【2010 November】
2010.11.11
●T子──私、帰る。
今、動く歩道に乗ってるよ。
マクドナルドのところにいるあんたが見える。
バイバイ。
(とKのケータイに留守電メッセージを残し、アパートに戻った)
…………………………
(その夜)
●K君──1度家に帰って、今また新宿で泊まるために出て来たところ。
Tちゃん、いろいろつきあってくれてありがとう。
…………………………
●T子──いいえ、こちらこそ。
…………………………
●K君──いい女につきあってもらって、これはすごいことだなあと。
…………………………
●T子──そのうち、いいことあるわよ!
…………………………
●K君──そうか! バイバイ。

2010.11.12
●T子──あなたの原稿データ、私のPCにあった。
転送するから、あなたから○○さんに送るべし。
原稿に一部重複あり。
整理して。
…………………………
2010.11.16
●T子──Hi,my sweet devil!
生きてる?
○○氏に原稿送った?
お忙しいところ誠に恐縮ですが御一読いただければ幸いですってね。
送ったほうが、いいのよ!
…………………………
●T子──生きてんの?
面倒でも、一言くらい返信くれてもいいでしょ。
…………………………
(以下、T子記す)
それでも何時間も連絡なし。
本当に大丈夫なのかと不安になって、電話してしまった。
なかなか出なかったが、出た。
で、Kは切った。
家族と一緒だったのだろう。
つらかったが、これなら大丈夫そうだ。
無理してアパートを借りなくても、なんとかやっていけるってことね。
私はもう心配するのはよそう。
メールも電話も、こちらからは絶対にしない。
☆☆
3日間、甘い夢をみた。
それでいい。
☆☆
Kが私のメールも電話も無視する理由は、いくつか考えられる。
・私にしつこく追い回されるのを恐れている。
・○○さんに原稿を送りたくない。
・単に、すべてが面倒になった。
・家庭がいよいよ修羅場。
・あるいは逆に、家庭は平穏を取り戻しつつある。
・私の仕事および三田文学新人賞獲得の邪魔にならないよう、距離をおこうとしている。
・気をもませて、私があいつを引き受けるまでもっていこうとしている。
さて、正解はどれでしょう?
このままだとズブズブいきそうで怖い、っていうのも、あるかもね。
…………………………
2010.11.19
(T子記す)
Kの反応、失礼しちゃうわ!
あ〜あ、最後のメールと電話、しなきゃよかった。
あれですべて台無し!
すべてじゃないけど。
☆☆
(この翌日から私は大連で知り合った○○さんとゼロと共に箱根へ)
1泊して気分転換。
Kに気持ちをもっていかれてたけど、これで平静に戻った。
男の毒は他の男で中和する。

【2010 December】
2010.12.2
(T子記す)
三浦海岸の居酒屋での、Kとの会話を思い出す。
私もいろいろ大変だった。
マンション売却くやしかった。
母とのこと、自分の住む家、ケリつけて(ついた)、予想外にふってきたあんたとのこともケリつけて、これからは落ち着いてひたすら書く。
☆☆
オレとのことはケリつけようとしなくていいんじゃないの、とKは言った。
40年の時間があるんだな、とも言った。
10年後にまた会ったら50年の時間だと思えばいい、と。
ということは、やはり私とは一緒になる気はない(その可能性はない)ってことか?
私の見果てぬ夢は不可能な夢?
でもそのかわりに、これからも続いていくよ、だからケリをつける必要なんかないんだ、というならわかる。
☆☆
ただし、10年に1度でいいというのは、いただけない。
どうしてそんなに逃げるの、遠ざけようとするの。
☆☆
身を捨ててこそ 浮かぶ瀬もあれ最上川 山岡鉄舟?
しのぶれど 色にでにけりわが恋は ものや思ふと 人の問ふまで 平兼盛
新古今集 藤原定家じゃなかったっけ?
☆☆
漱石、鴎外の登場をもって、江戸時代以来の戯作文学を脱却、近代小説の幕が明いたとする。
それ以降、日本における写実主義、自然主義が盛んとなるも、私小説の範疇を抜けきらない。
…………………………
2010.12.15
●T子──『トランス・アトランティック』国書刊行会。
図書館で予約取寄せして読んでみて!
作者ヴィトルド・ゴンブローヴィッチはK君タイプだと思います。
彼はポーランド人だがアルゼンチンに長逗留して書いた。
同書巻末の日記は殊に面白い。
オススメ!
…………………………
●K君──世田谷梅ケ丘図書館に、その本はあった。
現在、深夜の郵便局でバイト中。
今日、『伝説のマエストロ アルゼンチンタンゴ』を観た。
どうぞ良い年の瀬を。
相も変わらず、酔い年の瀬かしら。
…………………………
(T子記す)
Kとのことは、だんだん、どうでもよくなってきた。
クールダウンした。
ふと思う。
あいつは、やっぱり女房が一番いいやと思うときがあるのかな。
それなら仕方ない。