語と語の区切りに空白を置いて記述することを「分かち書き」または「別ち書き」といいます。
漢字を用いずに、平仮名と片仮名だけで文を綴る際によく用いられる手法です。
というような書き方を、みなさんも小学校低学年のときに、国語の教科書で目にしているはずです。
単語ごとに区切って書くと、次のようになります。
文節ごとに区切って書くと、次のようになります。
単語、文節、どちらで区切ってもよいのですが、子ども向けの文ならば、単語ごとに区切ってやると、より読みやすいでしょう。
大人が読む場合は、文節ごとに区切ったほうが読みやすいようです。
このブログ記事では、文節ごとに「分かち書き」をした「おはなし」をご紹介します。
子どもに戻った気分でお読みいただけますなら幸いです。
空想のおはなし『くろマントのおとこ』
むかし むかし ある ところに、
ひとが おおぜい あつまる ひろばが ありました。
とおい とおい、ある ところから、
くろい マントを きた おとこが やってきました。
ひろばの ふんすいの まえで、あかちゃんが ぐずって いました。
おかあさんが やさしく あやしても、なきやみません。
おとこは マントの なかから、なにかを とりだしました。
かざぐるま です。
あか、あお、きいろの はねが、かぜに まわって クルクルクル。
あかちゃんは なくのを やめて、きゃっ きゃっ きゃっ。
ひろばの まんなかで、こどもが ころびました。
ひざを すりむいて、いたい、いたい、いたい。
おとこは マントの なかから、なにかを とりだしました。
ピエロの おめん です。
なきがお だって かくしちゃいます。
こどもは おめんを かぶって、ともだちに みせに いきました。
べつのこは いぬに ほえられ、べそを かいて いました。
あっち いってよ、シーッ、シーッ。
いかないよ、わん、わん、わん。
おとこは マントの なかから、なにかを とりだしました。
たけうま です。
ないていた こが たけうまに のると、おとなよりも せが のびました。
いぬは おどろいて にげだしました。
おとこのひとが、くるまの かぎを なくして しまいました。
かいしゃに いけない。
どうしよう。
おとこは マントの なかから、なにかを とりだしました。
スケートくつ です。
おとこのひとは よろこんで くつを はきかえ、
すーい すーいと すべって いきました。
くろまんとの おとこは、いまでは ひろばの にんきもの。
おとこが あらわれると、ないていた こも、こまっていた おとなも、
みんな えがおに なるのです。
いま ないた カラスがもう わらった。
めでたし、めでたし。
(おしまい)