文章力アップ

文章を書いた後は必ず「推敲」を

投稿日:2017年5月11日 更新日:

私はじっくりと考えをまとめてから書くのではなく、考えながら書き、書きながら考えています。

今この場でも、考えることと書くことを同時進行しています。

手指を使って文字盤キーボードを叩いていると、次第に頭の働きも良くなるのか、思考が活発になるような気がします。

すると、言葉が出てきます。

言葉は文になり、文を連ねていくうちに、伝えたいことの要点が見えてきます。

私には、↑こういう書き方が合っているようです。

読んでくれた方が「おもしろい」と感じるかどうかは、また別の話です。

私の文章が好みに合わないという方もいるでしょう。

それは仕方のないことです。

万人に好まれる文章を書くことはできません。

自分に書けるものを書いていくしかない、と思います。

少なくとも、読んで不快になる文章、疲れる文章でなければ良いのではないでしょうか。

そのために欠かせないのが「推敲」です。

文章を書いた後は必ず、一文一文を細かくチェックして、修正をします。

執筆と推敲はワンセットなのです。

●誤字脱字が目立つ文章、要点を得ない文章


誤字脱字が目立つ文章、要点を得ない文章は、読むだけで疲れます。

読むに堪えないこともあります。

たとえば──

洗練された女性になる方法を知りたい人は好きこそものの上手なれですから、できれば地元よりも都会で一流ホテルや一流レストランでお食事したりして雰囲気を味わい、目を引く素適な女性を見つけることなど、どんな服を着て食べたり飲んだりしているか鑑札するのが一つの方法です。

↑読者の皆さんも、文意を理解するのにさぞ骨が折れたことと思います。

「洗練の方法を説くなら、まずあんたが洗練された文章を書きなさいよ」

と怒り出す読者もいるかもしれません。

洗練を説くのに、文章自体が洗練されていなければ説得力に欠けます。

有益なことを語っていても、読者の心に響きません。

相手が目の前で身振り手振りを交えて語っているなら、何を言おうとしているのか、自ずと見当がつきます。

しかし、話すのとまったく同じ調子で書かれた文章を読まされると、ひたすら難儀でストレスになるだけです。

●推敲のコツを覚えよう

洗練された女性になる方法を知りたい人は好きこそものの上手なれですから、できれば地元よりも都会で一流ホテルや一流レストランでお食事したりして雰囲気を味わい、目を引く素適な女性を見つけることなど、どんな服を着て食べたり飲んだりしているか鑑札するのが一つの方法です。

↑まずは、誤字を修正することが必要です。

素適→素敵

鑑札→観察

「好きこそものの上手なれ」という故事ことわざの使い方はピントがずれています。
↑それを言うなら、「百聞は一見にしかず」でしょう。

できれば地元よりも都会で

↑言わんとしていることはなんとなく伝わるけれど、明快さに欠けます。

できれば東京など大都市へ足を運び

↑としたほうが、意図は伝わりやすいと思います。

目を引く素適な女性を見つける

↑この表現には違和感があります。

「目を引く女性」ではなく、「目を引かれる女性」とするほうが自然です。

それはあえて見つけるまでもなく、目についてしまうものなのです。

ですからここは、次のようにしたほうがよいでしょう。↓

思わず目を引かれる素敵な女性がいたなら

重複する語を削除することも必要です。

一流ホテルや一流レストラン

↑この言い回しが間違っているわけではないのですが、

一流のホテルやレストラン

↑としたほうがすっきりします。

お食事したり 食べたり飲んだり

↑同じ意味の言葉を繰り返すと、幼稚な印象になり、うるさく感じられます。

一流のホテルやレストランで食事をしながら雰囲気を味わう。

思わず目を引かれる素敵な女性がいたなら、その服装や振る舞いをそれとなく観察する。

↑というように、言葉の整理をするとともに、読者の理解を促す言葉を補うと、ぐっと良くなります。

ここでもう一度、悪い例を見てみましょう。

洗練された女性になる方法を知りたい人は好きこそものの上手なれですから、できれば地元よりも都会で一流ホテルや一流レストランでお食事したりして雰囲気を味わい、目を引く素適な女性を見つけることなど、どんな服を着て食べたり飲んだりしているか鑑札するのが一つの方法です。

この場合、主語とすべき語句は、

洗練された女性になる方法を知りたい人は、

ではなく、

洗練された女性になるための一つの方法は、

です。

述語とすべきは、次の2点です。

一流のホテルやレストランで食事をしながら雰囲気を味わうこと。
思わず目を引かれる素敵な女性がいたなら、その服装や振る舞いをそれとなく観察すること。

ここまで整理がついたなら、あとは簡単です。

洗練された女性になるための一つの方法は、できれば東京など大都市へ足を運び、一流のホテルやレストランで食事をしながら雰囲気を味わうこと、そして、思わず目を引かれる素敵な女性がいたなら、その服装や振る舞いをそれとなく観察することです。

↑とすれば、伝えたいメッセージが明確に伝わります。

最後に「百聞は一見にしかず、です」と締めくくれば、読者の心にじんと響くとまではいかなくとも、くっきりとした印象を残すことができます。

●まとめ

出版社を通じて出す本なら、誤字脱字や言い回しのおかしなところを修正するよう、編集者(または校正者)が指摘してくれます。

個人がダイレクトにブログや電子書籍を出す場合は、書いた本人が間違いに気づき、修正をしなければなりません。

しかし、自分の冒した間違いは気づきにくいのです。

よって、何度も見直しをするしかありません。

執筆に1時間かけたら、推敲に2時間以上かける。

そのくらいで丁度いいと思います。

↑いかにも効率が悪く、時間のロスでしかないように感じることもあるのですが、その努力は決して無駄になりません。

何度も見直し、手を加えていくことで、文章レベルは確実に上がります。

粗削りの文章であっても、時間をかけて丁寧に手直しすれば、洗練された文章に近づいていきます。

関連記事→文章力/読みにくい文を読みやすくするコツ

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