ビジネスマナー

ビジネスパーソン必見!!  間違えやすい、こんな言葉に要注意

投稿日:2017年4月19日 更新日:

仕事上のおつきあいがある方の前では、つい遠慮が先立ち、言いたいことが言えない。

緊張しているせいもあって、うまい言葉を思いつかない。

──というのは、よくあることですね。

私にも覚えがあります。

でも、よく考えてみると、相手に対して失礼のないようにと気を遣うことと、腰が退けているために言葉のキャッチボールがうまくいかないのとでは、大きな違いがあります。

気を遣いつつも、率直に語る

というようであってこそ、コミュニケーションが深まり、商談成立ということにつながるのではないでしょうか。

私が見聞きしたなかで、こういう態度や言葉遣いはマイナスだなあと思った例を挙げてみます。
気を遣っているようで実は遣っていない。
言葉を大切にしていないから相手に心が伝わらない。
という悪い例です。

●意を尽くす

言葉を尽くし、とことん説明をしたつもりなのに、相手の理解を得られなかったというとき、あなたならどうしますか。

「私の言葉に意を尽くせないところがございました」

と頭を下げる人もいます。

しかし、ビジネスの場で、そうした対応は適切なのでしょうか。

私はどうも違和感を覚えます。

「意を尽くす」というのは、自分の意見や考えをすべて言い表すことを指します。
「意を尽くすことができませんでした、つまり言葉が足りませんでした」

と謝ったところで、相手の方は何ら得るものはありません。

説明不足できちんと情報が伝わらなかったならば、まずは

「私の説明に意を尽くせないところがございました」

と不手際を詫びるのはいいと思うのです。

×「私の言葉に意を尽くせないところがございました」ではなく、
○「私の説明に意を尽くせないところがございました」という表現をしてこそ、適切です。

その上でさらに、不足していた説明を加えてこそ、相手を納得させることができるのではないでしょうか。

×「口ベタなので意を尽くせず」

×「言葉が足りずに」

などという台詞を、安易に口にすることは避けたいと思います。

なんとなく口当たりがいいから、という感覚的な理由で言葉を遣っていると、コミュニケーション深度は浅いままで終わってしまいます。

相手と深いつきあいをしたいなら、よく考えて言葉を選び、適切に駆使する必要がありますね。

●役不足、役者不足

「社長、どうして僕がプロジェクトチームから外されたのですか」

「君では役不足だったからだ」

というような会話があったとしたら、間違っているのは社長のほうです。

「役不足」とは、その力量にふさわしくない軽い役目を割り当てる(割り当てられる)こと。

○「俺が雑用係だなんて、役不足だ」

○「君のような実力者を、こんな役不足のポジションに就かせて心苦しい」

というように遣われます。

「役者不足」というのはその反対で、

○「私がリーダーを務めるなど、とても無理です。役者不足です」

○「あいつをリーダーにするには、役者不足だろう」

というように遣います。

ただし、「役者不足」という言葉は単なる造語なので、広辞苑には掲載されていません。

ですから、この世に「役者不足」などという言葉は存在しない、と解釈しても、あながち間違いではないと私は思っています。

●平にご容赦を願います

どうか許してください!! というようなとき、

○「平にご容赦を願います」

と言ったりします。

×「切にご容赦を願います」

と言う人もいますが、私はこれに違和感を覚えてしまいます。

「切に」というのは、
○「よいお返事をいただきたく、切にお願いいたします」

○「ご健闘を切に祈ります」

というように、前向きで希望の感じられる事柄を言うときに遣ってこそふさわしいのではないでしょうか。

●申し開き

自分が何故そうせざるを得なかったのか、理由を述べて正当性を主張することを

「申し開きをする」

といいます。

弁明のしようのないときは、

「申し開きができない」

といいます。

だけどこれ、人に面と向かって言う言葉ではないと思うのです。

「申し開きをさせてください」などと言えば、いかにも開き直っているようで、良い印象を与えないでしょう。

×「申し開きのできないことです」

なんて言う人もいるのですが、これも適切な表現ではないように思います。

○「申し訳ないことです」

というなら謝罪の言葉として受け取れるのですが、「申し開きのできないことです」と言われても、反省や後悔の念がいっこうに感じられません。

●並大抵

×「今日の彼の成功の陰には、並大抵の努力があったはずだ」

などと言われたら、その「彼」はさぞ怒るに相違ありません。

○「並大抵ではない努力」

とするのが正しい言い方です。

○「今日の彼の成功の陰には、並大抵ではない努力があったはずだ」

と言ってこそ、「彼」は喜んでくれるでしょう。

●盛り上げる、盛り立てる

ものを高く盛ること、場の雰囲気や勢いを盛んにすることを「盛り上げる」と言います。

これと似たような言葉に「盛り立てる」がありますが、これはどちらかというと、

「まとめる」
「強める」
「振り絞る」
「奮い起こす」

といった意味で遣われます。

ある女性が長年勤めた店を去るとき、店のママからこう言われたそうです。

「開店以来ずっと、お店を盛り上げてくれたことに感謝してるわ。ありがとう」

女性は、なんだか自分一人がはしゃいでいたように言われた気がして、恥ずかしかったと言っていました。

○「店を盛り立ててくれた。ありがとう」

とママに言われたなら、その女性も納得したはず。

●度量が広い

度量とは、物差しと升のこと。
転じて、長さと容積を意味する言葉として用いられます。

広くおおらかな心を持ち、他人の言行をよく受け容れる人のことを、

○「度量が広い」

と言うのですね。

同じ意味で、

○「懐が大きい」

という言葉がありますが、「度量が大きい」とは言いません。

●厚く御礼、深くお詫び

「厚く」という語は、主に良いことに対して用いられます。

○「厚く御礼申し上げます」

とは言うけれど、

×「厚くお詫び申し上げます」

とは言わないのです。

詫びるときは、

○「深くお詫び申し上げます」

とするのが適切です。

●まとめの一言

言葉の遣い方は、その人の内面の真実を表すものだと思います。

言葉を丁寧に扱う人は、仕事も丁寧で、人づきあいも大切にする人に違いない、と思わせるものがあります。

何気なく言葉を口にしていることは多いと思いますが、たまにはちょっと意識して、

「この言い方でいいのかな。相手にどう伝わるだろう」

と考えてみませんか。

ほんの一瞬、考えるだけでいいのです。

私たち人間の脳はとてもよくできているので、その場に最もふさわしい言葉を、電光石火の速さで選び出してくれるはずです。

関連記事→それって意味違うでしょ!!と言いたくなる「語の誤用」or「書き間違い」

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