あざーす!
やばくね?
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必死の覚悟で
行かさせてもらいます
と申しますと?
↑これって何となく変な言い回しだと思いませんか。
思ったあなたは言語感覚が正常で、鋭い感覚の持ち主です。
変だと思わなかった人は、言語感覚があまりに斬新。というか時代の流れに乗りきっているのでしょう。
↑それは決して悪いことではないと思うのですが、言葉を丁寧に取り扱っているかというと、どうも違うんじゃないかな〜と私は感じます。
堅苦しいことを申し上げるつもりはないのですが、言葉にまつわるあれこれを、ちょっと考えてみませんか。
●巷に増殖する「うろん語」の群れ
人との会話、テレビ、ラジオ、映画、ネットにも、「それ、日本語として変じゃない?」と首を傾げたくなる言葉があふれています。
そういう「変な言葉」のことを、私は「うろん語」と名づけてみました。
「うろん」を漢字で書くと「胡乱」です。
「胡」という文字には「でたらめ」という意味があり、「胡乱(うろん)」とは「正体が怪しくて真実かどうか疑わしいこと」を意味します。
●どうも〜
うろんな言葉の一つに、「どうも〜」というのがあります。
よくある使い方の例として、「どうもありがとうございます」あるいは「どうもすみません」と言うべきところを、「どうもです」で済ませてしまう人がいるでしょう、あれですよ、あれ。
「どうも」だけでもおおよその意味は伝わり、意思疎通をはかれるのですが、その言葉を口にした人がどんな気持ちで、どんな意味をこめているのかまでは掴みにくいのです。
ですからやはり、
「どうもありがとうございます」
「どうもすみません」
と肝心の部分を口にしてほしいと思うのです。
「おはようございます」
「こんにちは」
「こんぱんは」
「お久しぶりです」
などの代わりに「どうも」を使うのも、できればやめたほうがよいのではと思います。
●お噂はかねがね
「お噂はかねがね……」というのも、当然そのあとに続くはずの言葉が省略されているせいで、どことなく含みのある、うろんな印象になります。
省略せずにきちんと、
というように言えるとよいですね。
ただし、
なんて言われると、言われたほうはいよいよ居心地の悪い思いをさせられます。
●あざ〜す
「あざーす」というのも、うろんな響きですね。
「ありがとうございます」をどれほど早口で言っても、「あざーす」にはなりません。
これはもう、意識して「あざーす」と発音しているのだとしか思えません。
「あざーす」は、かつてよく耳にした「まいどあり」という言葉の現代版なのかもしれません。
●やばくね?
突然「やばくね?」と訊かれると、いったい何のことだ〜と驚いてしまいます。
いや、言いたいことはだいたいわかるのです。
たとえば、何かおいしいものを食べているときなら、「これってすごくイケてるよね!」と言いたいのでしょう。
可愛い服や小物を見つけたときなら、「可愛いすぎて気絶しちゃいそう、やばいよね!」と同意を求めているのでしょう?
でもね、何でも「やばい」で済ませてしまうと、他の言葉を使う機会がありません。
だから言葉を覚えません。
知っている言葉さえ忘れます。失います。
言葉を使わずにいると、言語能力が退化します。
●まとめの一言
ここまでいろいろ述べてきたとおり、いかに「うろんな」言い方とはいえ、相手の意図をおおよそ察することはできます。
しかし、察してもらって当然とばかりに「あざーす」だの「やばくね?」だのと話しかけられると、私は一瞬ムッとしてしまうことがあります。
そのいっぽうで、思わず笑っちゃう。
笑えるほど可笑しいなら、聞き逃してしまうのは惜しいという気もします。
ですから私は、うろんな言い回しを耳にしたらすかさず書き留めておくために、いつもハンドバッグにメモ帳をしのばせています。