語と語の区切りに空白を置いて記述することを「分かち書き」または「別ち書き」といいます。
漢字を用いずに、平仮名と片仮名だけで文を綴る際によく用いられる手法です。
というような書き方を、みなさんも小学校低学年のときに、国語の教科書で目にしているはずです。
単語ごとに区切って書くと、次のようになります。
文節ごとに区切って書くと、次のようになります。
単語、文節、どちらで区切ってもよいのですが、子ども向けの文ならば、単語ごとに区切ってやると、より読みやすいでしょう。
大人が読む場合は、文節ごとに区切ったほうが読みやすいようです。
このブログ記事では、文節ごとに「分かち書き」をした「おはなし」をご紹介します。
子どもに戻った気分でお読みいただけますなら幸いです。
空想のおはなし『あおむし だいへんしん』
うさぎの うさちゃんが、
うまれて はじめて、
すあなから そとへ でました。
はるの のやまは、にぎやかです。
さむい ふゆの あいだ、じっとしていた いきものたちが
きゅうに げんきに なって、うごきだす からです。
「おはなは どんな においが するんだろう」
うさちゃんは、バラに かおを ちかづけて みました。
そして、びっくり!
みたこともない あおむしが いっぴき、
はなびらの ベッドに つつまれて、
すやすや むねっていたのです。
「おはよう、うさちゃん」
あおむしが めを さましました。
そして、「ああ、おなかが すいた」と、はっぱを むしゃむしゃ。
バラの はは、たちまち、あなだらけに なってしまいました。
うさちゃんも、たんぽぽの ぎざぎざ はっぱを もりもり たべました。
そのとき、どこからともなく ヒヨドリが とんできて、
あおむしを つれさって しまったのです。
ヒヨドリは きの えだで はねを やすめ、
ビービービーと、かんだかい なきごえを あげました。
「この あおむしは まるまる ふとって、うまそうだ」
と いっているのです。
「ぼくの ともだちを たべないで」
うさちゃんは いっしょうけんめいに たのみました。
ヒヨドリは、くちばしで あおむしを つつきました。
「はなの みつのほうが うまいかも しれないな」
と まよって いるようです。
そのすきに、あおむしは きから ころがりおちて、
くさの うえへ スットーン。
うさちゃんは、あおむしを せなかに のっけて にげだしました。
「こら、まてぇー!」
ヒヨドリが おいかけて きます。
あぶない!
つかまる!
と、そこへ、
いちわの カラスが まいおりて、
ヒヨドリを さらって いきました。
かわいそうに、ヒヨドリは
カラスに たべられて しまうでしょう。
でも、あおむしは たすかりました。
「ありがとう、うさちゃん。
おれいに、いいものを みせてあげる」
あおむしは そういって、くちから しろい いとを はきだしました。
それから、じぶんの からだを
いとで ぐるぐるまきに しました。
それを みて、
うさちゃんは またまた びっくり。
なんだか こわくなって、
おおいそぎで にげかえりました。
しばらくして、
おそるおそる、みに いくと……
バラの きに、しろい いとの かたまりが へばりついています。
あおむしは どうなって しまったのでしょう。
うさちゃんは、 まいにち ようすを みに いきました。
やがて あるとき、
いとの なかから ニュッと、きいろと くろの はねが とびでて きました。
「うさちゃん、こんにちは」
と、あおむしの こえが きこえました。
あおむしは ちょうに なったのです。
はるの のやまでは、いきものたちが
つぎつぎと すがたを かえていきます。
うさちゃんの からだも、けが ふさふさして、
ひとまわり おおきく なっていました。
ちょうは、とびたちました。
「さようならー。いつか また あおうね!」
うさちゃんは そらを みあげて、てを ふりました。
(おしまい)