【2012 April】
2012.4.1
(交信なし)
…………………………
(T子記す)
名探偵ポアロを演じている俳優がオリエントエクスプレスに乗り、ロンドンのヴィクトリアステーションからフランスのカレイ、そしてヴェネツィア、チェコへと旅する番組を見つけ、K君にも見せたいと思った。
☆☆
Kが言っていた「20万近くも放出してしまった際のアクシデント」って、息子さんの活躍と頑張りに感動したことでしょ。
新宿の安ホテルでデリヘルなど呼んで法外な値段をふっかけられたとか、そんなんじゃないよね?
☆☆
あなたは私に仕事のチャンスとお金を求めて寄ってくる。
それでもいいと思っていたけど、あまりに露骨だと悲しい。
多少は愛情もあるのだとわかってはいるが。
☆☆
三浦に家を借りて私も住まわせる、そして私を秘書にしたいという気持ちを、もっと強く出してくれたらいいのに。
☆☆
連絡をとりたいが我慢する。
こうしてノートに書くだけで、送信しない。
☆☆
だめだ、やはりメールしたい。
☆☆
今日も雑誌記事を書き、先ほどすべて終えた。
明日から単行本。
…………………………

●T子──参考図書は届いた?
諸々だいじょうぶ?
禁酒禁煙しているなら体調は悪くないはずよね。
20万近くも放出してしまった際のアクシデントって、息子さんの活躍と頑張りに感動したことでしょ。
新宿の安ホテルでデリヘルなど呼んで法外な値段をふっかけられたとか、そんなんじゃないよね?
名探偵ポアロを演じている俳優がオリエントエクスプレスに乗り、ロンドンのヴィクトリアステーションからフランスのカレイ、そしてヴェネツィア、チェコへと旅する番組を見つけ、K君にも見せたいと思った。
○○本は6月刊行、入金は9月5日の予定。
資金繰り厳しいね、どうしよう。
…………………………
2012.4.2
●K君──おはよう。
家に15、娘ふたりに1・5。
横須賀古本屋巡りで1。
10日で1。
小金3だけ、バンスで振り込んでくれ。
土日、家に居られず。
インスタントラーメン1食。
バーガーキング行けず、夜空のパークホテルに、酒はない。
頼む。
☆☆
本は届いてる。
オリエントエクスプレスもよいが、マレー鉄道エクスプレス、バンコク~シンガポールもいい。
金子光晴「ドクロ杯」。
☆☆
お願いだ、助けてくれ。
…………………………
●T子──内訳にホテルがない。
家で食べて。
…………………………
●K君──だめですか。
…………………………
●T子──最後の20万は2万ずつ、10回に分ける。
振込手数料はかからない。
だけど月末まではだめ。
約束だから。
☆☆
あなたも、ご家族も、私には理解できない。
私は親の世話にならずに18歳から稼いでいる。
23のときには自営業スタートしていた。
つれあいに生活の面倒をみてもらったことはない。
それが嫌なら、別れればいい。
☆☆
あなたは、私が好きなら私を大事にするべきで、ましてや私と力をあわせて書く仕事をしていくつもりなら、私を食い潰してはならないはず。
理解できない、共感できない。
そんなあなた方の都合に合わせて支援を続けることはできません。
…………………………
(電話あり)
(T子記す)
お怒りごもっとも、おまえの気持ちはわかるとKは言うが、口先だけ。
2万ずつ10ヵ月、と読み違えている。
10ヶ月ではなく10回だ、と説明。
あなたは仕事が入れば一生懸命にやると私は知っている、だから応援している、たいした力はないけれど。
(↑私泣きそう)
おまえに甘えているとわかってる。
あなたが書いていけるようにしたいのであって、あなたの家族の生活を支えたいわけではない、家族のみなさんのやり方に共感できない、あなたは私の言葉をきちんと読まない、○○本についてもあなたが本当に相手の求めているものを書いてくれるのかという点が心配、独断でよけいなことを書きそうで不安に思っている。
☆☆
すごく大変なのはわかる、と私。
わかってくれるか、とK。
だけどあなたの一家はやってることがおかしい、どうかしている。
そう、どうかしているんだ。
稼げないお父さんからふんだくろうとすることないのにね。
☆☆
おまえは自分の生き方を書いてきたが、それは女房の言うことと同じ、要するに働けということだろ。
(↑これも読み違えている)
私は、あなたたちがもう大きな娘たちを面倒みることはない、甘やかしすぎだと言いたかった。
長女は今日から会社、でも家にお金は入れないだろう、家を出るタイミングを虎視眈々と狙っているのだろう。
(↑そのことは先日渋谷で聞いたが、だったら早く出て行ってもらえばいいと思う。そうすりゃ親の負担は減るだろう)
次女に千円借りた。
そうよ、あんたが家に入れたお金を少しでも返してもらいなさいよ。
娘さんは大学に行きながらアルバイトするのかと聞くと、Kは「してますよ」と。
(↑カチンときた。私が責めるので娘をかばうような言い方じゃないか)
俺が家族といることが嫌なんだろう。
そうじゃない。そりゃ独り身でいてくれたほうがいいが、子供に対して責任を持ちたい気持ちはわかる。逃げちゃう男も多いのに、逃げないのは偉いと思う。家にお金を入れてもいい。そのぶん自分が使える金額は減るので、やり繰りするというならね。だが家賃の高いところに住んで生活苦に陥るというのは矛盾している。子供の面倒みすぎるのも分不相応。あんたは25日になると家に15万入れているようだが、その恩恵に浴していない。家で食べず、外に出っぱなしの生活では身体がもたないだろう。すべてを一気に解決できるだけの額を稼げないことが原因だけれど、今のように私がお金を渡してそれを家に入れられていたのでは、この矛盾だらけで悪循環の現状を維持することに私まで加担することになる。それはあまりにばかばかしい。あなたの一家のやり方に納得できない。共感できないまま支援を続けたくない。
するとKは、俺の家族じゃなく俺のやり方に納得できないということだろう、と言った。
(↑これにもカチンときた。家族をかばうような言い方だ)
☆☆
私はあんたが書いていけるようにするために支援をしたい、砂漠に水をまくような支援は虚しい。
砂漠じゃなくて何ならいいの?比喩として。
箱庭もしくは盆栽。
俺は箱庭なのか、砂漠に咲いてる花かもしれないのに。
☆☆
俺が家を出てからも、学資くらいは送らないとならない。
そうね、父親の責任を果たしたいでしょ、やれば? 止めないよ、ただし自分の力でやりなさいよ。
K無言。
あんたが家にお金を入れることに腹を立てているわけではない、しかし月20万で4ヶ月という約束だった、あなたはそれを無視して前倒しした、だから4月のやり繰りがつかなくなった、あなたがしっかりしないからいけないのよ、マネージメントが悪い、あなたの家庭もマネージメントがなってない。
(それで過去にも失敗しているのだ、とKは認める。自己破産のことを指して言っているのだろう)
☆☆
なおもKは、3万振り込んでほしいと言うが、私は応じない。
ほかから電話が入ったみたい、切るよ。
…………………………
(メール送信した)
●T子──さっきの電話で、ますます頭にきた。
もう二度と金を要求してくれるな。
何もかも、だめになる。
利害の一致する話をするようにしたい。
仕事のこと、などね。
催促されなくても、振り込むときは、振り込む。
…………………………
(再び電話あり)
(T子記す)
2万ずつ10回という方法では、俺にとって成立しない。
じゃ、やめましょうか。
そうだな、やめようか、あると思えばあてにしちゃうから。
やめるよ、だからあてにしないで。
(家に15万入れられないのなら意味がない、ということか)
☆☆
おまえにいくら借りてるのかな、150万くらいか。
そうね、そんなとこ。
☆☆
仕事の話もなしにする? とKを脅してみたが、書く仕事はやりたいようなので、○○本を取り下げることまではしなかった、大人げないし。
仕事だけの関係にすればいいんだよな、とKは言う。
あの手の本いろいろ読んでみたよ、俺もビョーキかもしれない、心療内科の患者が先生の本を書くというのも面白い、とK。
☆☆
だが結局こうして電話をしてくるのはお金目当てなのだ。
☆☆
肉体労働してもいいけど月15万も稼げない、現場のあとは酒飲まないとやっていられない、○○本書くから3万入れてくれ、とKは言う。
どういう理屈だ、と私はやり返す。
しかしとにかく3万、3万とKは食い下がる。
そう言われるほど嫌になる、私のメール読んだでしょ、金貸せと要求してくれるなと書いた。
そんなの読んだって仕方ないじゃん、ねえ3万、3万でいいから貸してくれよ。
しつこいな、もうやめよう、あんたはやり方を間違ったのよ。
(電話を終了した)
…………………………

●T子──たびたびでごめんなさい。
○○本は、やはり私が書きます。
私のほうが、よくわかっていると思うから。
ベストセラーになるといいよね。
☆☆
群像、すばるの結果も待ち遠しい。
私の売れ行きが良くなった暁には、あなたに惜しみなくお金を回す、仕事もね。
あなたは一人暮らしをして、家族に仕送りしてもいい。
☆☆
現状は、中途半端な援助しかできない。
結果的に、中途半端な助けにしかならない。
なので、方向転換する。
☆☆
当面、半年前のやり方に戻してください。
あなたがどうしようと私は文句を言わない。
…………………………
●K君──アンダースタンド。
…………………………
(T子記す)
いいのだ、これで。
「結婚しようか」と言われた半年前の状態に戻る。
縁は切らない。
私は仕事に没頭し、よけいなことは考えない。
☆☆
しかし、よく思い切ったと我ながら感心する。
1年半前の再会、そしてこの半年間に蜜月を経験できたからだと思う。
毎日連絡をとりあっていた。
ホテルを泊まり歩くデートが4、5回、うちに泊まったのが6回で12泊。
やり残していたことがやれたので、だいぶ気が済んだ。
完璧にではないが、満足することができた。
そして、ほんの少し、飽きてきた。
☆☆
Kの仕事の能力とセンスはかうけれど、ライターとしての能力にやや疑問を持ち始めたことも、Kを遠ざけようとしている理由の1つ。
☆☆
Kはうちにいるときは、私の好きなようにおもてなしをさせてくれる。
それでもまあ多分に我が儘だけれど。
そして外に出ると、何もかも仕切ってくれるので頼りになる。
私は安心してついていけばいい。
そんなところがとてもよかった。
近づかないほうがいい危険物件ではあるけれど、魅力あり、引力あり。
☆☆
私はKが大好きだから、ずっとつきあっていきたい。
損をするなんて思わない。
ほかの男ではだめ。
ただし今のような場合は、こちらから少し距離をとったほうがいいのだと思う。
☆☆
これにより、Kが離れていったらどうしようと怖くもある。
でも、そうなったらそうなったときのこと。
恐らく、そんなことにはならないだろうと思う。
☆☆
一生つきあっていきたい。
結婚したい。
同じ家に暮らすのではなく、それぞれに住まいを持ち、書く仕事をして、月の半分くらいを一緒に過ごしたい。
一緒にいるときはKに夢中になってしまうし、尽くしてしまうから。
一人でいるときは仕事を優先し、自分の好きなペースでやっていく。
☆☆
いろいろ話したい、仲良くしたい、支え合いたい、大切にしたい、一人よりふたりの力で相乗効果をあげて大きな仕事を成し遂げたい。
書けば書くほどうまくなる、成長する。
どこまでいけるのか知りたい、長生きしたい。
☆☆
私が資金援助をしなくなり、仕事も回さなくなれば、Kは小遣いに不自由するうえ、家にお金を入れられない。
だから自力で仕事を見つけるしかない。
それもできなければ、いよいよ家を追い出されるだろうか。
そうなれば、いやでもアパートを借りて一人でやっていくしかなくなるだろう。
それは一歩前進といえるのではないのか。
そういう状態なら、私も仕事をまわしてあげる甲斐がある。
☆☆
しかしKが家を出たとして、自分の生活費と娘の学資を稼ぎだせるだろうか。
☆☆
次女が大学卒業するまでの4年間は現状維持、ということも考えられる。
長女と奥さんが定職をもって稼ぐ、Kも少しは稼ぐ、次女もバイトする、現在それで何とかまわっていると言うのだからね。
☆☆
でも家賃の安いところに引っ越しをすれば、さらに楽になっていくはず。
その4年間、私とは今と同じようにKと連絡をとりあい、毎月数日をともに過ごせればいい。
私は早く一緒に暮らしたいと思っているわけではないのだからさ。
そりゃ奥さんと仲良くされちゃ困るけど、娘さんたちのそばにいて仲良くするのはいっこうに構わない。
「お父さんごっこができるのも今だけ」とK自身が言っていたことだしね。
☆☆
だがKいわく、「家族は引っ越したらもう俺とは住まない。俺の部屋なんかない」とのこと。
つまり居場所がなくなるから、Kは引っ越しに賛成できないのだ。
☆☆
ならばどうする。
今のまま、無理に無理を重ねた生活を続けるのか。
それはおかしいだろう、と私は言いたいのだ。
そんなことをするぐらいなら、早く家を出たほうがよくはないだろうか。
家族それぞれが自分の面倒をみる、というのが望ましい。
☆☆
俺はおまえに甘えている、とKは何度も言った。
しかしそんなことを言われて心が動かされるわけじゃない。
女房は助けてくれない、とも言った。
なぜそんな情けないこと言うのか。
嫌になる。
☆☆
もともと5月いっぱいで20万振り込みは終了、の予定だった。
その後単行本の仕事をいくつか回したとしても、入金するまでのつなぎ資金が要る。
そこまで面倒みると、私に影響が及ぶ。
☆☆
Kは自活できるだけの稼ぎの目途を立てたいはず。
作家デビューを果たしたいという願望も強い。
そのいっぽうで、映画の仕事が終わってしまって引退というか定年の時期だと弱気になっている。
☆☆
私は「人生二毛作なのだから今後は文筆業で身を立てよう」と勧めているが、Kにとって道のりは遠いという気がしてきた。
それよりも私が稼ぐほうが早い。
☆☆
Kの面倒をみてあげられるだけの額を稼ぎたい。
しかしそうなったとして、私は苦情を言わぬ自信があるだろうか。
稼ぎに余裕があればいいが、余裕がなければしんどいだろう。
私もKも稼げるようにならないとだめなのだ。
☆☆
連絡がつかなくなればつらいだろうが、会わずにいれば次第にどうでもよくなる。
今も、Kに対する失望、幻滅から嫌気がさしてきた感あり。
Kをリリース、放念。
これは私にとって大事業であった。
1日かがりだったが、よくやった、と感心する。
☆☆
これでKをダメ男だと断定したわけでも証明したわけでもない。
Kが底力を発揮して盛り返す可能性はある。
そうなることを私は望んでいる。
Kが良い状態になって私と一緒になること、ともに書いていくことを目標とする。

…………………………
2012.4.3
(交信なし。平気)
…………………………
2012.4.4~4.6
(私は母とそのお友達と共に、2泊3日で三浦海岸まほろばへ)
…………………………
2012.4.4
(KはPCメールを送ってきていた。○○本の準備をしていることを伝える内容で、「軽く、メモ」と題されていた)
…………………………
●T子──Guess!!
Where am I now?
三浦海岸まほろば、だよん。
☆☆
昨日の雨と強風、大丈夫だった?
心配したのよ。
☆☆
今はゆうちょ銀行カードを持ってないけど、土曜日、横浜に戻ったら、私の気持ちとして2万振り込みたい。
ありがた迷惑かしら?
…………………………
2012.4.5
●K君──有り難き、至上の愛。
よろしく。
感謝。
…………………………
2012.4.6
●T子──異なります
>有り難き、至上の愛。よろしく。感謝。
↑がくんと冷めて、リリース、放念。
この先に何があるのか、自分でもわからない。
☆☆
PCメール見たけど、あれは○○本を書きたいという意思表示?
それならそうと、はっきり伝えなければ、見過ごされてしまうよ。
…………………………
●K君──わかった
あきらめる。
…………………………
(T子記す)
Kのことを考え続けた。
心はわりと平静。
重荷をおろしたような安堵感あり。
…………………………
2012.4.7
●K君──恐れ入ります
「ありがた迷惑」を、是非ともお願いできませんか。
何とか、心変わりを。
…………………………
●T子──横浜に戻ってきたけど、疲れて動けない。
あとで。
…………………………
●T子──心変わりのあとで、最後に2万振り込みますと、私のほうから言ったのだから、催促されなくても実行する。
しつこく催促されるのが一番いや。
ちなみに、計算してみたら、これで合計154万の貸し。
返す際は200万にしてみたら?
…………………………
●T子──振り込みました。
どうかご自愛のうえ、ご無事にお過ごしください。
…………………………
●K君──ありがとう。
チャーシュー麺
喰えたよ。
…………………………

2012.4.8
(心は平静)
(『群像』新人文学賞第一次・第二次予選通過作の発表あり)
…………………………
●T子──ショックだよ。
群像5月号が届いたけれど、私の名前どこにもなし!
第一次予選すら通過できなかった。
スクランブルがだめならトランジットも望みは薄い。
この敗北、どう立て直したものか。
涙は出ないが、心は泣いている。
私が新人文学賞に落選した場合にそなえて、あんたは言葉を用意してあるんでしょ?
受賞のときよりも難しい、と言っていたよ。
…………………………
(電話で話す)
(T子記す)
だめだった、だめだったの。
なんの話?
私のメール読んでないの?
読んでない、PC?
違う、ケータイ。
届いてない。
それじゃ誰かほかの人に間違って送っちゃった(そんなわけないけど)、二次予選も一次予選すらも通らなかった、もうだめ、スクランブルがだめならトランジットはさらに望み薄い、こんなはずじゃないのに、予選通過すらしないなんて、こんな屈辱はじめて。
群像5月号のことか、昨日発売の、見たよ。
それじゃもう知っていたのね、あの頁だけ見たの?
ほかの頁も全部見た、文学はしんどいなと痛感した。
泣いてなんかいなかったけど、あんたの声を聞いたら泣けてきた(もはや号泣)。
だから俺が言っただろ、純文学は自分の精神病理の告白だって、若いやつらがみんな自分の病気のことをくどくど書いて応募してるんだから。
だけど私は以前と比べてぐんとよいものを書いた、それなのに認められなかった。
うまければいいってもんじゃない、別のところが見られているんじゃないか。
文学の価値がそれほど変わったとは思わない、文章も内容も、私のは商品価値がない、書いていける資質じゃないってこと? くやしい。(泣く)
その今の気持ちを書けばいい。
こんなの書いたってなんにもならない。(怒鳴りながら泣く)
それを書けばいい、また同じテーマで書けばいい。
書くなら別のものを書く、あれはあれで私の中で終わっている。
自分の気持ちを全部さらけ出さないとだめ。
あんなに恥さらしたじゃない。
でももっと自分の病気について書くべき、今まで書いたものはいずれ短編集に入れればいい。
別のものを書いても同工異曲と言われるだろうけど、今の私にはあれ以上のものは書けない。
書けるよ、だけどおまえ、ほんとにいけると思ってた?
受賞するかどうかどうかわからないけど、予選通過はすると思ってた。
あんたも講○社に原稿見てもらって賭けたんでしょ、でも思わしい結果にならなくてくやしかったでしょ、それでも励ましの言葉があったじゃない、岩国の作家みたいな方向で書いていくといいって○○さんは言ってたんだよ、私は群像から何の言葉ももらえなかった、まるで相手にされなかった、あなたこれからどうするの(と私はKを気遣った)。
書いていくよ。
(そうか相変わらずバイトする気はないのか)
それでもうしばらくは家にいさせてもらえそう?
出て行けと言われるだろうな、今も言われている。
あとでまた電話しようか、電話するよ、とK。
…………………………
●T子──私つらいので、今日は一緒にいてほしい。
明日、飯田橋で元ミス日本に会う。
だから今夜だけ、気分転換に話をしていたい。
…………………………
(電話で話す)
(T子記す)
私のメール読んだ? やだ?
なにが?
だからメールに書いたこと。
やじゃないよ、今から行きましょうか。
うん。
今から行きます!
…………………………
●K君──菊名
…………………………
●T子──中華、発来にいる。
…………………………
●T子──中華は閉店の時刻。
そば志にいる。