「馬から落馬する」「顔を洗顔する」というように、同じ意味のことを重ねて言うのは、やはり変ですね。
しかしこのような「重ね言葉」は案外、頻繁に使われています。
日常会話においてはそれでよいのでしょうが、ビジネスシーンやあらたまった場でうっかり使ってしまうことのないよう、気をつけたいと思います。
それにはまず、どんなものが重ね言葉なのかを知ることが必要です。
そして、重ねて言わないようにする方法を知ることです。
以下に、重ね言葉の言い換え例を挙げていきます。ご参考になさってください。
重ね言葉の言い換え例
「1月1日元旦」→「元旦」
「元旦の朝」→「元旦」
「あとで後悔する」→「後悔する」「あとで悔やむ」
「あらかじめ予定する」→「予定する」「あらかじめ決めておく」
「一番最初」→「最初」「一番目」
「いにしえの昔」→「いにしえ」「昔」
「いまだに未解決」→「未解決」「いまだに解決していない」
「色が変色する」→「変色する」「色が変わる」
「後ろから羽交い締めにする」→「羽交い締めにする」「後ろから締め上げる」
「沿岸沿い」→「沿岸」「海沿い」
「炎天下のもと」→「炎天下で」
「お体ご自愛ください」→「ご自愛ください」「お体お大事に」
「思いがけないハプニング」→「ハプニング」「思いがけない出来事」
「加工を加える」→「加工する」「手を加える」
「過大評価しすぎる」→「過大評価する」「高く評価しすぎる」
「挙式をあげる」→「式をあげる」「挙式をする」
「頭(こうべ)をうなだれる」→「うなだれる」「頭(こうべ)を垂れる」
「最後の追い込みに入る」→「追い込みに入る」「ラストスパート」
「最後の切り札」→「切り札」「最後の一手」
「昨夜来の雨」→「夜来の雨」「昨夜からの雨」
「辞意の意向を表明する」→「辞意を表明する」「辞職(辞任)の意を表明する」
「借金を抱えた債務者」→「債務者」「借金をしている人」「支払い義務のある人」
「射程距離が長い」→「射程が長い」「届きうる範囲が広い」
「古来より」→「古来」「古くから」「古くより」
「従来から」→「従来」「かねてより」
「深刻な恐慌」→「恐慌」「深刻な不況」
「慎重に熟慮する」→「熟慮する」「慎重に考慮する」
「尽力を尽くす」→「尽力する」「力を尽くす」
「すべて一任する」→「一任する」「すべて任せる」
「製造メーカー」→「製造業者」「メーカー」
「雪辱を晴らす」→「雪辱を果たす」
「そもそもの発端」→「発端」「そもそも」
「第5番目」→「第5番」「5番目」
「大別すると3種類に分けられる」→「大別すると3種類になる」「大きく3種類に分けられる」
「断トツの1位」→「断トツ」「1位」
「単に○○なだけ」→「単に○○」「○○なだけ」
「次の後継者」→「後継者」「次に引き継ぐ人」
「伝言を伝える」→「伝言する」「メッセージを伝える」
「途中で中断する」→「中断する」「途中で止める」
「突然卒倒する」→「卒倒する」「突然倒れる」
「犯罪を犯す」→「罪を犯す」「違法行為をなす」
「内定が決まる」→「内定する」「採用が決まる」
「長引く景気の低迷」→「景気の低迷」「長引く不況」
「捺印を押す」→「捺印する」「印を押す」
「〜にしか過ぎない」→「〜に過ぎない」「〜でしかない」
「初冠雪をいただいた富士山」→「初冠雪の富士山」「初雪をいただいた富士山」
「はっきり断言する」→「断言する」「はっきり言う」
「春一番の風」→「春一番」
「被害をこうむる」→「損害を受ける」「危害を受ける」
「まず第一に」→「第一に」「まず」
「まだ未完成」→「未完成」「まだ完成していない」
「まだ未解決」→「未解決」「まだ解決していない」
「満天の星空」→「満天の星」「空一面の星」
「自ら墓穴を掘る」→「墓穴を掘る」「身を滅ぼす原因を自らつくる」
「みぞれまじり」→「みぞれ」「雪まじりの雨」
「最もベストな方法」→「ベストな方法」「最もよい方法」
「もっぱら専念する」→「専念する」「ひとつのことにもっぱら集中する」
「豊かな富裕層」→「富裕層」「経済的に豊かな層」
「よけいな贅肉」→「贅肉」「よけいな肉」
「○○より以上に」→「○○よりも」「○○以上に」
「列強諸国」→「列強」「強い力を持つ国々」
「約10分ほど」→「約10分」「10分ほど」
「轍(わだち)の跡」→「轍(わだち)」「車輪の跡」
以上です。
重ね言葉を使わないようにするだけで、会話も文章もぐんと洗練されると思います。
どうぞ試してみてください。