言葉をめぐる日々雑感

「お申し付けください」よりも「仰せ付けください」のほうが良いなあ

投稿日:2022年12月1日 更新日:

「読む・書く・話す・聞く」の日々雑感④


「商品には万全を期しておりますが、不都合な点がありましたらお申し出ください」または「お申し付けください」と言われたら、あなたはどう感じますか?

私は「申し出る」「申し付ける」という言い方に違和感を覚えてしまいます。

「申す」は「言う」の謙譲語で、自分の側がへりくだることで相対的に相手を上に置き、敬意を示すための表現だからです。

敬意を払うべき相手をへりくだらせちゃマズいでしょ、と思うのです。

『明鏡国語辞典』の編集委員による本『続弾!問題な日本語』によると、

「お申し出ください」は全体で尊敬語として使われており、明らかな間違いとまでは言えません。

とされています。う〜ん、そう言われても、私は納得がいきません。

ただ、その本に、こうつけ加えられていたのは幸いです。

「申し出る」そのものには謙譲語の性格が残っているため、客に対しては「お申し付けください」「お知らせください」などの言い方をするほうが望ましいでしょう。

ですよね、やっぱりそうでしょ、と半分だけ胸のつかえがおりました。

あとの半分は、「お申し付けください」でほんとにいいのか?と疑問が残るのです。

「お申し付け」という語にも謙譲語の性質が残っているんじゃないの?

だったら、お客様に対して使うのは不遜に当たるんじゃない?

適切な敬語表現にするにはどうすればいいの?

敬語を使うべき相手は、お客様とは限りません。

上司、先生、先輩といった目上の方、年長の方などには、できるだけ適切な敬語を使うようにしたいものです。

では、「お申し出」や「お申し付け」を適切な敬語表現にするにはどうすれば良いのでしょう。

答えは、「仰せ付けください」とすることだと思います。

「仰せ」という言葉があった、と思い出そう

「仰せ」(おおせ)というのは、目上の方からの言いつけ、命令、お言葉のことを指します。

仰せをいただく
仰せのままに
仰せつかる
仰せつかりました
仰せつかっております

というように使います。

「お申し付けください」→「仰せ付けください」


「お申し出ください」→「仰せ付けください」または「お知らせください」

このように言い換えると良いですね。

「仰せ」という語は、今や滅多に使われることなく、半ば忘れられた言葉になっていますが、ぜひ復活・復権させたいと私は考えています。

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