という文、または言い方から「い」を抜くと、
となり、こういう文や言い方を私は「い抜き言葉」と呼んでいます。
親しい人へのメールやSNSなどで、あまり堅苦しい雰囲気にしたくないときは、「い抜き言葉」を使っていることが多いと思います。
ぐっとくだけた感じになって親しみを覚えてもらえそう、と期待してのことでしょう。
というように、助詞の「を」や「は」が省かれていると、よりいっそうくだけた雰囲気になります。
なぜかといえば、それはふだんの「話し言葉」に近いから、なのですね。
しかし正しくは、
となりますね。
●「話し言葉」はどこまで通用するか?
メールもSNSもそうですが、人に読んでもらう文を書くときは、
という思いから、
と身構えてしまうことがありませんか。
ガチガチに身構えていると、思うように書けません。
そこで、
とのアドバイスがよく聞かれます。それは間違いではないと思います。
頭に浮かんだことをそのまま、日頃の言葉遣いのとおりに書き出していけば、わりとすんなり文章を紡ぐことができます。これはいいことですね。
あえてくだけた調子にするのもよいと思います。
私もフェイスブックなどではよくこんな書き方をします。
しかし、たとえば仕事相手に送るメールに次のように書いたとしたら、先方はどうお感じになるでしょう。
いつも頼ってばかりで、すいません。
私も後輩に対して懇切丁寧に指導できるよう、頑張りたいと思ってます。
と怒られてしまうでしょうね。
メール文の内容そのものは一見、礼儀をわきまえているように見えても、「い抜き言葉」や「助詞の省略」を連発しているせいで、場にふさわしくない失礼な文になっています。
「すみません」と書くべきところを「すいません」としているのも、なんとなく失礼な印象を与えます。
となると、
ということなのです。
「話し言葉」が通用するのは、日常的かつプライベートな場面でだけです。
という違いがあることを、しっかりと認識しておきましょう。
●「基本はフォーマル、でも少しカジュアル」な書き方・話し方
前掲の「い抜き言葉」満載の文を適切な文に改めると、次のようになるでしょう。
いつも頼ってばかりで、すみません。
私も後輩に対して懇切丁寧に指導ができるよう、頑張りたいと思っています。
↑面と向かって話すときも「い抜き」ではなく、「います」と、きちんとした話し方をするとよいですね。
●「できるかぎりフォーマル」な書き方・話し方
礼をつくすべき仕事相手とはいえ、もう何度もお目にかかってそれなりに親しくなった間柄なら、
という感覚で接してよいと思います。
まだそれほど親しくない相手に対しては、できるだけ丁寧な伝え方をする必要があります。
↓
私も微力ながら後輩に対して懇切丁寧に指導ができるよう、頑張っているところでございます。
メール文はもとより、相手の方に会ってお話しするときも、このくらい丁寧な伝え方をしないと、敬意を感じ取ってもらえないでしょう。
「話すように書く」のもいいけれど、
「書くように話す」ことを心がけるとよいですね。
そうすればきっと、対面コミュニケーションも文章を通じてのコミュニケーションも、よりいっそう円滑になっていくと思います。
●まとめの一言
日常的かつプライベートな場面では「い抜き言葉」を使って問題ない、と私は思っています。
「い」を省略し、また時には助詞を省略することがあってもよいでしょう。
↑あえてくだけた調子にすることで、読んでくれる方は親しみを感じてくれる可能性が大です。
ただし仕事などの公の場面では「い抜き言葉」や「助詞の省略」はNGです。
という違いがあることを、しっかりと認識しておきましょう。