文章力アップ

文章力/副詞を使って表現すれば、立体感と奥行きが倍増

投稿日:2017年5月21日 更新日:

明快でわかりやすい文を書けるようになると、周囲の人々があなたの意見に耳を傾け、良い反応を示してくれるようになるでしょう。

文章力をつけることにより、仕事も人間関係もうまくいきだす可能性は高いのです。

目指すは、「うまい!」と褒められる文章です。

そこでさっそく練習開始。

ここでは副詞の使い方をマスターしていこうと思います。

副詞を適切に用いると、文が立体的になり、奥行きの感じられる表現になります。

●名詞、形容詞、形容動詞の性質やありさまを言い表す語を「副詞」といいます

副詞の使用例を見てみましょう。

しっかりした子だ。

とても可愛い。

凛として美しい佇まいだ。

もっと早くしてほしい。

やっと着いた。

はなはだ不愉快な言い方をされた。

というように使いますね。

●副詞───(主に) 動詞、形容詞、形容動詞を修飾する語

●状態を示す
(例)「ゆっくりと」「しっかりと」「すぐに」「急に」

●程度を示す
(例)「とても」「もっと」「かなり」

●推量を示す
(例)「おそらく」「きっと」(呼応→「だろう」)

●打消を示す
(例)「決して」「断じて」「少しも」(呼応→「ない」)

●願望を示す
(例)「ぜひ」「どうか」「なるべく」(呼応→「たい」「ほしい」)

●疑問を示す
(例)「なぜ」「どうして」(呼応→「か」)

●比況を示す
(例)「まるで」(呼応→「ようだ」)

●仮定を示す
(例)「もし」「万一」(呼応→「ても」「ば」「なら」「たら」)

●打消推量を示す
(例)「まさか」「よもや」(呼応→「まい」「ないだろう」)

副詞にはこのほか、

よく・いつも・ときどき・しばらく・ずっと・そっと・ひどく・ぐんぐん・とうてい・だいたい・まったく・すっかり・ますます・いよいよ・ようやく・やっと・とにかく・たぶん・案外・いろいろ・はじめて・やがて・しばらく・だんだん・せっかく・ちっとも・同時に・必ず・最も・どうも・めっきり・あたかも・当然・本当に・もちろん・ちょうど・じゅうぶん・ほとんど・特に・あるいは・なお・自ずから

などがあります。

●副詞+動詞

副詞はまた、動作を表す語(動詞)に掛けることができます。

【使用例】

あいつは頻繁に嘘をつく。

俺は、たまに嘘をつくだけ。

まんまと騙された。

やすやすと騙される。

家でのんびりとくつろいでいたら、妻が急に怒りだしたので、ひどく驚いた。
「あんた、やってくれたわね!」だと。
おそらく、いやきっと、冷蔵庫にしまってあったケーキを食べたことがばれたのだろう。
だが、俺は断じて謝らないぞ。
俺は少しも悪くないのだからな。
女房のやつ、ケーキがあるなら、あなたにぜひ食べてもらいたいわと言って差し出すのが当然なのだ。
どうか、そういうやさしい女であってほしい。
なのに、おまえはなぜどうして、そうガミガミと文句ばかり言うのか。
まるで鬼のようだ。
まさか本物の鬼ということはあるまいが。
もしそうだとしても、俺はちっとも困らないぞ。
万一本当に鬼ならば、鬼が島へ宝をとりに行かせる。
欲張りなおまえのことだ、よもや、手ぶらで帰ってくることはないだろう。

●副詞を立て続けに使うときは要注意

【悪文例】

オペラはおそらく最もあらゆる芸術の中で、多くの要素が結集された総合芸術だ。

<質問>

・上記の文中にある「最も」という語は、次のどの語に掛かっているのでしょうか?

1.あらゆる芸術
2.多くの要素が結集された
3.総合芸術だ

(正解はおそらく、2)

<ここが残念!>

・「おそらく」「最も」「あらゆる」と、副詞を立て続けに使用しているために、話の要点が見えません。

【改善例1】

オペラというものは、あらゆる芸術の中で最も多くの要素が結集された総合芸術だろう。

【改善例2】

およそオペラというものは、あらゆる芸術の中で最も多くの要素が結集された総合芸術だろう。

<解説>

・修飾語と被修飾語を直結し、「最も多くの要素が結集された」としました。

<補足>

・「おそらく」というのは、「断言することはできないけれど、たぶんこうではないかなと自分は考えている」という場合に使う語です。

その「おそらく」に続けて、「あらゆる芸術の中で最も多くの要素が結集された総合芸術だ」と断定するのは、明らかに矛盾しています。

「おそらく」という語を使うなら、それに対応する語「だろう」を用いるのが妥当です。

・この例文の場合は、「おそらく」という語がなくても十分に意味が通じます。

むしろ、ないほうがすっきりして、意味が通じやすくなります。

・数あるオペラの中でも「このオペラは」と対象を限定する場合はいいのですが、「オペラは」と一般名詞を主語に据えると、「その後に続く話は単なる一般論だろう」と読者が予断する可能性は高いといえます。

そこで、「およそオペラというものは」としました。

これは「総じてオペラと称されるものは」という意味で、「芸術分野で独自の位置を占めるオペラなるものに関する私の考察を述べます」と、書き手のスタンスを表明する効果があります。

●まとめ


副詞をつけると、文が立体的になり、奥行きの感じられる表現ができます。

文章においても、人との会話においても、副詞を効果的に使っていきましょう。

「話が面白い」「臨場感がある」「説明上手だ」と好感をもってもらえると思います。

ただし、副詞を使いすぎるのは危険です。

特に危険なのは、「おそらく」「最も」「あらゆる」というように、副詞を立て続けに使用することです。

「おそらく」という副詞は、どの語にかかるのか。

「最も」という副詞は、どの語にかかるのか。

「あらゆる」という副詞は、どの語にかかるのか。

この点をよく考えて、文を組み立てることが必要です。

関連記事→文章力/形容詞は「い」、形容動詞は「な・だ」

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