえ友達みんなと会ったとき、○○さんの妻・悦○に伝えた、ダンナの会社に企画書メール送信したと、それから、私がお正月は母とホテルで過ごしたと言ったら、親孝行ができたねと悦○は言っていた、○上ちゃんは「なんだお正月は彼氏と一緒じゃなかったのか」とちょっと妬いていた、あんたにいちいち言わなかったけど、みんな「Kさんによろしくね」「また会いましょう」と言ってたよ、やさしいでしょ。

うん。

☆☆

企画書の書き方について話す。

1秒で伝わるようにしないとダメだよ、「エピローグでヘンリー監督について書く」とあったけど、たとえば「ヘンリーは日本のコッポラだ」というように書かないとね。あんた飲んで書くからだめなんだよ。

うるせえな。

(だが私のこの提言は、Kの胸に響いたらしい。「校正リライトが終わるまで断酒する」と神妙なことを言い出したところをみると、執筆時は飲まないほうがよい、とわかったのかもしれない)

☆☆

あんたはルポルタージュに向いている、小説には向かない(センスが)。

うるせえな、だけどルポも自分に強烈に引きつけて書かないとだめなんだぞ。

うん、昔『プレイボーイ』でルポの大賞とった女性がそうだった。

知ってる。

☆☆

おまえのうちにコンビーフあったな。

あれは非常用の食料、震災のときには乾パンなんかよりも高カロリーのものが必要だからと母にも言って、コンビーフやなにかの缶詰を備蓄している、あたし頭いいでしょ、母は明治屋の缶詰じゃなきゃいやだと言うけど、そんなこと言っていないで古いものから食べていかないと悪くなっちゃうよね。

☆☆

母はどうも1日ずれる、月曜なのに火曜と勘違いしていたりするのよ、カレンダーのせいだね、今はデザイナーが若いからJanualy,Mondayと英語で表記する、この前の戦争でアメリカに負けたせいもある、と私。

おまえ親といろいろ話せていいよな、とK。

ワールドトレードセンターがやられたときも母は、ざまあみろという気持ちがあると言っていた、世界でさんざん破壊行為をしてきたアメリカも自分がやられてみてはじめてわかっただろう、と。

☆☆

あんたもお父さんとはいろいろ話したでしょ、鴨緑江のことも聞いたんでしょ。

あれは俺が自分で調べて書いた。

☆☆

息子はもう新潟に帰ったのかな。

息子さんと話をしたの?

したよ、俺が作ったラーメン食べたりもした、俺がやろうとしてること、あいつ頭ではわかっても、という感じかな。

☆☆

おまえがゴーストライターとして書いたアンチエイジングの本、家人が読まないかなと思って家に置いてある。

家人って奥さんのことか、そうね、奥さん読んだほうがいいよ、科学的・医学的なことたくさん書いてある。

☆☆

奥さんとはこれまで何を話してきたの?

何も話していない。

そんなことってあるかしら、あんたが一方的に話していただけかな。

あいつは角川春樹事務所で働いていた、(北海道から)東京のど真ん中に出てきて仕事しているのがいいなと思った、竹内○○○の妹と友達で、その影響で幸福の科学に傾いた、何か買わされた、俺は大川隆法の本はSFとして面白く読んだが、そのことでももめた。

宗教は個人の自由でしょう。

☆☆

私、大学時代は試験落ちまくりで成績も悪かったから、私の書いた小説が三田文学に掲載されていると知ったら、教授たちはみな驚くだろうな、でも卒論だけは一発で通ってAだった。

うちの娘、卒論はA+だぞ、専門課程になってからは教科の全部がA。

誰の血だろう、あんたは理科系じゃないのに。

俺が高校のとき、地理の先生が言った、「おまえに10やるわけにはいかない、授業に出てこないから」と。

私も国語、英語、倫社は授業に出なくてもよかった、テキスト読めばいい、参考図書も身近にいくらでもあった。

数学なんか、授業に出てもわかんねえんだから。

☆☆

俺んち、武山に引っ越した当初は、近所に友達がいないから、いつもひとりで遊んでいた、地図を写したりして。

☆☆

田戸台にはオンリーさんと一緒に貸家住まいをしている米兵が多かった、私は英語で話したくて遊びにいってたけど、あやうく乱暴されそうになったことがある、でも言葉で撃退したよ、ウイアーフレンズって言ってさ、近所の知り合いの子たちも英語を習いにいって、もう少しきわどいことされたらしい。

おまえ、その話を沖縄でしてみろよ、えらい反応あるぞ。

☆☆

Kは料理屋のテレビで相撲を観る。

ゲストコメンテーターにデーモン小暮、やくみつる。

相撲番組にゲスト出演できることが羨ましいのか、「俺も相撲好きをアピールしとこうっと」とK。

やくみつる素敵ね、私はインテリの男しか好きになれない、じゃなぜ香港から来た○のこと好きだったんだ、という疑問は残るけど。

☆☆

おまえ、書くものは同工異曲でいいけど、いろいろ関心を持って視野を広げないとだめだぞ。

うん。

☆☆

75年当時の横須賀は、68年パリ5月革命の影響が尾を引いていた、欧米の動きは数年遅れで日本に入ってくるからね、その68年パリには五木寛之も行っているのよね、当時の五木氏の写真を見たらすごくきれいだった、開高健も当時のバリへ行っているけど、五木さんの写真に比べたら可哀想なほどぶちゃむくれ。

☆☆

そろそろ行こうか、と店を出る。

よかったよ、3連休どうしようかと思っていたんだ、とK。

あらそうなの、私もこれでお正月の憂さが晴れた。

そんなこと言ったら、お母さんに悪いじゃん、とK。

(だけど、母は娘に言いたい放題だったよ)

☆☆

そういえば、深田台の中央公園あたりを昔は「砲台山」と呼んでいたのだった、と思い出す私。

☆☆

母のおかげで、みなとみらいのホテルに泊まれたのは素敵だった、日の出を拝めたこともよかった、それで思い出したが、長浦のパ○別邸で、基地の向こうの海に夕日が沈むのが見えた、あんたにそう言ったら、「夕日は沈むよ昇らないよ」と言った、カ○リに言ったら「うん」とだけ、でも夕日は西に沈むものでしょ、西はあの家の裏庭の富士山の方角だよ、太平洋側に沈むのはおかしいよ、ねえ、どうなってるのよ。

Kはただ笑うだけ。

☆☆

駅で。

じゃあね、バーイ。

ありがと、とKは私の手を握った。

そして、「武山」はあと1週間で仕上げるから、と張り切っている。

それはなりゆきでいいよ、途中でリライトの仕事が入るだろうし、○○出版のほうでも動きがあるかもしれないから、と伝えた。

Kうなずく。

切符を買うKに、「寒くなってきた、気をつけて」と。

最後に目を合わせて、バイバイ。

(追記)

私はまた1万円貸した。

だいじょうぶ、盛り返すから、これで89万、とKは言った。

ここで1万渡すよりも、校正リライトのギャラを振り込むほうがいいんじゃないの? と私。

まだ仕事が入ってもいないのに、とK。

そう、じゃ貸すよ、あんたのお財布に千円しか残っていないのを、さっき見ちゃったから、あれじゃ帰れないもんね。

君に借りたお金で、子供たちみんなにお年玉、少ないけどって。

わかってる、わかってる。

よく考えてみると、去年の9月からこれまでに89万の貸し、リライト仕事2本で15万、ということは月に20万ずつ支援していることになる。それでも足りないということは、やはりあいつ金遣いが荒いのか?

Kはもう、「女房」という言葉を使わなくなった。

ドブ板時代の私たちは「うちの男」「うちの女房」と互いに言い合っていたことを思い出し、私がそうKに伝えたからか?

関連記事→恋愛かくれんぼ・デートノート2012④

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