書き方・話し方のマナー

好かれる書き方・話し方/否定文はやめて、できるだけ肯定文を使う

投稿日:2018年8月5日 更新日:

「〜です」「〜します」「〜できます」は肯定文。

「〜ではありません」「〜しません」「〜できません」は否定文。

「〜ではない」「〜しない」「〜できない」とはっきり伝えるために、また、安全を考慮して「〜してはいけない」と伝える必要があるときに、否定文を用いるのは当然のことです。

しかし、その否定する内容の如何にかかわらず、読み手(聞き手)はなんだか責められているような、自分のことを否定されているようなイヤな気分になってしまうことがあるようです。

ではどうすれば良いのか。

ものは言いようです。

否定を避け、肯定的に言い換えることが可能です。

●否定文を肯定文に変換しよう

否定文を肯定文に変換する試みをしていきましょう。

肯定文を読んで(聞いて)気分を害することはほとんどないと思います。

よって、相手に悪い印象を与えてしまうリスクがぐっと軽減されるのです。

「あの人はいつもポジティブで前向きだ」

「人への配慮と思いやりが感じられる」

と、よい印象を与えることもできます。

たとえば──

×「それはいいアイデアではない」

○「それよりももっといいアイデアがありそうです」

×「彼は出社していません」

○「彼は病気で会社を休んでいます」

×「今日はまだ準備できていません」

○「明日には準備が整います」

×「慌てて事故など起こさないでくださいよ」

○「どうぞ落ち着いて、安全に事を運んでください」

●誤解を招く恐れを軽減

否定文を肯定文に変換すると、誤解を招く恐れもぐっと軽減されます。
たとえば──

×「参加できません」

○「欠席します」

「文章術セミナーにお誘いいただき、ありがとうございます。いい機会ですので私もぜひ伺いたいと思っていますが、その日は参加できません」

とするよりも、

「文章術セミナーにお誘いいただき、ありがとうございます。いい機会ですので私もぜひ参加したいと思っていますが、その日はあいにく都合がつかないため、欠席とさせてください」

とすれば、相手の気分を害する恐れはまずないでしょう。

ひとつ、注意点があります。

日本語は文の末尾に述語が配置されることが多いので、最後まで読まないと(聞かないと)、肯定しているのか否定しているのかわからないことがよくあるのです。

文末へ来て「参加できません」とするならば、その直前に、

「残念ながら」

「あいにく」

「仕事の都合により」

「申し訳ないのですが」

といった言葉を付け加えると、読み手(聞き手)の理解を助けることができます。

●二重否定は極力避けよう

日本語を勉強している外国人と話をして、よく聞かされるのが、

「〜でないこともない、などと言われると、一体どっちなんだと理解に苦しむ」

ということです。

私たち日本人にとっても、二重否定の言い回しは回りくどく感じられますし、取り扱いが厄介ですね。

「二重否定」とは、否定の言葉を二度重ねて肯定の意味を強める語法、また、婉曲的に肯定を表す語法です。

しかし、否定の否定は肯定ですから、もったいぶらずに、すぱっと肯定してしまえばいいのだ、と思います。

×「少なくない」
○「多い」
×「と言えないこともない」
○「と言える」
×「知らないわけではない」
○「知っている」
×「わからないでもない」
○「わかる」
×「〜しないはずがない」
○「〜することは確実だ」
×「どんなに抑えていても〜せずにはいられない」
○「抑えきれずに〜してしまう」
×「〜しないとも限らない」
○「〜する可能性がある」

●まとめの一言

否定的に言うか、肯定的に言うか、それはあなたの選択次第です。
同じ言うなら、肯定的に言ったほうが何かと得だ、と私は思っています。

「〜しません」「〜できません」と言いたいときも、ちょっと頭を働かせて、肯定文に変換する試みを続けています。
それがいつしか癖になり、どんな場面においても否定文など一切使わずに、肯定文だけでコミュニケーションをはかれるようになりました。

関連記事→TOKYO MXテレビ『5時に夢中!』に出演しました

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