【2011 November】
2011.11.14
●T子──体調少しはよろしい?
酒煙草ともに控えよ。
…………………………
(気になるので電話したが不通)
(折り返しかかってきた)
…………………………
(T子記す)
「おはよう、大丈夫」で会話はじまる。
昨日はもう飲めなかった、どうやって帰ろうか迷った、それでも1時には寝ていた、風邪薬を飲んだ、一度も目を覚まさずに眠れた、今朝は洗濯をし、魚を焼いた、これからパソコンを立ち上げ、『沈香も焚かず屁もひらず』の続きをやる、とK。
眠れてよかった、魚も結構、総じてよろしい流れのようだけれど、やはり飲んだか、いけない、自分を苦しめている、酒タバコをやめるのはつらいが、やってやれないことはない、極力控えてほしい、私は本当に心配している、あなた顔が変わってしまった、笑顔が消えた、かなりつらそうだと見ていてわかる、くしゃみをしていたけれど風邪ではないのね? と私。
市販の風邪薬はあちこちの不調を治すから飲んだ、おまえ昨日の打合せはうまくいったのか?
うん、結局2時間かかったけれど楽勝だった。
☆☆
短い時間だったが様子を聞けて安心した。
Kはやはり仕事をしたいのだ。
書くことがあるから向かっているのだなと見た。
でも無理をせずに身体と相談しながらにしてねと伝えた。
それでもすぐに書きだそうとするKだった。

2011.11.15
(T子記す)
K君、身体も心も大丈夫だよね?
私は今、八王子へ向かう車中で、退屈なのよ。
芸能人本を手がけることを、とりあえずあなたに勧めます。
藤原竜也?トヨエツ? 誰でもいいけど、まだ本を出していない人がいい。
彼らに1冊ぶん、語らせてよ。
『人生はOKとNGの連続』
『いい女の子・やな女の子』
『僕が僕を好きで嫌いな理由』
『男の嘘と本心を見分ける方法』
『彼の心変わりは演技かもよ』
など、いいんじゃないかな。
著者になってくれる芸能人、所属事務所を含めて、仮OK取れたら出版社へ。
私は幻○舎と仕事したことあるから企画持ち込めます。
講○社でもいい。
…………………………
●K君──体調かなり回復。
胃腸、肺下部の痛みひく。
あとはリンパ腺上の足の痛みか。
…………………………
●T子──回復おめでとう。
来年、あなたが郵便局のバイトを終えた後の稼ぎについて、私はつい考えちゃうのよ。
あなた仕事があれば楽になれるとわかっているから。
…………………………
●K君──ありがと。
…………………………
(T子記す)
前のデート3.5回分の費用総額は私15~20万かしら。
Kも10万は使っているだろう。
今回のデートは全額私持ちで約7万。
さらにKに2万渡した。
誕生祝いに韓国ソウル3泊4日で10万使うつもりだったのだから、と考えてのこと。
Kに貸したのは合計62万
09.20 50万
10.20 7.5万はリライト校正のギャラとして
10.28 10万は病院に行ってほしくて
11.13 2万は電話代を払うため+アルファ
☆☆
この1年、デートに約30万。
もうこれ以上は飲み歩きや泊まり歩きに金を使うべきでない。
貸した金額も含めると、Kのことで90万ほど注ぎ込んでいる。
一生の人なのだから、経済状態が悪いからといってやめることなどできない。
ただし、私が一方的に面倒をみるのは良くない。
無理をしてはいけない。
共倒れになってはいけない。
ふたりとも仕事を増やす。
私の小説が売れる。
余裕ができる。
書いていける。
そういう良い状態に持っていかねばならない。
次の振り込みで総額100万? 計算違いかもしれないが、超過でなければ構わない。
…………………………
2011.11.16
●T子──郵便局のバイト、ギャラ入金はいつなの?
つなぎの資金、明日にでも振り込みましょうか。
生活費(お小遣い)を貸すのはこれが最後ということで、10万かな。
あまり持たせると飲んじゃうから、最低限の額にします。
一時的でいいから、断酒・節煙してください。
…………………………
●K君──ねんげみしょう。
辞書引いてください。
ありがとう。
ほかの言葉が見つからない。
恩人。
よろしくお願いします。
☆☆
取材は首尾よく進行したのですね。
☆☆
ねんげみしょう【拈華微笑】
花をひねること。
仏語。釈迦が霊鷲山(りょうじゅせん)で説法した際、花をひねり大衆に示したところ、だれにもその意味がわからなかったが、ただ摩訶迦葉(まかかしょう)だけが真意を知って微笑したという故事。そこで釈迦は彼にだけ仏教の真理を授けたといい、禅宗で、以心伝心で法を体得する妙を示すときの語。
…………………………
2011.11.17
●T子──振り込みました。
…………………………
●K君──うん。
ありが、とう。
ちくま新書『売文生活』日垣隆。
…………………………
●T子──体調は? 大丈夫よね。
次の支援は来春、群像の結果を見て、その結果による。
例外として、私の隣人となって自活するつもりなら、移転費用を用立てるぐらいはする。
あなたは文筆業への移行を試みると同時に、新年からのバイトを探しておくといいね。
…………………………
●K君──橫浜に行こうかな。
欲情、してるかも。
…………………………
●T子──私は仕事が忙しい。
抱けば金が出てくるというものでもない。
いずれ、うちのアパートを下見にいらっしゃい。
…………………………
●K君──(うふっ)
・。(親指立てサイン)
…………………………
●T子──まったく、あんたどういう気よ?
わけわからないわ。
本日は、これまで!
…………………………
(T子記す)
弟と話して、目が覚めた。
私はついKを甘やかしてしまう。
お金のことをきっちり線引きするのは、言うは易し、行うは難し。
しかしこの基本姿勢を貫かねばならない。
それができないのなら、Kを迎え入れてはいけないのである。
…………………………
(その夜)
(再びT子記す)
不安、動揺。
家賃は安いが、生活費月20万はかかる。
私自身、毎月赤字で貯金は減る一方。
Kはやっていけるだろうか。
どこに住むにしても、フリーでは厳しい。
定収入を得る仕事に就ける?
仕事を探せる?
私の隣に来てから、仕事が見つからないという状況は怖い。
ふたりとも駄目になる。
そばにいたい。
状況が悪いからとやめられる相手ではない。
どうしたらいいのでしょう。
…………………………
●K君──お早う
昨夜すでに床入り。
弱気になるときもあるんだ。
本音か。
『群像』も『すばる』も待ってる。
おれは『小説現代』かな。
今日は、「仏教語」を調べに図書館へ。
粘華微笑?かな。
…………………………
●T子──今だけ、愚痴を言わせて。
私も現実を考える頭がないわけじゃない。
去年の今頃、あなたはさほど私に執心していなかった。
私に会うのはまた10年後でいい、と言っていた。
ところが私がドブ板を書き出し、三田の反応も良かったので、あなたは夏に会う気になった。
そして距離を縮めた。
「この女、まだ金がある。使えるかも」
「文学をやろうとしている、つきあってみるか」
でしょ。
私は全部わかっている。
それでもいいと思っている。
だけどあなた、私が受賞できなかったらどうするの。
私は仕事も小説も書き続けていくけれど、あなたは?
あなたも書いていくために、私を喰いつぶして次を探す?
それもむずかしいでしょう。
4月、群像の結果が出るまで様子を見る?
現状維持できる?
あるいは、自活の手段を探る?
私にできることは協力します。
あなたの力を信じているし、頼る気持ちもある。
先の(稼ぎの)見通しを立てることが先決かしら。
…………………………
●K君──ごもっとも
である。
…………………………
(T子記す)
「家を追い出される」とKが言ったからいけない。
だけど私も、隣室に来いとか移転費用を貸すとか、頼まれもしないのに自分から言い出したのはいけなかった。
騒ぎを大きくしているのは、私だ。
その点を責めないKは偉い。
…………………………
●T子──さっきは、ごめんね。
今も邪魔してごめん。
年末年始バイトの経験者は、横浜の郵便局で継続的に使ってもらえる可能性あるのかな?
毎日じゃなくても、稼ぎ口としていいよね!
…………………………
●K君──郵便局に「労働需要」があれば。
民となっても官をひきずり、民○党支持の労組強くリストラ進まず、おまけに日通救済ペリカン便を合併させられたので、人は余っている。
年末年始にバイトを頼むのは、社員は労使協約で、週当たりの労働時間が定められているからだ。
…………………………
●T子──うちの弟も一時期、郵便局のバイト申請していた。
配送バイトは土地鑑があるとすごく有利。
今も学生バイトが自転車で配送してるんじゃないかな。
あなたは内勤のほうがいいけどね。
☆☆
ハローワーク登録してPC検索すれば、短期だが公務員バイトもあり。
私は作文試験で落ちたけど。
☆☆
多分一時のことなのだから、働こうと思えば、何かしら見つかる。
私も手伝うよ。
まずは世田谷の、その郵便局で通常バイトを申請してみたら?
別の局で募集があるかもしれないし。
横浜に来るなら、横浜市内の局を調べればいいよね!
☆☆
一度にいろいろ言って悪いけど、
うちの弟は鳥浜町(シーサイドライン)のヤマト運輸倉庫で荷物仕分けの夜勤をしていたことがある。
それほどきつい肉体労働ではないので、年配者が多く、あいつは最年少だった。
☆☆
私はハローワーク経由で都内の編プロおよび出版社数社を当たった。
それでアルフ○ポリスと縁ができ、正社員登用は無理だが外注で仕事をお願いしたいと言われ、ラノベの空気を掴むために1ヶ月だけ会社に通わせてもらった。
あなたも単行本2冊書いているから、「ライター、編集、校正リライト、いずれもできます」と応募して大丈夫よ。
☆☆
ハローワーク、一度登録すれば自宅でPC検索できる。
都内、橫浜、どっちも見られる。
私もあなたも、やってみましょう。
…………………………
●K君──もう10年以上、ハローワークは通ったよ。
そこで成立したことがない。
郵便局は、ゆうパック。
クロネコと同じ。
ご高配をありがとう。
…………………………
●T子──悲しいこと言わないで。
ハローワークに通じていても、編プロおよび出版社は、まだ当たっていないでしょう?
橫浜のヤマト運輸倉庫、弟の紹介あればOKかも。
あきらめちゃだめよ。
あなたが嫌がらずに働いてくれるなら、私があなたに代わって仕事探すよ。
「隣人として自活」は、いきなりは無理かもね。
来年、どうしたいの?
しばらくうちに寝泊まりして働くというのもアリ?
…………………………
(T子記す)
ゼロに教えられた。Kが定収入を得られる仕事バイトを決めたのち、移転費用を用立てるのが賢明と。
「まずは仕事バイトを決めなさい、そうしたらお金を出す」と条件をつけなければダメ。
これは最初の大事なステップだからKさんにも頑張ってほしい、T子が上手に話を持ちかけて、気分を上向かせ、励まし、やる気を起こさせなければ、とゼロは言う。
彼は今すごくつらい立場、環境にいる、そこから脱却して良くなっていってほしい、とも言ってくれた。
書いていける環境づくり、お互いがお互いのために頑張ってやろうという気で、とことん前向きに向かっていけ。
…………………………
(再びT子記す)
だけど一生こうなんじゃないか、いろいろ悩まされるんじゃないかと、今だって、こっちのほうがつらい。
頭が混乱する。
気分落ち着かない。
Kのつらさは、私の想像を超えるかもしれない。
気楽な言動も見られるが、安眠できないようで、痩せていくいっぽう。
仕事、金、家庭、住むところ、すべて追い詰められている。
恋愛どころじゃないだろう。気の毒だ。
…………………………
(Kと話した)
私はせっかちでいろいろ急がせて、ごめん、まだ時間はあるからゆっくり考えてちょうだい、大丈夫、一人じゃないから、なんとか生き延びる方法を考えましょう。
(そこまで言うとKは言葉に詰まった。泣きそうだったのか?)

今日もちゃんと勉強した、『売文生活』も読んだ、とKは言う。
それはいいけど。
ハローワークで編プロ出版社にはまだアプローチしていないことを確認した。
しかしKいわく、「年齢的にもう無理。男はよけいに無理」。
それでもなお私が何か言おうとすると、「この話はここまでにしよう。心配してくれてありがとう」と話を終わらせてしまった。
郵便局は別として、就職活動の話をすると非常に嫌がる。
映像関連の会社に断られ続け、宅配や警備の仕事もうまくいかず、だいぶ嫌な思いをして懲りてしまったらしい。
「それでも働け、とにかく働き口を見つけろ」と家人に急かされてきたので、私にまでそれをやられるとたまらなくつらいのだろう。
では私はどうすればいい。
Kにうるさく言うと逆効果。
私がKに代わって働き口を見つけてあげるか、弟に相談してバイト先を教わり、Kに斡旋すればいいのか?
私は黙って見守ることが苦手。
つい先走って騒いでしまう。
すぐに結論を出したがる。
ここは我慢のしどころ。
ぐっとこらえよう。
なるべく連絡しないようにしよう。
おとなしくしていよう。
…………………………
2011.11.19
(連絡なし)
…………………………
(T子記す)
あいつは都合が悪くなると途端に連絡を絶つ。
ストレスに弱いのだな。
殊に、「働け」とせっつかれることを嫌うようである。
私だってあいつを困らせたくない。
うるさいこと言いたくない。
いつも楽しい話し相手、遊び仲間、心ときめく女、かけがえのない恋人でいたい。
お金のことで悩ませたくない。
余裕で面倒みてやりたい。
どうか、そうなれますように!
…………………………
2011.11.20
●T子──身体大事にしてね
ドブ板トランジット加筆版は「小説すばる」に出すので、三田には別タイトルでお願いしようと思う。
なお、今月中は仕事で手一杯なので、三田に提出する締切日を延ばしてもらう。
…………………………
(T子記す)
K君、仕事も金も家庭もうまくいかずに心が疲れた?
大変なことが多すぎて心が破れた?
だけど夏、「T子を待ちながら胸がときめいた」と言ってくれた。
心はまだ、しなやかだということよね。
☆☆
心の糧、栄養、安定剤、喜びのもとでありたい。
幸せを運んであげたい。
そして余裕をもって手助けしたい。
仕事や書いていくことを支援したい。
利用されたなんて思わない。
私にできることなら何なりとしてあげたい。
品川駅で、こう言いたかった。
「印税だけでなく講演で稼ぐ。あなたが一緒に行ってくれるなら何処へでも出向く」と。
…………………………
(弟に相談)
忙しいところ、ごめんね。うるさくて申し訳ない。
Kは都合が悪くなると連絡を絶つ癖があるのです。
案の定、今日は何も言ってこなかった。
私に「働け」と責められるように感じるのでしょうね。
しばらく様子をみて、そっとしておくか。
だけどKが可哀想。
話し相手は私しかいなくて、毎日少しでも気持ちを吐き出さないと精神バランスがとれないと言っていたんだよ。
安心して連絡してこられるように、何気ない明るいメールを送り続けようかな。
どう思う?
…………………………
(弟の意見)
厳しいこと言われて男がへこんだときは、何を言っても乗ってこない。
そこまでフォローする必要ない。
甘い顔をすれば、つけあがる。
頼る癖がつく。
それで離れていくなら仕方ない。
放っておけ。
距離があっても精神的につながっていると自負しているなら、平然としていられるはず。
…………………………
(ゼロにメール)
やさしい言葉と、信頼を深めることが大事だよね。
「先のことを大切に思うから、あえてきつい言い方した、と本音で語ったほうがいい」とゼロが助言してくれたことは忘れない。
私、Kを信じていないのだと思う。
その理由のひとつが、私をどこまで好いてくれるか自信がない、怖いということ。
Kのことを盲目的に信じるのは良くないけど、もう少し信じてあげないといけないね。
ゼロが言っていたように、距離が縮んだり伸びたりしていいのだから、気楽に、気長に、つきあっていけばいいよね!
…………………………
(ゼロから返信)
そう思う。
焦らずに「待ち」や 「様子を見る」も 大事な気がするよ。
「信じる」もね!
…………………………
(T子記す)
私はKを信じていない?
だから先日、Kの気持ちをなじるような言葉をメールで送ったのだろう。
あれは、「私の気持ちはその程度のものである」と言っているようなものであった。
☆☆
Kとのことで喜ぶにせよ悩むにせよ、K以外の人に話すのはよろしくない。
当事者同士のことなのだ。
ほかの人は関係ない。
最もつながりが強いのはK、と揺るぎない自信を持ちたい。
☆☆
安定した心でいたい。
どうあっても好きなのだから。
やめられないのだから。
生涯の恋人。
気楽に、気長に、つきあっていけばいい。
距離が縮んだり伸びたり、いろいろな時期があっていい。
Kのことばかり考えていないで、そしてKの言動に一喜一憂せずに、私自身が楽しいと思うことを求めて暮らしていこう。
やるべきことをやっていこう。
振り回されるな。
自立と自律を誇りとせよ!