【ＫがＴ子に預けた日記から、気になる箇所を書き写す】
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2010 Oct.5(tue)fine
16時30分、梅ヶ丘図書館を出て歩き始める。
(中略)足は限界。
京急に乗る。日ノ出町～汐入。
妹に、ワンコール着信を残す。
途中、ヨコハマのＴ子にTELするが、振られる。
「一杯飲ましてくれ！」「前もって言ってくれないと」
横須賀の実家に辿り着いたのは、翌日の正午前後。
千歳郵便局の冬季アルバイトの件、○子よりメール。
16日に説明会あり。
週明けには”帰る”べきか、”帰って”よいのか。
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2010 Oct.13(wed)fine
○子にメール「郵便局の書類欲しい。家に入れてくれるか」「ポストに入れておく」
昼、○子よりメール「子育てに、北海道のお母さんに援助され、どれだけ云々」。
返信しない。
「返事がないということは」○○に○子のメールを転送。
「どーして私に送るの？」「ごめん」それでメールは終わった。
どーしようもない。
途方に暮れる。
死ぬにも死ねない。
死にたい！
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2010 Oct.16(sat)fine
６時、自宅に起きる。
風邪だろうか。
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2010 Oct.20(wed)cloudy
○子からメール「鍵があったけど、やはりもう何もできないということですか？行くとこあるの？それとも横須賀？」
「わけわからない。とりあえず郵便局があって……。生理的嫌悪感に耐えられない、と言われては──」
「昨日の言葉は今までも言っていたよ。歯を鳴らすのはいやです。クセなんでしょうけど、直していただければ。臭いのも気をつけて。地肌をシャンプーでしっかり洗えばいいのだし、ただ肺とか肝臓が良くないのでそうなのかとも思っています。離婚届けの用紙を見つけたけど、そちらが戻りたいなら、いいですよ。私は口うるさいけど、不潔をしないことを守ってくれるなら。あと、タバコ。あまりうるさく言うといやでしょうから、これ位にしておきますが、これは大事なこと。今月は家賃はおろか、○○の後期学費が(生活費も)足りない。最終手段として教育ローンを申請してみたけれど、今日連絡があり、多分駄目だろうとのこと、審査が通らない。さすがのわたしも空元気はここまで。でも３人とも中退はさせたくないので、あるかどうか分からない、何とかなる方法を毎日毎日考えています。じゃ、鍵はポストに入れておくね」
「金の話は明日ばーさんにする。一両日でどうなるかわからないけれど。だから、鍵は必要な時に連絡します」
「お金の話はしないでください」
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2010 Oct.21(thu)rain
横須賀。
悪寒。
終は伏す。
尤も、飲む。
どーすればいいのか。
金。お袋に出して貰うしかない。
八十路の年金暮らしの婆さんから銭をむしり取る。
それも半端な金じゃない。
合計で200万なのか！
気が遠くなる。
お袋に言えるのか！
また胃が痛い！
(Ｔ子記す／結局、Ｋは200万借りて振り込んでいる。妻も喜んで受け取っている)
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2010 Oct.29(fri)cloudy
Ｔ子にTEL「明日、ヨコスカで会おう」
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2010 Oct.30(sat)rain
台風14号直撃。
16時、京急汐入駅、Ｔ子と会う。
ドブ板を腕を絡ませ歩く。
ハロウィンの飾りの、ドブ板ネイビーバーガーの店でワイン。\3,500
Ｔ子の友達と内縁のオッさんまじえ、中央の居酒屋。
18時から22時頃。
カラオケに行こうという友達を断り、ニューヨコスカホテル泊。
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2010 Oct.31(sun)cloudy
台風は一過。
しかしヨコスカ港内の観光船は運休。
京急で久里浜へ出て、フェリーで千葉宮津へ。
宮津で寿司。
フェリーで戻り、京急野比駅で別れる。
20年振りのデートは終わり。
40年の歴史を共有している。
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2010 Nov.2(tue)fine
三崎口まで妹に送って貰う。
油壺観潮荘に、Ｔ子と泊す。
24,500 TAXI3,500＋1,700
アイロンは旅館の部屋に置いてゆく。
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2010 Nov.3(wed)fine
３時、目覚める。
快晴。早朝散歩。
かもめ、めじろ、とんび、漁船……。
朝食で２本のあと、TAXIで三崎港へ。1,500
うらりフィッシャリーナウォーフの市場で海産物、梅干、たくわん 4,000
三崎、旧いコーヒーショップでトアルコトラジャ 1,000
「唯一、美貌でのしあがった。学問もなく……」(学歴だよ)
「鈴木いづみの娘あづさ、阿部薫……」
ルイズ・ルイス加部
三崎港から三浦海岸まで剣崎廻りのバス 510×2＝1.020
三崎「岬めぐり」のバス。
三浦海岸の居酒屋で昼から酒はＴ子が払う。
マホロバマインズはＡＰＥＣ(警備)のおまわりさん達で貸切。
みうら映画舎、三崎の下町の旧い街道に訪ねる。
三浦海岸より京急。
橫浜へ帰るＴ子と中央で別れる。
三浦海岸～横須賀中央駅 350
横須賀に泊するかどうか迷いつつ、横須賀駅まで歩く。
とりあえず東京へ「帰る」か！
横須賀～新宿 新宿湘南ライン 1,050＋750グリーン券＝1,800
車中で○子とメール。
「帰宅は明日にしてください」
17時新宿。
結局、スターホテル泊 9,700
コインランドリー 400 夕食 1.000 ＴＶ 1,000
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2010 Nov.10(wed)fine
15時、橫浜桜木町。編集者と会う。
結局は、飲み会のみの空振りに終わる。
2,000割り勘＋ポーラスター 10,000＋タクシー 7,000
(Ｔ子記す／このときは私が一緒だったね)
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2010 Nov.11(thu)fine
橫浜。
ＡＰＥＣ警備重厚。
中華街謝甜記でお粥で飲む。6,000
横浜港クルージング、山下埠頭から東口 2,100
酔う。
橫浜、渋谷、下高井戸。
立ち呑み屋。
結局この時もインターネットカフェ泊 2,000
TAXIで？？？後 6,000
何をやっているんだか……。
(Ｔ子記す／このときも私が一緒だったね)
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2010 Nov.12(fri)fine
Ｔ子からメールあるも、一寸、待ってくれ。
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2011 Jan
Ｔ子より『ドブ板トランジット』、読む。
感想返信。
あの時代のドブ板の匂い、酒が欲しくなる文章だ。
上手にふるまえば、抜け出るかもしれない。
翻訳調のこした文体なのか。飲む。
Ｔ子から推敲分続報来るが、如何に返事をするか！
Ｔ子に返信。
”小説”として成立するかどうかのポイント。
私小説なら私小説らしく……。
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2011 Jun.15(wed)cloudy
Ｔ子よりメール。
”群像”の編集者から激賞されたのだ、と。
よかったね。
(Ｔ子記す／↑それ、群像ではなく三田文学の間違いですよ)
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2011 July.10
老母より無心した10万円で飲みに出る。
ひとりカラオケ。
無聊。
はしご
歩けない。
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2011 Aug.2(tue)cloudy
○子とメールのやりとり。午后「行く云々」。
真意は、進学ローンの契約書の自筆署名だろうが。
老母の処遇に対して、怒る。
汐入駅で会う。書類に記す。話はやはり「しのぎ」のコト。ままならぬなら「離婚を」。ＮＯの返事は言えない。
○子は、横須賀の介護情報をネットからプリントアウトして持ってきた。
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2011 Aug.15(mon)fine
今日で携帯は止まるかもしれない。
長女とＴ子にメール。
返信もあり。
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2011 Aug.23(tue)fine
長女にメール「帰れるのかなあ」
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2011 Aug.24(wed)fine
娘たちからのメールがない。
気まずく別れたが、うまくいかないかなあ。
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2011 Aug.25(thu)fine
Ｔ子よりメール。
「１冊ゴースト脱稿。明日、茅ヶ崎、開高健記念館に行かぬか」
「行く」
11時茅ヶ崎駅待ち合わせ
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2011 Aug.26
11時、茅ヶ崎。Ｔ子と一緒。
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2011 Aug.27
茅ヶ崎から下田まで移動。
Ｔ子を連れてきたかった。
我が身ごほうびもある。
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2011 Aug.28
修善寺からＪＲ経由で横浜へ。
桜木町ブリーズベイホテル泊。
身体は悲鳴をあげる。
起き上がれない。
多分、歩けない。
連泊を決める。
痛み。絶望。
未だ、そこに酒を流し込む。
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2011 Aug.29
Ｔ子よりTEL.
弘明寺で会い、再び桜木町ブリーズベイホテル。
さすがに加減しつつ飲む。
情事。
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2011 Aug.30
遊び時間、非日常性に委ねる時間は終わり。
９時チェックアウト。
日ノ出町駅前、日高屋で飲む。
京浜急行に日ノ出町から乗る。
Ｔ子と別れる。
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2011 Aug.31
射精する。できた。
まだ飲むのか。
リンパ腺は痛く、脹ら脛は腫れているというのに。
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2011 Sep.1
疲労。身体を痛めつけた。
夜明け、再び射精＝排泄を試みる。叶う。
痛み減少。
睡眠は細切れ。長くて２時間。
それを過ぎると、腹部膨満感、尿意に目覚める。
Ｔ子にメールしなかった。
「しばらくやめよう」と言って京急車内で別れたのだから。
４泊５日はＴ子と居た。
15歳で知り合って、55歳まで。こんな関係を何というのか。
55歳の熟女や老女とつきあっている気はしない。
10代の少女のままだ。
多少、顔にシワは刻まれたかもしれないが、若い。若々しい。
そして挑んでくるセックスもまた、10代のようだ。
今の状況、心情含めて吐露し、理解できるのは、Ｔ子だけか。
開高健記念館で「出版人マグナカルタ九条」の絵葉書を２枚贖った。
１枚はＴ子に。
このマグナカルタを板書し、「戯作者マグナカルタ九条」として、横須賀の実家玄関に置く。
余は満足。
うーむ。この九条、誠実にあてはまりはしないか。
出版人でなくともよい。
映画プロデューサーでも。
抱け。抱かれろ。
女じゃない。
テーマの中に入り込めということだ。
テーマを抱き、テーマに抱かれろ。
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2011 Sep.2
お袋にからむ。「オレの人生もある。というより家族がいる」
離縁されようとも、配偶者と子供たちへの思いはある。
だから金を都合しておくれ。
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2011 Sep.3
体調回復。便通快便。消化器回復。
心痛と心労がどこかへ消えた。
伊集院静『なぎさホテル』立ち読み。
出だしからイイ。
是非手にして読みたいものだ。
Ｔ子に教えてあげようかな。
○○○○○と会う。
まあ無残かとも思うが、生活していれば、ああいうことなのかな。
Ｔ子は？ １歳下で55歳。子供はなく、生活という感覚は稀薄かもしれない。
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2011 Sep.4
昼寝。酔没。
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2011 Sep.5
金がない。酒なし。タバコなし。新聞なし。
配偶者と子供たちに「安心」を与えたい。
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2011 Sep.9
飲み過ぎ。消化器、悲鳴をあげる。
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2011 Sep.10
身体が痛い。それでも飲む。
世田谷文学賞短歌の部、応募投函。
果たして締切は間に合ったのだろうか。
小百合観し 二番館はマツキヨに ガスター10購入 父七回忌
ふるさとの 手編みセーターも資源ゴミ 介護の夜 分別作業
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2011 Sep.11
消化器が痛い。炎症が破裂した。出血している。
Ｔ子とたあいのないメールのやりとりで時を潰す。
本気で「作家ごっこ」発言が繰り返される。
売れる作家を夢見る年でもない、と思うが。
テーマや素材は一興だが、「書こう」という意識が強すぎるから「書いて」しまう。
自然体でよいと思うが。
翻って我が身。生きているうちは駄目だ。
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2011 Sep.12
１通目のメールをＴ子に送る。
未だ眠っているはずだ。
眠りについた頃か。
体調は回復。
風呂で髪を切る。
Ｔ子、夕方から活動を開始したらしい。
手始めのメール、「野坂の本送る。住所送れ。評伝書くときの参考になる」
どういう思考回路なのだ。
オレは野坂の評伝なんて書かないよ。
縁あって、義もあって、石井隆。それでも難物だ。簡単にできるものではないよ。
