書き方・話し方のマナー

「れ足す言葉」は、くどい、しつこい

投稿日:2017年4月22日 更新日:

言葉の世界には、本来入れるべき「ら」を抜くいっぽうで、必要もないのに「れ」を足すという複雑怪奇な現象が見られます。
これを「ら抜き・れ足す現象」といいます。

●「ら抜き・れ足す」の言葉たち

「食べられる」ではなく、「食べれれる」

「出られる」ではなく、「出れれる」

「見られる」ではなく、「見れれる」

「表せられる」ではなく、「表せれる」

↑これらはみな、「ら抜き・れ足す」言葉です。

「甘えれる」

「演じれる」

「つなげれる」

「決めれる」

「与えれる」

「考えれる」

↑これらも、「ら抜き・れ足す」言葉です。

↓正しい表現を示します。

「甘えられる」

「演じられる」

「つなげられる」

「決められる」

「与えられる」

「考えられる」

●「れ足す」の言葉たち

「出せれる」

「読めれる」

「飲めれる」

↑これらは、「れ足す」言葉です。

「出せる」

「読める」

「飲める」

↑と言えば伝わるはずなのに、どうして「れ」を足す?

「れ」を足すことで、「できる」という意味を強調しているつもりなのでしょうか。

「防げれる」

というのも「れ足す言葉」です。

「れ足す」になっているせいで、かえって意味が伝わりにくいようです。
要は「防ぐことができる」と言いたいわけでしょう?
ならば、「防げる」という言い方があるではないの!

「防げる」という言葉を一度も聞いたことがない、または目にしたことがない、という人の場合は、どう言って良いかわからずに、「防げれる」なんていう言い方をしてしまうのかもしれません。

「防げる」という言い方があるのですよ。
良い機会ですから、ここで覚えてください。

●「れれ」言葉

「寝られれない」

なんていう、くどい言い方をする人もいます。

「寝れない」などと「ら抜き言葉」にしていない点はいいのですが、必要もないのになぜ、「れ」を足す?
「寝られない」と言えば、じゅうぶんに意味は伝わるのに。

「来られれる」

というのも、くどい表現です。
「来られる」と言えば、じゅうぶんに意味は伝わります。

●まとめ

「それ、日本語としておかしいよ」

と誰かが指摘しなければ、「ら抜き」「さ入れ」「れ足す」の言葉を直すきっかけは与えられないままです。

あなたは、他人の言い間違いを指摘することができますか。
まだ幼い子どもや後輩、親しい人になら、遠慮なくズバズバ言えるかもしれません。

でも、それほど親しくない人や年上の人に面と向かって、

「その言い方、変ですよ」

とは言いにくいので、遠慮してしまうことが多いでしょう。

相手のプライドを傷つけることなく、それとな~く知らしめる方法はないものでしょうか。

「課長って案外、いまどき、なんですね。だっていつも“ら抜き”ですもん」

「ちょっと意外でしたが、先輩も“さ入れ”派ですか」

「“れ足す言葉”って、レレレのおじさん(by赤塚不二夫)みたいで面白いっすね」

とでも言えば、相手も笑い話のノリでつきあってくれるでしょうか。

関連記事→会話と文章の違いを意識して、はやり表現に注意しよう

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