【2012 March】
●T子──
(○○先生より送られてきたメールに添付されている、英国放送BBCが先週3月1日に放送したドキュメンタリー『津波の子供たち”Japan’s children of the tsunami ” 3.11』をKに転送)
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●K君──企画書
内容忘れた。
弾まない。
明日、6章までいける。
書けという企画書部分は、エピローグか6章の終わり。
武山挽歌。
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●T子──企画書に追加の事項
うろ覚えですが、たしかこんなような内容だった。
富士電機を含め、原研関連各社がマギル跡地から撤退したあと、残ったものは電力中央研究所だけ。
各社、事故を起こしたことの責任追及から逃れるために、原子力ビジネスに関与したことをその歴史から抹殺した。
結局、原研設置でいい目をみたのは財閥系資本家だけ。
つまり、グループ内の銀行が融資をし、原子力ビジネスを起業し、利潤を回収した。
あとは野となれ山となれ?
資本の悪循環?
電力事業は当初、半官半民でスタートしたが、民営に移行した。
そして原子力ビジネスに連動した。
原研は原発に直結する。
国策からみると、民間原子力ビジネスはエネルギー問題解決のみならず、憲法九条に抵触しないかたちでの再軍備促進という意味を持つ。
アメリカ聖公教会が原子炉設置の資金を提供したのは、戦後占領下の日本にキリスト教普及をもって文明化をはかろうとしたのと同じ(?)
原子力の平和利用はどこまで信じられるか。
何も信じられない。
1917ロシア革命後、20世紀の壮大な実験であった社会主義体制は崩壊した。
何事も五十年保てばいいほうであり、先の見通しなど何もない。
放射性物質の半減期を考えれば、未来に膨大な借りをつくっているに等しい。(と解釈したが)
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(T子記す)
Kに転送したBBC番組のほか、カメラがとらえた日本の津波など外国の報道番組を見る。
たまらなくなってウィスキーを飲む。
まず考えるのは、自分に何ができるのかということ。
書く仕事をしたい。
震災のドキュメントを書くという意味ではなく、平穏な日常で好きな小説を書いていくこと、そのために防災対策と、万一の場合は復興に努力するつもりであることを自覚。
また同時に、人類最大の愚行は戦争であること、利潤追求のために人間の幸福追求がおろそかになっていることを痛感。
まだしも許容できるのは裁判所と刑務所があることで、軍事基地の存在は許容範囲を超える、ナンセンスでしかない。
MSN田原総一郎の沖縄基地問題討論、猪瀬直樹原発の負担と受益をどう共有するかなどネット上の討論を見るも、参加者の低レベルにげんなりとする。
私はさらに低レベルのことしか書けない。
しかしなぜ軍事力も原発も無用であるとの哲学が優位に来ないのか。
世界の計画経済こそ急務課題であると、なぜ誰も言わないのか。
☆☆
Kがいなくても大丈夫な自分になる努力も必要かと、諸々の試みを考える。
しかし少し飲むとすぐに酔う。
こんな自分をばかだと思う。
寝る前の気分転換に1曲だけでいいから音楽を聴きたくなる。
こういう時のためにあの曲があるのだ、下田逸郎のセクシィ。
そうすると我慢ができなくなって、恋のかけら。
それで発見があった。
この曲はおまえと俺の、とKは言っていた。
メロディのことかと思っていたが、歌詞にも反応していたのなら、彼も私と同じ思い、同じ痛みを抱えていたということじゃないか。
いつだって会うたびに切なくて、やるせないこの気持ち、いつだって会うたびに忍び泣くこの恋に、私だけが肩をすぼめ、人の言葉に耳をふさぐ、遅すぎた。(ばかすぎたなんだけどね)
あいつも当時つらかったのかな。
そして長年つらかったのかと思うと、あいつの我がままも、またさらに許したくなってしまう私である。
DTBWBうらぶれた部屋、つらい。
とにかく私から去ってほしくない。
☆☆
私が転送したBBC番組、それから企画書追加事項、ちゃんと見てくれたかな。
☆☆
ダーリン、あなたはいざというときは家族を第一番に心配するだろうけど、そして私のことはそれほど心配しないだろうけど、だって去年の震災時はお互いにそうだったし、一緒に暮らしていないからそういう思考回路になっていない、情が深まっていない、そういうのとは別経路の感情だと私もわかっているもの。
でもこれからは、あなたにとって誰よりも失いたくない貴重な存在に私はなりたいな。
おやすみ。
私も寝る。
そして明日はライトノベルを書く。
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(追記)
「その絶景を3年間毎日眺めたはずだが、しみじみとありがたみがわかるほどには、人生の汚濁にまだまみれていなかった。絶景に負けないほど無垢だった」
とKは書いているが、私は中学時代すでにイノセントではなかったという思いが強い。
10歳の頃には、「もう10年も生きてしまった」と感じていた。
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2012.3.10
●K君──1章直し
逗子からバス。
マギル跡地の現在。
そこをマギル跡地と、呼ぶこと。
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●T子──PCメール(企画書追加事項)確認した?
転送のBBC番組見た?
私も今日は執筆、明日は墓参。
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●K君──見ていない。
すでに、バーガーキング。
(逗子からマギル跡地へ行って、もう東京に戻っているのではなく、すでに外にいるのでメールを見ていないという意味だった)
PCから携帯メールに送信してみて。
昨夜の、BBCなら見た。
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●T子──(企画書に追加の事項をKの携帯に送信)
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●K君──サンキュー。
だから、無常を覚えるのだ。
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●K君──佐野眞一新刊「津波と原発」講談社。
ひれ伏す。
ゴールデン街のおかまから、書き始める。
勝てねぇ。
参考にし、そこを迂回したが。
ひれ伏す。
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●T子──『津波と原発』の担当編集者は誰でしょうね。
○○さんに会ったら聞いておく。
(著者「あとがき」によると、担当編集者は石井克尚さんであると判明)
福島原発に比して、武山原研は小振り。
なのだから、大物と比べて嘆くことはない。
武山がディープに描けているか否か、そこが問われると思う。
☆☆
ノンフィクションを書くのは大変だ。
しんどいでしょ。
今後は方向転換したら?
☆☆
企画書、後半部分の内容を加筆する件、あなたやるでしょ?
今夜、送る。
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●K君──本日、産経新聞は、社説に、方丈記を、とりあげた。
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(電話あり、30分ほど話す。むろん、話題は武山のこと)
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●K君──ついでに6章とエピローグのノートも送っておく。
ノート、覚書だよ。
すでに、他の章にも、余計なことが追加されているが。
明日、「3・11」。
一様のけじめでしょうか。
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2012.3.11
●T子──ごめん
昨夜送ってくれた3データを、再送信してください。
PC操作を誤って、送受信セットアップからやり直しなの。
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●K君──送った
パソコン房から。
【出版企画書】
タイトル『(仮)幻の横須賀原子力研究所』
(本書の内容)
1950年代後半、原子力行政により、横須賀市武山に「原子力研究所」を設置する計画が持ち上がった。
これを受けて某重電機メーカーに勤務する父の転勤が決まった。
ここから著者の「横須賀物語」がはじまる。
当時の横須賀市における原研誘致計画を調べてみる。
地元選出の左派社会党代議士が原子力委員になり、誘致の旗を振った。
朝鮮戦争特需終了後の失業対策が急務であった。
学者は「原研を設置するなら海のそばがいい」とした。
地元は、誘致運動に沸騰する。
しかし、たった4ヶ月後、武山は候補地から除外、ライバル候補地であった茨城県東海村に原子力研究所創設が決定する。
誘致の先頭に立った地元代議士は、市民ともども梯子を外された。
身内の社会党も梯子を外した。
彼は次の選挙で無所属から立候補する破目になり、そして落選した。
国は、初めから武山に造る気はなかった。
しかし、「武山が平和に寄与する」というイメージを喚起し、内実「再軍備」の準備が整うまでの時間稼ぎをしたのだと解釈する。
その後の武山に第2幕がある。
キリストの加護のもと、立教原子力研究所設置の計画がスタートし、武山に原子炉の火が灯ったのである。
それに付随して、著者の父の会社も誘致され武山に来たのだった。
立教原研の立地場所は、戦後米軍キャンプ・マギルとなった旧軍の武山海兵団跡地であった。
返還後の跡地の大部分を占めるのは、「自衛隊」である。
つまり、武山を巡る2つの原子力研究所は、日本の再軍備・自衛隊駐屯地化へのカモフラージュだった。
立教原研とそれに付随して誘致に応じた企業も、返還地の「平和」利用を喧伝し、原研創設と同時に駐屯を開始する「自衛隊」再軍備の露払いの役目を負わされたのである、と大局を読み解こうとする。
大局は、ペリーの浦賀来航にはじまっており、戦前も戦後も、そして今でも変わらない。
この間の流れを、長井台地の上から眺めていたのが、最後の海軍大将井上成美である。
井上の戦後の「来し方」に深い感銘を覚える。
原子炉維持費用の困難が問題となっていた立教原子炉は、80年代初頭に冷却水漏れ事故を起こし、廃炉となる。
燃料棒を抜いてから10年以上経過したが、3・11大震災の1ヶ月前、放射性物質が検出された。
現在、企業誘致に供されたキャンプ・マギル跡地には、超高圧研究所を後継した電力中央研究所だけとなった。
広大な更地の最奥で廃炉になった立教原研が、いつ解体されるともしれぬ「時」を待っている。
立教に帯同して進出した父親の会社を含め、関連各社は、原子力に関与したことをその歴史から抹消した。
結局、原研設置でいい目をみたのは財閥系資本であった。
原子力が財閥の再興を招来し、グループ内の銀行を中核にした企業集団が、利益を共有しながら高度成長をひっぱった。
内需拡大はゼネコンに頼った。
あとは野となれ山となれ式の資本の悪循環である。
電力事業は当初、半官半民でスタートしたが、やがて民営に移行し、原子力に連動した。
原研は原発に直結する。
国策からみると、民間原子力ビジネスはエネルギー開発のみならず、憲法九条に抵触しないかたちでの再軍備促進という意味を持つ。
「3・11後」の気分のなか、「老母介護」の年齢に達した著者のふるさとは、軍都横須賀の「武山」という日本史のなかで特異な場所であり、武山へ転入する契機となったのが、戦後「高度成長」を牽引する「原子力」に因縁のある場所であった。
著者は原発に関して「反」でも「脱」でもない。
しかし、原子力「平和」利用推進の裏側には日米「安保」があり、憲法九条と相容れない「再軍備」が隠れていた。
これが戦後「五十五年体制」の矛盾であったことを指摘したい。
小泉純一郎も、この矛盾のまっただなかに育った。
小泉がブッシュの面前で繰り広げたプレスリーのパフォーマンスは、「矛盾」に対する痛烈な批評であったと思う。
「ちゃんとアメリカ文化のなかで育ってやったぞい。追随してやろうじゃないか。しかし靖国は行く」のである。
今回送信いたしますのは前半部分です。
(後半は武山の第2幕・立教原研がメインテーマ)
これを企画コンセプトおよびサンプル原稿の代わりとしてお読みいただけるなら幸いです。
ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。
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(電話あり)
(T子記す)
Kは自分が書いた「あとがきのような企画書」を活かしてほしいと言う。
私はそれに応じたくない。
おまえと俺とでは認識がずれている、左翼のような物言いを勝手に盛り込むな、今日3・11、明日から流れが変わる、とK。
そうかもしれない、だけどあんなにとっ散らかった企画書は送れない、編集者に通じない、かえって混乱させてしまう、と私。
そんなことはない、通じる。
もっと通じるように書けばいい。
俺の意見は意見として、通じるやつには通じる、通じないやつにはどう書いたって通じない、通じなくてもいい。
わかった、もう一度よく読んでみる。
エピローグも読め、少しはわかるはずだから。
毎日変わるから、ついていけない。
情勢は日々動いているのだから仕方ない、申し訳ないが、そういうことで。
(この時点では結論出せず。講談社に企画書追記を送信するのは見送ることになりそう)
…………………………
(その後、3、4回電話あり、上記の内容むしかえす)
Kは、コンビニの記述から始めた理由を私に理解させようとする。
わかるよ、それはわかっている、と私。
本当か?と聞かれる。
私がわからなくてもいいんじゃないの、それがあなたのやり方でしょ、とやり返す。
☆☆
ケインズの箇所についても同様で、私に馴染みのある言葉で言えば、「資本主義の拡大再生産が限界にきていて成長不可能となっている」ということ、だから金融帝国主義を展開して生き延びた、それもわからないだろうと思っていたの?
米帝なんて言葉を使うな。
では何と言えばいい。
アメリカの理想主義、でいい。
帝国主義は帝国主義としか言えない、ほかの言葉を知らない。
(この問題むずかしい。意見の一致を見る以前に空中分解)
☆☆
何度も読めば次第に全内容わかってくる、とK。
著者本人がそう言うのだから、これが最もよく内容を表しているのでしょう、だが文章がまずすぎる、これでは企画書として出せない、と私。
たしかに下手だが(Kはちょっとしゅんとしたみたい)、これで今の気分が伝わる、なのに切られた。
切ってはいない、私が求めたのは後半の内容を示す文章だった、それは拾い上げて企画書に追記した、あとがきのような企画書は別物なので手を入れていない、これを本編に盛り込むのは違うというなら、それこそ「あとがき」に使えばいい、今の気分どおりに書いて混乱もよしとするのは、プロデビューして売れたのちにできること。
☆☆
私が不安に思うのは、Kの文章が粗いこと、書き殴ったままで平気でいること、思考の流れが混乱したままで整理されていないこと、編集者の求めに対応する誠実さと粘りに欠けること、それらをクリアしないとプロとしてやっていけないだろうということ、と私は率直に伝えた。
☆☆
今日3・11で一つの区切り、明日から「アンフォゲッタブル」をやる、とK。
どうぞ、ご自由に。
…………………………
(T子記す)
郵パックのサービスは宅配業者に劣り、利用者に手間を押し付けている、自分らは責任逃れしか考えていない、といったことなどは「売文生活」の著者が書いていた通りだと思う。
コンビニで酒類タバコを買うなら未成年者でないと示すことを求められる、それに対してKが怒りたくなる気持ちはわかるが、バイト店員を責めても始まらない。
条令そのものがおかしい。
「未成年者に酒タバコを買わせない」だけではダメなのだ。
子供にとって飲酒喫煙の害がどれほど深刻かを教育することの意義がなおざりにされている。
病人、老人にとっても害は大きいけどね。
☆☆
責任逃れが蔓延する不甲斐ない社会になった、と糾弾するよりも、「事の本質を追求する頭を持て」「それにはこういう行動が有益だ」と具体的に啓蒙する書物が必要とされている。
実際にそういう本が売れ筋であるのが現状だと思う。
☆☆
お手軽ハウツー本よりも体験者が語る裏事情、現場発のリアル情報、なども良いですね。
その一方で、現実の匂いがしないバーチャルリアリティー、ファンタジックなものも、よく売れる。
…………………………
(さらにT子記す)
情緒不安定。
Kとまた別れることになったらどうしよう。
昔のあのつらさを二度と味わいたくない。
本人同士の問題とわかっていても、誰かに訴えずにいられない。
弟が知らん顔していたことが胸に残る。
(↑これは後々大きな意味を持つ)
(似たような悩みをかかえるUちゃんに電話して話す。少しは気が楽になる)
要は、書く仕事が順調にいけばいいのだと気づく。
☆☆
ある心理カウンセラーのために代筆した本を読み返し、「これよりももっと売れた」と言われたシリーズ本との差異を探したが、夫婦の問題か母息子の問題かという内容の違いがあるのみで、原稿の質はさほど劣っていないと思い、安心する。
心理カウンセラーによると、「夫や恋人を責めるな。かえって言うこときかなくなる、心を閉ざす、離れていく」とのこと。
「黙っていても伝わるものがある」とも言う。
ならば黙っていよう、と思う。
☆☆
「うらぶれた部屋で」のメロディは「シークレットラブ」に推移していくと発見。
その歌詞を、今の私から昔の私へ言い聞かせたい。
そう思って歌詞を受け止めると、「忘れちまいな、それが身のためさ」が納得しやすい。
ただ、あいつの美しさと魅力に勝てない。
あいつの手でぞんざいに剥かれた煙草パッケージを目にしてさえ、「あいつらしい」と見とれてしまう。
酒を持つ手つき、読書するときの顔、昔はもっとふっくらしていた唇、笑うとキレイに見える歯と口もと、肩幅、背の高さ、勢いのある話し方、直感的にものを言うところ、諸々にやられている。
あたしはこのひとじゃなきゃだめ、とわかっている。
あいつにも、もっと私を追いかけてほしい。
私という女を求めてほしい。
いつまでもずっと仲良くしたい。
…………………………

2012.3.12
(交信なし)
…………………………
(T子記す)
連絡を寄越さないだろうと予想していたので、私は平常心。
私だって、ばかにされ責められ、そのくせ甘えられ頼られ利用されたのでは割に合わない。
できるものなら、こちらから連絡するのを控えたい。
☆☆
昨年9月以降、あいつも恋愛テンション高まっていた。
殊に年末、安針塚から井土ヶ谷のアパート解禁の日は盛り上がっていたはず。
しかし武山を書き出してからは頭がそっちにとられ、最近はとみに混乱して、恋愛どころじゃなくなったと思われる。
私は未だに色きち、恋ぼけ、男狂いの状態が続いているのに。
☆☆
あいつはだめ男では断じてないが、よくない男、ひどいことをする男、自業自得の男、要するに身勝手な男であることを痛感。
実家両親や家族に対して、あいつがしてきたことを思えば、君子危うきに近寄らずの物件であることは明白。
☆☆
Kが私を秘書にしたがる気持ち、執筆活動のすべてを私に理解させたがる気持ちはわかるが、1軒の家に2人の作家が同居することは困難。
私は落ち着いて書けない。
☆☆
作家活動を共有するのはよいが、その息苦しさから逃れたくて、あいつはほかに気晴らしを求めるかもしれない。
私から遠ざかるために外を出歩かれるだけでもつらいのに、ほかの女に走ったり、女の元に逃げ込んだりしたらどうする。
現に今、あいつは家庭から逃れるために私を避難所にしているではないか。
☆☆
夢よ、もう一度。
恋愛テンション高まれ。
…………………………

2012.3.13
●K君──オレ、コンビニのお兄さんに、怒ってるわけじゃないよ。
…………………………
●T子──それはわかってます。
責任逃れが横行していることを述べるにあたり、コンビニの例はピカイチではないと思って、先のメールを送った。
些細な食い違いだと思う。
対立するのはよしましょう。
…………………………
●T子──今仕事終えたところです。
「あとがき」のような企画書、さらに読み込んでみました。
あの内容をすべて本編に書くつもりはない、とあなた言っていたけど、ならばなぜ、企画書に書くのかわからない。
☆☆
あの企画書を読み、ノンフィクションに徹したほうがよいと感じる箇所も多々あり。
その筆頭はラストの「富士山爆発を見たい」という感慨。
小説ならアリの表現だが、ノンフィクションであの結びはないでしょう。
著者は真に絶望しているの?
ならば何も書かないはず、だと思うのですが。
…………………………
(電話あり、30分ほど話す)
(T子記す)
また私に文句があるのかと思ったら、Kはこの1週間、3・11報道などで心がざわついていたとのこと。
わかってるよ、情緒不安定だったもんね、それで私をばかにして責めるんだよね。
ばかになんかしていない、責めてもいない、そういう言葉はすべて呑み込んだ。
失礼ね。
☆☆
文藝春秋を読め、3・11に関して101人の作家が書いている、とK。
私はメールで、BBCの番組を見ることを薦めた。
☆☆
今日はだいぶ落ち着いていたが、起き上がれなくて1日半寝込んだ、その間も武山の構成について考え、未だ格闘している。
(武山に関して、また企画書を提出する意味について、さらには↑の内容などを少し話し合う)
☆☆
(次に書くアンフォゲッタブルに関しても、その背景となる時代のことなど話し合う)
やはり社会派の小説になるのかしら。
いや違う、めめしい話になるのだ。
☆☆
早く講談社さんから良い反応があるといいね、と私。
文章力と構成力のまずさで落とされるのではないか、とK。
そんなことはないと思う、出版社が見ているのは著者の資質、持っているテーマ、今回書こうとしているネタ、だと思う、構成や文章はあとでいくらでもフォローがきく、だから私はきっと良い反応があるだろうと楽観している。
ともかく話せてよかった。(とKは安心した様子)