人と円滑にコミュニケーションするうえで不可欠なもの、それは「社交辞令」です。
「社交辞令」とは何でしょう。
心にもないお世辞を言うこと? 嘘の褒め言葉?
いいえ、私が思うに、社交辞令とは「好印象を与える定番フレーズ」のことです。
「特に理由はないのにお互い気分がよくなる」
──そんな素晴らしい効果が期待できるので、社交辞令を頭の中にたくさんストックしておくとよいですね。
コミュニケーションを円滑に進める手助けとなるでしょう。
社交辞令のストックが増えるにしたがい、どんな場面でも慌てず騒がず、時と場合と相手に応じた的確なフレーズを口にすることができるようになります。
●日常の挨拶
おはようございます。
こんにちは。
こんばんは。
いつもお世話になっております。
よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
さようなら。
お先に失礼いたします。
お疲れ様でございます。
お出かけですか。いってらっしゃいませ。
お帰りなさいませ。
もうお帰りですか。どうぞお気をつけて。
ただいま。
ただいま戻りました。
●訪問時の定番フレーズ
突然お伺いいたしまして。
ちょっと近くまで来たものですから。
一度ご挨拶にと思いまして。
すぐにおいとまいたしますので。
どうぞお構いなく。
ありがとうございます。それでは、遠慮なくいただきます。
お邪魔しております。
すっかり長居してしまいまして。
楽しく過ごさせていただきました。
おやかましゅうございました。
今度はぜひ、私どものほうへもお越しください。
お話は尽きませんが。
(お見送りを辞退するとき)
どうぞ、そのままで。
●来客をもてなす定番フレーズ
ようこそ、おいでくださいました。
狭いところですが、どうぞおあがりください。
何もありませんが、どうぞ召し上がってください。
おかまいもできませんで。
すっかりお引き留めしてしまって。
お忘れ物はございませんか。
そこまでお送りいたしましょう。
●時候の挨拶
いいお天気ですね。
あいにくのお天気で、お足下の悪いなかご足労いただき本当にありがとうございます。
お暑いなかをおいでいただきまして。
お寒いなかをおいでいただきまして。
ようやく寒さがゆるんできましたね。
日が長くなりましたね。
そろそろ桜の季節ですね。
今年の夏は猛暑続きですね。
今年は冷夏だそうで、おかげで過ごしやすく助かっています。
だいぶ過ごしやすくなりましたね。
めっきり涼しくなりましたね。
もう紅葉の季節なんですね。
日の暮れが早くなりましたね。
冷え込んできました。どうぞご自愛ください。
寒い日が続きますね。
暮れも押し迫ってきましたね。
一年はあっという間ですね。
●ご無沙汰していた方への一言
すっかりご無沙汰してしまい、すみませんでした。
お久しぶりです。
しばらくでございます。
その節はお世話になりました。
その節はいろいろと教えていただき、ありがとうございました。大変勉強になりました。
いつも、うちの○○がごやっかいになりまして。
お元気そうで何よりです。
いつまでもお変わりありませんね。若々しくて、おきれいです。
その後、(お仕事のほうは)(お身体のほうは)いかがですか。
ご活躍とのお噂を伺っております。
●話のきっかけになる便利なフレーズ
同席させていただいてよろしいでしょうか。
外は暑かったでしょう。(寒かったでしょう)
道は混んでいませんでしたか。
今、お時間ありますか。
少し話をさせていただいてよろしいでしょうか。
こんなことを言うと笑われるかもしれませんが。
今となっては笑い話ですが。
手前味噌で恐縮ですが。
じつは私にもいい出来事がありまして。
●話が弾む、効果的な相づち
そうでしたか。
それからどうしたのですか。
と、おっしゃいますと?
なるほど、それは一理ありますね。
そのお気持ち、よくわかります。
言いたい人には言わせておきましょうよ。
いい経験をなさいましたね。
しかし、とんだ災難でしたね。
それはさぞ、お困りでしたでしょう。
相手が悪かったということですね。
がっかりですね。
ご苦労なさったんですね。
ご心痛のほど、お察しします。
そうおっしゃるのも当然だと思います。
そういうものなんですね。
いやそれは、おもしろいですね。
それは初めて聞きました。
何でもよくご存じですね。
私はまったく存じませんでした。驚きました。
それは、よかったですね。
おめでとうございます。
うらやましいかぎりです。
●褒め言葉
感激しました。
いいこと、おっしゃいますねえ。
まったくです。同感です。
さすがです。
おっしゃる通りです。
頭が下がります。
感服いたしました。
大変勉強になります。
さすが、お目が高い。
目のつけどころが違いますね。
いい線をついていますね。
すごいですねえ。
素晴らしいことですね。
心を打たれます。
脱帽です。
お人柄ですね。
今日はいいお話を聞かせていただきました。やはり、○○さんがいらっしゃらないと始まりませんね。
●会話が途切れそうなときは、こんな一言を
ところで、つかぬことをお伺いしますが。
もし差し支えなければ、○○について、少々お尋ねしてよろしいでしょうか。
後学のために、お伺いしたいのですが。
念のためお尋ねしたいのですが。
お考えをお聞かせくださいますか。
ご教示くださいますと大変助かります。
○○の件、私はこのように理解しておりますが、それで間違いはないでしょうか。
その続きを伺いたいので、もしご都合がよろしければ、場所を変えましょうか。
軽く、どうですか。喜んでお伴します。
●お願い事をするときに必須のフレーズ
まことに勝手なお願いですが。
ぶしつけなお願いで恐縮ですが。
身勝手なお願いとは重々承知しておりますが。
大変申し訳ないのですが。
こんなことを申し上げるのは忍びないのですが。
折り入ってご相談させていただきたいのですが。
まことに恐れながら●●願えませんでしょうか。
お知恵を貸していただけませんか。
お力添えを賜りたく、お願い申し上げます。
もし適当なお心あたりがあれば、ひとつお骨折り願えませんでしょうか。
お手すきの折にでも、ご尽力いただけますなら幸いです。
ご一考いただけますでしょうか。
ご検討願えますでしょうか。
ほかに相談できる方もなく、お願い申し上げる次第です。
伏してお願い申し上げます。
○○の件、なにとぞ現状をお汲み取りいただきまして、ご猶予を頂戴するわけにはまいりませんでしょうか。
お取りなしのほど、よろしくお願いいたします。
日頃のご厚意に甘えまして、勝手なことを申しました。
いつもありがたいご配慮に、頭が下がる思いです。
ご親切が身にしみます。
○○さんには、足を向けては寝られません。
このご恩は一生忘れません。
何とお礼を申し上げればよいか、言葉もありません。
しかし、無理を承知でお願いしたことですので、たとえ駄目でも、どうぞお気になさいませんよう。
●お願い事を引き受けるときの快いフレーズ
かしこまりました。
承知いたしました。
ご依頼の件、承りました。
おやすい御用です。
私でよければ喜んで。
むずかしいかもしれませんが、精一杯努めます。
何なりとおっしゃってください。
大変けっこうなお話をありがとうございます。
願ってもないお話です。
さっそく取りかかります。
●お断りをするときの「やんわり」フレーズ
私の一存ではお答えいたしかねます。
今回は遠慮させていただきます。
ご要望には添いかねます。
いかんともしがたい状況です。
事情をお汲み取りいただきますよう。
よく考えさせていただいたのですが、時期が時期だけに、むずかしいと思います。
けっこうなお話ではありますが、今回は見送らせてください。
大変光栄に存じますが。
身に余るお話ですが。
まことに不本意ではございますが。
あいにく、先約がありまして。
(保証人を断るときなど)
私など、とてもその任ではございません。
お役に立てず残念です。
先輩方を差し措いて、私のような若輩者が。
安請け合いをして、かえってご迷惑をおかけしてはと。
ほかを当たっていただいたほうが、よろしいかと。
なにとぞ、悪しからずご了承ください。
どうかご容赦ください。
お気を悪くなさらないでください。
(金品の受け取りを辞退するときなど)
お気持ちだけ、いただいておきます。
ほかに何かお役に立てることがあるようでしたら、どうぞまたお声をかけてください。
●謝罪フレーズ
申し訳ないことです。
失礼いたしました。
お詫びいたします。
心苦しい限りです。
深謝申し上げます。
私が至りませんで。
私の不徳の致すところです。
浅慮を恥じるばかりです。
弁解の余地もございません。
●感謝フレーズ
ご厚意に感謝します。
ご丁寧にありがとうございます。
おかげさまで大変助かりました。
うれしく存じます。
ひとかたならぬご尽力をいただきましたことに、お礼を申し上げます。
ご配慮くださり深謝しております。
●また会いたいと思ってもらえる、別れの社交辞令
本日は貴重なお時間をありがとうございました。
一度お目にかかりたいと思っていました。ご一緒できるとは光栄です。
これを機に、どうぞお見知りおきください。
これをご縁に、今後ともよろしくお願いいたします。
お忙しいところお呼びとめいたしまして、すみませんでした。
お疲れになりましたでしょう。
思わぬ散財をおかけしました。ごちそうさまでした。
ご親切に、ありがとうございました。
お心遣い、嬉しく存じました。
おかげさまで助かりました。
恩に着ます。
感謝のかぎりです。
また連絡させていただきます。
いずれ改めてお礼に(お詫びに)伺います。
これに懲りずに、ぜひまたよろしくお願いいたします。
もうお帰りですか。どうぞお気をつけて。
皆様によろしくお伝えくださいませ。
またお目にかかれますのを楽しみにしております。
お忙しいことと思いますが、たまにはおつきあいください。
今度また、ゆっくりお話を聞かせてください。
お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。
どうぞ、よい週末を!!
お風邪など召しませんように。
よいお年をお迎えください。
●弔事の定番フレーズ
弔事に訪れた場合
まことにご愁傷様です。
心からお悔やみ申し上げます。
ご長命とはいえ、残念です。
心ばかりですが、御霊前にお供えください。
ご家族の皆様、お力落としのことでしょうが、どうかご自愛ください。
私でお役に立てることがあれば何なりと。
弔事の当事者側
ご丁寧なお悔やみをいただきまして、恐縮でございます。
残された者で力を合わせてまいりますので、変わらぬお力添えをお願いいたします。
●お祝いの席での定番フレーズ
本日はお招きいただき、ありがとうございます。
おめでとうございます。
心よりお祝い申し上げます。
ご両親も、これでひと安心ですね。
皆様さぞやお喜びでしょう。
ますますのご活躍をお祈りします。
どうぞ、いつまでもお幸せに。
私もあやかりたいものです。
●感動を伝えたいとき
胸に迫るものがありました。
目頭が熱くなりました。
お話を伺い、私も嬉しうございます。
こちらまで幸せな気分になります。
●まとめの一言
社交辞令というものは、いってみれば「決まり文句」です。
「こういう場面では、この定番フレーズを」というように、型が決められているのです。
ですから、使い方はとても簡単です。
社交辞令を積極的に活用していきましょう。
その一言を口にするだけで場の空気がなごみ、人と人とが気分よくつきあっていけます。