語と語の区切りに空白を置いて記述することを「分かち書き」または「別ち書き」といいます。
漢字を用いずに、平仮名と片仮名だけで文を綴る際によく用いられる手法です。
というような書き方を、みなさんも小学校低学年のときに、国語の教科書で目にしているはずです。
単語ごとに区切って書くと、次のようになります。
文節ごとに区切って書くと、次のようになります。
単語、文節、どちらで区切ってもよいのですが、子ども向けの文ならば、単語ごとに区切ってやると、より読みやすいでしょう。
大人が読む場合は、文節ごとに区切ったほうが読みやすいようです。
このブログ記事では、文節ごとに「分かち書き」をした「おはなし」をご紹介します。
子どもに戻った気分でお読みいただけますなら幸いです。
空想のおはなし『クマゴローの なみだ』
シマリスのチッチと くまのクマゴローが、
おつきみを していました。
そこへ、ものしりの ミミズクが やってきて、
「おつきさまでは、うさぎが おもちを ついているんだよ」
と、おしえて くれました。
「ぼくらも もちつき しようよ」
チッチは、なんでも すぐに やってみないと きが すみません。
いっぽう、クマゴローは のんびりやさんです。
「おいらも いっしょに やるのかい」
と あくびを しながら、おしりを かいて います。
すると、ミミズクが いいました。
「もちを つくには、うす、きね、がいる。
どっちも おもいぞ。
ちからもちの クマゴローに がんばって もらわないとな」
こうして、にひきと いちわは、にんげんの いる さとへ おり、
うす きね という どうぐを かりる ことに しました。
ぺったん、ぺったん。
のばして、びろ~ん。
おまちを ついて、ほおばりました。
「こんなに のびる くいものは、はじめてだ」
「うまい、うまい」
「いくらでも、おなかに はいるぞ」
みんな、おおよろこび です。
ところが、にんげんの おじいさんと おばあさんに
みつかって しまいました。
「こらあっ! ひとの ものを かってに つかうな!」
チッチは すばやく、しげみに かくれました。
ミミズクも とんで にげました。
でも クマゴローは、あみに かかって しまったのです。
おじいさんと おばあさんは、うちのなかへ もどって いきました。
あみに かかった クマゴローは、チッチを よんで いいました。
「おいらの ことは いいから、いまのうちに にげろ」
けれど、チッチは いうことを ききません。
なんとかして クマゴローを すくいだそうと、
するどい まえばで あみを かじっています。
ついに、あみが やぶけました!
どす どす どっしーんと、クマゴローが ころがり おちました。
「それっ、にげろ!」
みんな、かけだしました。
クマゴローは、はしりながら なきました。
「こわかった。だけど、ともだちが たすけて くれた」
あとから あとから、なみだが こぼれました。
(おしまい)