恋愛かくれんぼ

恋愛かくれんぼ・デートノート2012⑳

投稿日:2021年8月20日 更新日:

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【デートノート⑬ 2012.3.20〜3.23 68時間】

(T子記す)

井土ヶ谷駅近くの「はぎまる」にて和食と日本酒。

燗酒をふたりで飲むとおいしい。

Kはお昼を食べていないとのこと。

朝は自宅で、がびがびになった古い飯を食べてきたと。

でも家でまったく食べさせてもらえないわけではなさそうなのでよかった。

久しぶりにちゃんと食べたというのは情けないが。

食が細いことも心配である。

酒タバコが過ぎるのだ。

☆☆

雑誌記事の執筆で筆力が鍛えられた、見出し、リード、小見出し、本文、キャプション、囲みコラム、という区分けで情報を整理することが良いレッスンになった、と私は話した。

☆☆

Kの長女の卒業パーティの写メール、受信したてのものを見せてもらう。

和服姿だった。

年齢のわりに幼く見えた。

☆☆

末娘さんが大学卒業するまでは学資が大変、でもその後はあなたも家庭から放り出されるだろう、いずれ変化が訪れる、ただし、家庭から逃げて外にいる時間が長いと身体がまいってしまうだろう、そこを何とかしないと、と私。

☆☆

若い人にとっての4年は長いけれど、私たちにとってはあっという間だよ、4年間って。

そんなに生きていられるかわからない、とK。

☆☆

金が底をついて途方に暮れた。

家にお金を入れているのに、なぜ大きな顔して家にいられないのよ、金額が少ないから?

そんなことないよ、家にいたくないんだ、顔をあわせたくない。

☆☆

奥さんは娘さんたちを連れて北海道に行ったのに、なぜ横須賀のお母さんのところへは行かないのか、さんざん世話になったのだから行くべきだろう、あんたが連れていかなければいけないのに、と私はお節介をやいてしまう。

☆☆

来月分の20万を前倒しで明日振り込む、ただし、そのぶん終わりは早く来る、と私は告げた。

☆☆

○○先生の代筆の仕事が入った、これをあんたに回すことにした、私も少しずつ仕事が入ってきているから、こうやって、だましだましやっていかないとね、デビューするまでは。

☆☆

このまま帰りなさいよ、と心にもないアクションをしてしまう私。

そしてKに電車賃千円渡す。

公園で休もう、とKは言う。

お互いに意地を張っている。

Kはいったん帰りかけたが、私が呼び止めた。

「K君、一緒にいるよ」と。

☆☆

コンビニに寄って買い物。

歩くときに、もう腕を組まない。

このまえ軽く拒絶されて懲りたから。

蜜月は終わったね、と私。

おまえと俺の? とK。

☆☆

家でウイスキーを飲む。

私はかなり酔って正体をなくした。

何をしゃべったか覚えていない。

あんたは目の前のことしか考えていない、でもそれよりももっと刹那的だったのが香港の男だ、16年一緒にいた男は私が絶対に許せないことをした、(弟の○さんとのこと言ってしまったかもしれない)、など過去の男のことをいろいろ口走ったような気がする。

そんなこと言いたくもないのに、すねてみせたのだろうと思う。

☆☆

見せろ、久しぶりに、とKに言われて大股を開く。

私は「ダーリン」と呼びかけて、しつこく噛みついた。

「噛むな」と言われてもやめないので、ややきつく叱られた。

そのままセックスになだれこみ、かなり暴れたような気がする。

☆☆

ものすごく好きな男とは思い切りセックスできない、それほど好きでもない相手とはできる、そういう矛盾や葛藤を「パリの夕焼けショー」で書きたい、など言ったかな。

そして朝明るくなってもまだ、私はなにかと騒いでいたらしい。

☆☆

恥も外聞もなく乱れて、何度もいった、いったと思ったらすぐまたいく、というマスターベーションのときと同じパターン。

しかし自分でするときのいき方とは異なるのだが。

☆☆

起きたらもう夕方4時。

私は昨夜の反省しきり。

おまえかなり酔った、なにかが取り憑いたようになって、こんなふうになることもあるのか、とK。

ワイルドになっちゃった、と私。

(Kがよく長時間セックスにつきあってくれたものだと思う。勃起まではいかなくても硬くなっていたことを私はちゃんと覚えている)

☆☆

あんたが死んでしまうかもしれないという危機感、これが最後という思いで一期一会のセックス、そんなレッスンというか心の準備をしているのかな。

☆☆

おまえ、一緒の墓に入りたいと言っていた。

私そんなこと言ったの? 覚えていない、たぶん本心じゃないと思う。

意味ねえもんな。

(私はKと結婚して同じお墓に入りたいと言いたかったのだと思う)

☆☆

俺はおやじの喉仏の骨を日本酒に沈めて飲んだ、一度やってみたかったんだ。

その骨はどうしたの、骨壺に戻したの?

さあ、どうしたんだったかな。

あんたの骨を半分分けてくれ、と奥さんに頼もうかな、それで私の橫浜霊園に一緒に入れるの、私はうちの家族と一緒にいるだけじゃつまらないのよ、死んでお墓にはいってから「つまんないよ〜」と騒いでいる夢を見ることがあるの。

☆☆

あんたとまた離ればなれになるくらいなら何だって我慢する、あんなつらい思いはもう二度としたくない。

俺が死んじゃったら?

死んでしまったら仕方ないけど、生きているのに別々なんて耐えられない、「忘れちまいな、捨てちまいな、それが身のためさ」と宇崎は歌うけど、そんなことはもう手遅れ。

☆☆

あんたもだいぶ老けてきた、と私。

眉毛に白髪が混じってきた、耳にまで白髪が生えてきたらどうしようと心配してる、とK。

30、40代のきれいな頃、一番いいところはみんな奥さんに持っていかれちゃった。

そんなことないよ。

じゃ誰が持っていったのよ? 毎日顔見ていたのは奥さんでしょ。

K無言。

☆☆

奥さんはやり方が下手だよ、「働け」と言ったって仕事がない、就活では私もプライドがずたずたになった、だから仕事をつくってあげることが大事、私は出版の仕事をまわす、奥さんは角○事務所にいたのだから映画の仕事を斡旋できないのか? そういう仕事ならあんたは頑張ってするでしょ、私が奥さんにやり方を教えてあげようかな。

同じ業界にいた知り合い同士も次々と離婚しているから、とK。

(つまり、今はとてもじゃないが「仕事をくれ」と気安く声をかけあえる状況ではないということか)

☆☆

奥さんよりも子供たちのほうが俺の本質をわかっているのだ、とKは言う。

☆☆

子供が小学校時代に、言葉を書き出す宿題に「テレサ・テン」と書いたことを、また言う。

おやじはいつも本を読んでいたよねと思っているだろう、とも言う。

だけど奥さんだって大人なんだしバカじゃないんだから、わかっているでしょ。

ばかだもん。

☆☆

子供が3人もいると大変だ、1人目はいい、だけど1人じゃさみしいかなと2人目、そこでやめときゃいいのに、女房はクリスチャンみたいになっちゃって、避妊とかしなくなった(おそらくは堕胎も、でしょ)、望まれずに生まれてきた3番目はかわいそうだよな。

(そんなこと父親が言っていいのか?)

☆☆

俺、手も足も爪を切って、へそのゴマもとってきた。

(いつもの如く、家で朝シャワーを浴びてから出てきたのね)

☆☆

私よりも美しい男はあんただけ、あんたが早稲田に受かっていたら、一緒にならないまでも、早稲田に行ったあの男と住んだりしなかったと思う、失敗した、あんたも早稲田の社会科学部を受ければよかったのに。

あの当時、私も早稲田で聴講生の真似をしていて思ったのは、大学に進めばよかったということ、だけど私が稼がなければならない状況で、なぜそうしなくてはいけないのかと考える頭がなかった、その後は横浜で自営業となり、大学に通う弟を私の事務所で稼がせた、あの子はそうやって大学を卒業した、その後ずっと経って、40過ぎてから私は自力で大学へいき、10年かけて卒業した、私は偉いんだ。

(そして今また、このじじいの面倒をみている。なんて偉いんだろう)

☆☆

Kが大学時代に書いたレポートは1本だけとのこと。

私は60本以上書いた。

☆☆

Kに政治学レポートを手伝ってもらった。

一緒に暮らした男にもいろいろ質問して手伝ってもらおうとしたが、レポートはなかなか仕上げてくれなかった。(入学時の小論文はよく手伝ってくれたけどね)

☆☆

大学の一般教養課程で意識レベルが底上げされ、専門課程で文学を体系的に学べたと思う、だけど日本史と世界史は10回も試験に落ちた、と私は告白した。

それもすごいと思うけど、とK。

(あきらめずに続けたことがすごい?)

☆☆

「トランジット」は最後にもう一度推敲して、キンコーズで出力し、すばるに送る。

おまえプリンターもないのか(と言ってKは、私を不憫に思っているような顔をした)。

今はプリンター持っていない、捨ててきたからね、今度また買うときは、モノクロのレーザープリンターがいい、インクジェットは嫌い、と私は返した。

☆☆

ゆうべKは、ごめんねと何度かつぶやいていた。

自分が情けないのだ、とも言った。

☆☆

このまえは武山を書いていたからすごく疲れていたよね、眠りどおしだった。

今のほうが疲れている。

☆☆

昼にゼロから電話があったらしいが、さらにはち○きからメールもあったのだが、気づかなかった。

ゼロに電話すると、具合でも悪かったのかと聞かれたので、「ダーリンが来ているから」と答えた。

☆☆

近くのスーパーへ買い出しに行った。

Kのリクエストは、みかんの缶詰。

☆☆

つくった食事は、しじみ味噌汁、アスパラガス、グリーンサラダ、ステーキ、パン、バター、おにぎりなど。

例によって野菜を口に運んで食べさせる。

☆☆

全身マッサージもする。

Kが横に寝ている間も、起きているかぎりは私が身体を撫でさすっている。

Kはそれを嫌がらず、おとなしく身を任せている。

☆☆

すぐまた夜になり、家で飲む。

美空ひばりをYouTubeで聴く。

うまい、いい、けれんみがある、とK感激。

日本のエディット・ピアフだね、なぜ美空ひばりをあのような映画にしないのだろう、野毛マッカーサー劇場で唄う子供時代のひばりはピアフ幼年期に安カフェでラ・マルセイエーズを唄っていたシーンに匹敵するはず、と私。

しかし、ポロい下着姿の売春婦を描くことは日本映画では無理、とK。

我々はひばりの世代ではないが百恵の延長上にひばりが見える、など話す。

☆☆

Kは時代区分のメモを書いた。

同級生のおまえとはいろいろ話せる。

私は後輩だよ。

貧しい時代に育ったけれど、そういうものだと思っていた、ただうちは親戚がみな羽振りがよくて、従姉妹が私立に通っていたので、落差を感じた、と私。

俺は親には言わなかったが、クラブ活動など金のかかることは努めて遠慮した、武山中学校は修学旅行にも行かなかった、とK。

私たちは修学旅行に行った、どこ行ったんだろう、日光?

それは小学校だろ。

(小学校では箱根、中学では奈良、だった)

☆☆

俺、幸せなのは相撲みてるとき。

中学の頃、両国の国技館で相撲みたよ。

☆☆

○○先生からのメールは、韓国のラジオ自由放送が北朝鮮の情勢を分析しているのを和訳して送ってくれたものだよ、と私。

君はこういうのにまったく興味ないし、わかんなかっただろ、なのにこういうのを送ってくる人がいるのか、とK。

○○先生はヘブライ学者なの、私のことを「知的で魅力的な女性」と言っているらしいよ、「素晴らしい人を紹介してくれてありがとう」と出版社の社長に言ったんだって。

かわいそうに。

あの先生はちょくちょくメールをくれるのよ、BBCの番組を転送してくれたのもこの先生、でも私はいちいち返信しない。

☆☆

だだっ子ちゃん、とKに呼びかける。

K笑。

☆☆

フェラチオをする。

おまえ好きだよな。

あんたにだけ、他の男にするときはお義理でしてる、だけどみんなわりとすぐいっちゃう。

うまいから?

だと思う、私にこれを仕込んだ男にとって私は最高の女だろうね、あんたは特にこうしろああしろと言わなかった、「袋を口の中に入れて転がせ」とは言ったかな。

覚えていない。

☆☆

からみあう。

クンニリングスも。

これおまえのベトベト、とKは口をつけてくる。

☆☆

Kは下品なセックスがしたいと言い、私を抱きかかえて突くようなキスを何度もする。

☆☆

インサートには至らなかったが、指でしてもらう。

なかを撫でて。

こういうこと誰にもしてもらえなかったのか、かわいそうに。

あんたも昔はしなかったよね、あのあと覚えたんでしょ、いつ? エロビデオで?

自分のでできなくなってからじゃねえかな。

☆☆

出血した。

そういえば昨夜も少し出血していた。

久しぶりだから処女出血? 病気の出血じゃないよね、と私。

これ以上やるなということだ、粘膜が傷ついたんだ、とK。

あんたが荒らしたから?

(私はわりと平気だが、Kは血を見てびびったみたい)

☆☆

これだけ可愛がっときゃT子もいうこときくだろう、と思ってる?

K無反応。

☆☆

眠りながら時々、お互いの身体にしがみつく。

手と手を握りあう。

必要としている、と無言で伝え合う。

☆☆

翌朝。

コーヒー、日本茶。

Kはアイスクリームをほしがる。

「なに?愛してる?」と私は本気で聞き違えた。

K無反応。

☆☆

YouTubeサーフィン。

Kは『Aサインデイズ』『待合室』『デスノート』『カイジ』など、自分が関わった映画を呼び出して昔話をする。

プロデューサーとしての手腕、新しい試み、たとえばセットのばらしと移動に引っ越し業者を使ったこと、海外の大金持ちや日本のスポンサーを利用して裏で私腹を肥やすこともできたのにしなかったこと、デスノートはストーリーを原作と変えた(貧乏人の核兵器みたいな話は俺、気持ち悪くて、と言っていた)、監督もチェンジした、日活にいたからそれができた、など。

『送りびと』原作読んで感動した、でも日活ではやろうとしなかった。

『待合室』も原作に感動。

とKは語った。

☆☆

悩みをノートに書いた当事者はノートの返事を読まない、ほかのひとが読んで癒される、つまり悩みなんてみんな似たようなものだってことね、と私。

そう。

だけど、目からウロコが落ちるようなアプローチで他人の悩みを解決する人もいるよ、たとえばさ、「自分でも何をしたいのかわからない」と悩んでいる人に、こう言ってあげるの、「何に一番お金を使っているか考えてごらん、それがあなたのしたいことだよ」と。

☆☆

あの頃は女にもてた、とKは言う。

(次々と女ができたし仕事もうまくいっていたから、私のことはどうでもよかったのね)

スタッフが泊まっているホテルとは別のホテルのバーで飲んでいると、ヘアメイクの女が余貴美子と広田玲於奈を連れて来た、でも「商品には手を出すな」だから、女優さんではなくヘアメイクの女性に手を出した、とK。

☆☆

石井監督に余貴美子を「名美だ」と言って紹介して気に入られた、だがその後、監督とぎくしゃくした、おまえを名美として紹介するつもりで連れて行ったからだ。

私が名美を演るなんて、そんなことあり得ない。

石井さんは、俺がロケハンに自分の女を呼び出したことで怒って、以後もさんざんしつこく怒っていた。

☆☆

あああなたに1億円くらい、つぎこみたい、幸せにしたい。

無理だよ、いますでに俺は幸せだもん。

☆☆

○○本が50万部いけば印税1500万、と私。

それだけあれば全部片がつく、とK。

☆☆

出版社に企画を持ち込むよりも、今回のように「書いてください売りますから」と言われてやるほうが楽だし気分いいよね。

☆☆

○○書房で書いても書いてもペンディングにされていた時期、私は別会社の○○さんに言いつけた、そしたら彼は、「それはその会社にかぎってのことですよ」と言い、同じ部署の編集者5、6人を集めて、私に仕事を回させた。

えらい、とK。

☆☆

熱海の先生って、熱海のどのへん?とKが聞く。

旅館の女将の話はもう聞いて知ってるよ、と私。

☆☆

あんた疲れているわりに、よく出歩くよね。

俺じゃなくて電車が動いているんだから疲れない。

(熱海の先生と同じこと言ってる)

☆☆

男って犬みたい。

元気よく外を歩き回っているけど、毎日家に帰ってくる。

☆☆

You Tubeサーフィンは続く。

宇崎の橫浜ホンキートンクブルース、うますぎる、と感嘆する私。

沖縄ベイブルース、この頃の曲はどれも詞がいい、阿木燿子すごいと感心するK。

うらぶれた部屋で、をKに聴かせる。

☆☆

そのときウーチャンから電話あり、息子が行方不明とのこと。

「その子まだ中学1年? 金もってない? だったらそのへんの公園にでもいるだろ」とK。

☆☆

荒木一郎もかけてみる。

荒木一郎は野坂昭如に似ていると発見。

☆☆

GSをかけると、私はつい腰をふってしまう。

それで「おまえション便してこいよ」とKにからかわれる。

☆☆

「老人ホームに持って行きたいCD」という企画いけるだろ。

いけるね、だけど音源はYouTubeでいいんじゃないの? CD会社に売れる企画じゃないよ、あ、出版企画としていけそうだということね。

クラプトンは絶対に必要だ、レイラを聴くんだ俺。

☆☆

ビートルズのカムトゥギャザー、中学生には意味わかんないだろ、一緒に行くっていうんだから。

いくときは一緒に、だよね。

(でも、カムトゥギャザーはみんなが集まるという意味でもある)

☆☆

「負の世界遺産」という企画もいける。

すごく面白い。

(ネット検索の結果、負の世界遺産という言葉はすでにあるので、裏世界遺産に変更)

☆☆

企画書つくるよ、とK。

☆☆

「スケベな写真撮らせろ」とKが言いだし、私は黒いジャージスパッツを半分おろされ、剥き出しの下半身を正面から眺められる。

☆☆

のってきて、ウイスキーに手が出る。

私はエディタースクールの校正課題をやりつつ、飲む。

時々、Kに相談しながら、教わりながら、教えながら。

校正の解答を考えるKの顔が知的で素敵。

☆☆

朝起きると、ああまだ生きていたのかと思う、このまま目が覚めずに死んでいたらいいのに、そう思っていても身体は生きようとしているんだな、鼻血が出たのも悪いものが潰瘍か何かになって破裂したからだ、とK。

鼻の中の血管が切れたんじゃないの?

そんな量じゃなかった。

家族はそのこと知ってるの?

知らない。

隠していたのね。

☆☆

県立図書館へ一緒に行ったとき、楽しかったね。

☆☆

明日は私、ホテルオークラで取材だから、あんたも一緒に東京に行けば?

今夜もいていいのか、とKはさりげなく言う。

☆☆

私はブライダル情報誌の仕事で、何組かのカップルに電話取材をする。

そのうちの一例、江戸っ子の婿さんと話したが、彼はなぜか私とフィーリングがあわず、取材難航。

そのことを編集部に報告し、その婿さんの結婚式をプロデュースした会社の社長にあらためて電話取材させてもらうことになる。

その社長とも相性悪く、悩む。

おまえかわいそうだな、こんなちっちゃな仕事でそんな目にあって、とK。

私は江戸っ子と相性悪いのかな。

合うわけないじゃないか、横須賀の女が、とK。

おまえに教えといてやる、品川の海はな、とKは東京湾の地図を描いた。

☆☆

K酔って眠る。

私は気分転換にシャワーを浴びる。

Kを起こして風呂にはいらせる。

Kの着ているもの全部と、シーツ、掛け布団カバーを洗濯する。

きれい好きなKがそうしろと言ったから。

Kは風呂上がりに、私のボクサーパンツ、パジャマズボン、黒いTシャツを着る。

痩せてしまったのでサイズぴったり。

ブラジャーは?

必要ない、と言いつつも、Kは私のピンクの可愛いブラをじっと見ていた。

☆☆

酒、風呂、マッサージ、会話、どれも効いたのだろう、Kは「元気になった」と言う。

ドーパミンあるいはノルアドレナリンの影響か、若返った感あり。

☆☆

夜また飲む。

食事は、小松菜炒め、ブロッコリー、にんじんスティック、チキン手羽先、スパゲッティ蟹トマトクリームソースなど。

「料理している姿がよかった」とKに言われた。

☆☆

Kはお茶を飲むふりしてウイスキーをストレートで飲む。

私が買ってきた日本酒5合も全部飲む。

なんでそんなに飲むの、と嘆いて訴えた。

Kは無言。

☆☆

ジェーン・バーキンかわいいね、だけどだいぶ聞いたから、次は聴いたことないのを聴こう、とK。

ジェーン・バーキンの良さがわかるなら、アンナ・カリーナとゴダールのカップルも好きでしょ。

わかる、ゴダールも俺もセックスはあんまり好きじゃない。

☆☆

オーソン・ウェルズの市民ケーン、審判など、YouTubeでつまみ食い。

いい、いい、しびれる。

私は熱をこめて良さを語る。

映画「審判」は批評家にけなされているけど、私が作家になったら復権したい、倉橋由美子の復権もしたい、と私は野望を語った。

☆☆

私の大学時代の話もした。

☆☆

それから、Kが次に書く小説のことについても話す。

☆☆

話は尽きない。

いくらでも盛り上がる。

一緒にいると楽しい。

「世界は広がり、ふたりの距離は縮まり」と私が小説に書いたとおりの時間が現実のものになっていく。

昨夜も今夜もよかった、とK。

☆☆

今夜は何もしなくていい、また血が出ちゃうから。

☆☆

Kは私の顔を見て、私の髪を前から後ろに流しながら、「緑魔子」と言った。

☆☆

明日は取材なので早々に寝る。

しかし私は寒気がする。

風邪薬を服用。

これで治るはずだが、熱を測ったら37.7度もある。

Kは寝ながらも、私に布団をかけなおしてくれる。

「風邪ひかないように」と寝言のように言って。

こんなふうにKにやさしくされたのは初めて、のような気がする。

☆☆

「明日の朝、○○だったら」とKが寝ぼけてむにゃむにゃ言う。

何を言っているのかわからないので笑った。

朝勃起したらセックスしよう、と言いたかったのだろうと私は思う。

☆☆

Kがうちに3連泊するは初めてのこと。

ベッドが狭くて寝苦しい。

ふたり一緒にいる緊張感から安眠できない。

などの難点はあるが、そばにいればやはりほっとするし楽しい。

顔が若返る、可愛くなっていく。

☆☆

私は仕事が気になって、夜中に目が覚めた。

Kも眠りは浅いように見える。

私のところではやはり心身ともに休まないのかな。

☆☆

翌朝8時起床。

1時間かけて支度をする。

Kに風邪薬を呑ませる。

私は快復した。

Kにベージュのマフラーをあげる。

「このほうが、顔映りがいいのよ」と。

こういうものを持ってるとまた問題になる、どこでもらったのだと言われる、俺は今、服もどんどん捨ててる、とK。

このマフラーは捨てないでよ、と私。

☆☆

外に出ての第一声は、○○先生の本がうまくいってくれると本当にいいね、○○先生の前著で50万部ヒットを出した編集者が「併売する」と言っているのだから、書店でいい位置に置かれることは間違いない、よかったよね。

うん、とK。

☆☆

郵便局でK宛てに20万振り込む。

そして駅までの道すがら、「酒タバコ控えて、ちゃんと食事しなきゃだめよ」と諭す。

K苦笑。

☆☆

京急で橫浜へ。

☆☆

娘さんの大学卒業祝いに何か買ってあげればいいじゃん。

買ったよ、上の子と下の子の両方に、新宿のバッタ屋で千円の腕時計。

☆☆

「屋形船が羽田を出航し、お台場方面を巡った」と記述しておかしくないか?と尋ねる。

調べといてやる、とK。

☆☆

橫浜で東急線に乗り換え。

渋谷まで各駅停車で行くことにする。

☆☆

車中でもいろいろ話す。

武山のこと、出版社のこと、ネット検索で得た情報の著作権はどうなってるのか、など。

☆☆

うちに連泊したからまだよかった、ホテルを泊まり歩いていたらヘロヘロだったでしょ、と私。

K無言。

☆☆

取材は1時間ほどで終わるんだろ?とKが言い、再び待ち合わせてお昼を一緒に食べることになった。

(私はすごくうれしい。別れ難いから)

ふたりとも笑ってしまう。

笑顔を見交わす。

銀座線の乗り口まで、Kが案内してくれた。

関連記事→恋愛かくれんぼ・デートノート2012㉑

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