書き方・話し方のマナー

「ら抜き言葉」はOKかNGか?

投稿日:2017年4月20日 更新日:

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「自分のベッドで寝るときが一番よく寝れる」

と、ある人が言ったのです。

私は首を傾げました。

寝れる? 「寝られる」の間違いじゃないの?

「自分のベッドなら、よだれ垂らしても平気で寝ていられるもんね」と言いたいときは、どうするの?

「平気で寝れる? 寝てられる? 寝てていられる?」

どれも微妙に、というか明らかに変ですが……。

たった一文字でも、よけいなものが付いていると、不自然に感じられます。

あるべきものがなくても不自然になります。

その代表例が「ら抜き・い抜き・さ入れ・れ足す言葉」です。

ここではまず「ら抜き言葉」について考えてみたいと思います。

●ら抜き言葉「れる」


日常会話において、「ら抜き言葉」は一般化しているようです。

「あんたんち、BS見れる?」

「もう着替え終わったから、すぐ出れるよ」

「お昼までに来れるよね」

「私、チーズ食べれないの」

「なんだか興奮しちゃって、寝れないよ」

「そんなに早く起きれないなあ」

「いくら謝られても、素直に受けれない」

こういう言葉遣いにしょっちゅう出くわすのです。
あなたもきっと耳にしたことがあるでしょう。

「見れる」

「出れる」

「来れる」

「食べれる」

「寝れる」

「起きれる」

「受けれる」

というように、

語尾に「れる」がつく言葉は要注意です。

私もかつては、「見れる」「食べれる」「寝れる」なんて平気で言っていました。
それは「ら抜き言葉」だよ、と人に指摘されるまで、気づかなかったのです。

「れる」の前に本来あるべき「ら」がなぜ抜け落ちてしまうのか。
一文字でも省略すればシンプルになって楽、と感じるからでしょうか。

しかし現段階では、「ら抜き言葉」は文法的に誤りであるとされています。

「見られる」

「出られる」

「来られる」

「食べられる」

「寝られる」

「起きられる」

「受けられる」

とするのが正しい表現です。

●「れる」「られる」の4つの意味


「~れる」「~られる」は「受身・尊敬・可能・自発」の4種類の意味を持ちます。

【受身形の例】
「人に裸を見られた」

「彼氏に叱られる」

【尊敬形の例】
「先生が家を出られた」

「奥様は怒り狂われた」

「愛人の女性は外国へ旅立たれた」

【可能形の例】
「よく寝られた」

「朝早く起きられた」

「ご飯を食べられる」

「いつものバスに乗れる」

「これで試験を受けられる」

「もう少し早く来られるかな」

「ついに大学生になれる」

「これなら文句を言ってやれる」

【自発形の例】
「昔がしのばれる」

「お里が知れる」

「別れた夫の身が案じられる」

ここまで読んでくださった方ならお気づきのことと思いますが、
上記例文の語尾は「れる」と「られる」の2種類があり、
必ずしも「ら」が入っているわけではありません。

「狂われた」

「旅立たれた」

「乗れる」

「やれる」

「しのばれる」

「知れる」

というように、

場合によっては「ら抜き」の「れる」で間違いではないのです。
「座れる」

「触れる」

「踊れる」

というのも、文法的に正しい。

「座る」

「触る」

「踊る」

「乗る」

「釣る」

「蹴る」

「掘る」

「彫る」

「練る」

など、

「る」で終わる動詞を否定形の「~ない」の形にしたとき、
「ない」の直前の字が「ら」になる動詞を、「~できる」という意味の可能動詞に変換する際は、
「れる」の前に来る「ら」を抜いて間違いでないのです。
「座る」を「〜ない」の形にするときは、「座らない」となりますね。
「ない」の直前が「ら」ですから、この「ら」を抜いていいのです。
「触る」「踊る」「乗る」「釣る」「蹴る」「掘る」「彫る」「練る」の場合も同様です。
「触れる」「踊れる」「乗れる」「釣れる」「蹴れる」「掘れる」「彫れる」「練れる」でOKです。
「寝る」の場合は違います。
「寝る」の否定形は「寝ない」となり、「ない」の直前に「ら」がないので、そもそも「ら」を省略することができません。
「〜できる」という意味の可能動詞にするには、「ら」を入れて「寝られる」とすることが求められます。
「寝られる」の否定形は、「寝れない」ではなく「寝られない」です。


もうひとつ、法則があります。

「〜しよう」の形に変えたとき、語尾が「よう」になるなら「ら」は必要。

語尾が「ろう」になるなら、「ら」は不要です。

たとえば「開ける」は「開けよう」となりますから、「ら」が必要で、「開けられる」とするのがいい。

「座る」は「座ろう」となりますから、「ら」は不要で、「座れる」としてOK。

ということです。

上述の9例に話を戻しましょう。

「ら」を抜いていいのに抜かずにおくと、

「座られる」

「触られる」

「踊られる」

「乗られる」

「釣られる」

「蹴られる」

「掘られる」

「彫られる」

「練られる」

となります。

「~できる(~することが可能)」と言いたいのか。
「(人に)~される」のか。
敬うべき人が「~なさる」と敬語表現をしているのか。
さっぱり区別がつきません。

これに対し、同じ「ら抜き」でもたとえば、
「見れる」という場合は、「見ることができる」という「可能」の意味を示し、それ以外の意味ではないと区別をしやすいでしょう。

・「裸を見れる」というときは、「人に裸を見られる」という「受身」の意味でなく、「裸を見ることができる」という意味なのだとわかります。

・「ただで見れる」という表現は、「お客様が見られる・ご覧になる」というときのような「尊敬」の意味でなく、「ただで見ることができる」と言いたいのだとわかります。

・「誰でも見れる」という表現は、「その点に問題が見られる」というときの「自発」の意味でなく、「誰でも見ることができる」という意味なのだと理解できます。

↑このように、「受身・尊敬・可能・自発」の区別がつくので「ら抜き」は合理的だ、とする人々もいます。

それでも、区別さえつけばいいというものではないでしょう。

「ら抜き」言葉に違和感を覚える、不愉快に感じる、という人も少なくないのです。

「見る」

「見れる」

「見られる」

と3種の言い方を頭に思い浮かべてください。

どのように言えば相手に誤解がないか、ら抜きの「れる」でいいのか、「られる」にしたほうがいいのか、検証するくせをつけると良いと思います。

●まとめの一言


「れる」「られる」がつく言葉を遣うときは、「受身・尊敬・可能・自発」という4種類のうち、どの意味で遣いたいのかを考えてから口にするようにしましょう。

覚えておくといいのは、次の2つの法則です。

●「る」で終わる動詞を否定形の「~ない」の形にしたとき、
「ない」の直前の字が「ら」になる動詞を、「~できる」という意味の可能動詞に変換する際は、
「れる」の前に来る「ら」を抜いて間違いでない。

例/「座る」の否定形は「座らない」で、「ない」の直前に「ら」があるから、可能動詞にするときに「ら」は不要で、「座れる」としてOK。

例/「寝る」の否定形は「寝ない」で、「ない」の直前に「ら」がないから、可能動詞にするときは「ら」が必要となり、「寝られる」とするのが適切。

●「〜しよう」の形に変えたとき、語尾が「よう」になるなら、「~できる」という意味の可能動詞に変換する際に「ら」が必要。

語尾が「ろう」になるなら、「ら」は不要。

例/「投げる」の変形は「投げよう」となるので、「ら」が必要となり、「投げれる」ではなく「投げられる」とするのが適切。

例/「走る」の変形は「走ろう」となるので、「ら」は不要であり、「走れる」としてOK。

この2つの法則を一度しっかりと理解すれば、「れる」「られる」のどちらが適しているか、一瞬にして正しい判断が下せるようになります。

関連記事→「さ入れ言葉」は上品か下品か?

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