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思考錯誤?責任転換? 熟語や慣用句の誤用・書き間違いに注意

投稿日:2017年5月2日 更新日:

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明快でわかりやすい文章を書くことに努めると、周囲の人があなたの意見に耳を傾け、良い反応を示してくれるようになります。

文章力をつけることにより、仕事も人間関係もうまくいきだす可能性は高いのです。

そこでオススメしたいのが、

話の要所要所に熟語や慣用句を用いること。

熟語や慣用句を積極的に用いること。

です。

↑文章が引き締まり、シャープな印象になります。


ただし、「誤用」or「書き間違い」をすると逆効果になるので要注意です。

悪い例を挙げていきますので、ご参考になさってください。

●采配を振るう?


「采配」とは、昔、戦場で大将が兵を指揮するために用いた道具のことで、今でいうハタキのような形状をしていたそうです。

そこから生まれた語に、「采配を振る」という言葉があります。

「采配を振る」が正しい言い方ですが、
「采配を振るう」と、間違えて覚えてしまった人は少なくないようです。

「さいはいをふるう」とパソコンに入力すると、「采配を振るう」と変換されることがあります。
しかし、「采配を振るう」という言葉はありません。

繰り返しになりますが、

正しくは、「采配を振る」です。

「振る」と「振るう」はよく似ていますが、その意味するところは異なります。

「振る」は、上下左右前後に何度も繰り返し動かすこと。
「振るう」は「奮う」とも書き、自分の腕前や技能を存分に発揮して見せることをいいます。
「おハガキ、お待ちしています。振るって(奮って)ご応募ください」

という表現は、
「ハガキを手で振ってから投函してください」という意味ではないということ、あなたもご存じでしょう。

「振る」と「振るう」の違いについて、あらためて頭に入れておくとよいようです。

●思考錯誤?


四字熟語の「しこうさくご」は、読者のみなさんもよくご存じのとおり、「試行錯誤」と書きます。

試行錯誤とは、いろいろ考えながら、いろいろ試して、失敗などもしつつ、完成に近づけていくことをいいますね。

「しこうさくご」と聞いて、「思考が錯誤しているのか」と勘違いする人は、まずいないでしょう。
↑無理矢理文字にするならば、「思考錯誤」となります。

思考錯誤。

この4文字を見ると、いかにも頭の中が混乱して思考がズレまくり、あたふたしている様子が目に浮かびます。

しかし、いうまでもなく、「思考錯誤」という言葉は辞書に載っていません。

思考錯誤ではなく、試行錯誤です。
手紙やメールを書くときに間違えることのないよう、お気をつけください。

●四十にして立つ?


紀元前5世紀、中国・春秋時代の思想家、哲学者にして儒家の始祖とされているのが、孔子です。

孔子の教えをまとめたとされる書物『論語』に、次のような言葉があります。

三十にして立つ。

四十にして惑わず。

五十にして天命を知る。

六十にして耳順がう(みみ したがう)。

七十にして心の欲する所に従いて、矩(のり)をこえず。

どういう意味か、おわかりになりましたか。

現代語訳してみましょう。

30歳になったら、自立せよ。

40歳を過ぎたら、いちいち動揺するな。

50歳ともなれば、己の人生で為すべきことを知れ。

60歳になれば、理解しがたい他人の言葉も自然に受け容れられる。

70歳を越えたら、自分の思うままに行動し、自然の法則から外れることのない「悟りの境地」に到達する。

そのような一生を歩むべし。ということですね。

これをウロ覚えにして、「四十にして立つ」などと言えば、とんだ恥をかきます。

たしかに、近年は寿命が伸びました。
70代、80代とご高齢であっても、とてもそのお年には見えないほど、若々しくお元気な方がおおぜいいらっしゃいます。
「今の70歳は昔の50歳」と言っていいほどです。

今の40歳は昔の30歳、どうかすると20歳。
と感じることも、よくあります。

かつてと比べて、成熟スピードがゆるやかになってきたのかもしれません。

だからといって、「三十にして立つ」を「四十にして立つ」などと、勝手に換えてしまうのはまずいでしょう。

40歳になるまでは親元で面倒みてもらい、自立するのはそのあとでいい、なんてことになりかねません。

●責任転換?


思わしくない事態に直面したとき、あってはいけないことですが、自分の落ち度や過ちを他人になすりつけることがあります。

↑それを「責任転嫁」と言います。

人のせいにして、自ら責任をとろうとしないのだから、「責任転化」とか「責任転換」とかしたほうがしっくりくる、という気もします。

それでも、「転嫁」とするのが正しい表現です。

「転嫁」という語には、「再度、嫁入りをさせる」という意味がこめられています。
自分のところへ嫁いできた女性を他家へ嫁に出してしまう、つまり、自分がとるべき責務を外へほっぽり出すという、ひどい話が語源のようです。

●前者の覆るは後者の戒め?

人の失敗を教訓として活かせ。

という意味の言葉に、「前車の覆るは後車の戒め」というのがあります。

前を行く車がひっくり返るのを見たら、後に続く車は前車と同じ轍 (わだち・つまり車輪の跡)を通らないようにしなさい。

と諭しているわけですね。

いっぽう、前車と同じ道を通って災いに遭ったり失敗したりすることを「前車の轍(てつ)を踏む」といいます。

いずれの場合も、「前者」ではなく「前車」という語が用いられています。

口でいうぶんには同じ「ぜんしゃ」という発音ですが、文字にするときは「者」ではなく「車」という違いがあります。

「前車」を「前者」と書き間違えないよう、気をつけましょう。

●疎縁?


すっかりご無沙汰してしまっていることを、「疎遠になる」または「疎遠な間柄」といいますね。

音信や訪問が途絶え、関係性すなわち縁が密から疎になっていくのですから、「疎縁」と書いてもよさそうなものだ、と私などは思ってしまいます。

しかし、「疎縁」という言葉は辞書に載っていません。

「そえん」というのは、

「互いに行き来する頻度が疎(まばら)で間遠い」

という意味です。

したかって、「疎縁」ではなく「疎遠」と書くのが正しいということになります。

●昔日の感?


今と昔を比べて、あまりに違っている様子に驚き、しみじみとした感慨に胸を打たれることを、「今昔の感」といいます。

「今昔の感が深い」

「今昔の感に堪えない」

というように遣われます。

一部省略して、「昔日の感」「昔日の感です」と書くことは、できるだけ慎んだほうがよいでしょう。

殊に、年長者に向けて書くときは、言葉を省略すると失礼にあたることがありますので、要注意です。

「今昔の感を深くいたしました」

「今昔の感に堪えません」

というように、正式の表現をすることにより、あなたの筆遣いの確かさ、信頼できる人柄が伝わります。


私は、小学校時代にお世話になった国語の先生に宛てて、こんな手紙を書いたことがあります。

○○先生 お久しぶりです。

私はこの夏、郷里で数日過ごしておりました際に、ふと思い立って母校へ足を運んでみました。

木造校舎と銀杏の木という懐かしい景色を心に思い描いていたのですが、コンクリート造りの立派な校舎が建ち並び、今昔の感を深くいたしました。

その後、先生からご丁寧な返信を頂戴し、胸がじんと熱くなりました。

●まとめの一言


ビジネスシーンにおいてはもちろんのこと、プライベートな用件で手紙やメールを書くときも、できるだけフォーマルな筆致・論調を心がけたいものです。

あなたの筆遣いの確かさ、そして信頼に値するお人柄が伝わるよう、心をこめて丁寧に書いていってください。

その際に、語の誤用や書き間違いには特に気をつけてくださいね。

言葉遣いや漢字の書き方に確信を持てないときは、必ず辞書をひいて調べましょう。

関連記事→ビジネスパーソン必見!! 熟語・慣用句・格言の誤用or書き間違い

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