ビジネス文書ではもちろんのこと、プライベートな文章においても、
と、はっきりわかるように書くことが求められます。
なぜそこが大事なのかを的確に説明できる文にしていきましょう。
この課題をクリアするには、
「文のどこに配置すればより効果的か」
を知る必要があります。
説明がうまい人は、ほぼ例外なく「形容詞」「形容動詞」「副詞」に強いのです。
●修飾語の取り扱い
形容詞・形容動詞・副詞は「修飾語」と呼ばれています。
「修飾」という名の通り、何かを「飾る」ために用いられます。
(たとえばネックレスは女性を飾るため、ネクタイは男性の首元を飾るため、ですよね。)
飾るものと飾られるものとが離ればなれになっていたら、用をなしません。
装飾品は、身につけてはじめて効力を発揮するわけです。
それと同様に、修飾語は被修飾語のすぐそばに配置してこそ、役割を果たすことができます。
●修飾語は被修飾語の直前に置こう
修飾語と被修飾語をできるだけ近づけることをおすすめします。
文法でそう決められているわけではないのですが、そうしないと読者は文意を読み取りにくい、というのは事実です。
↑どちらがより読みやすいかといえば、後者でしょう。
なぜ読みやすいかといえば、修飾語が被修飾語の近くに置かれているからです。
↑どちらがより読みやすいかといえば、後者でしょう。
なぜ読みやすいかといえば、修飾語が被修飾語の直前に置かれているからです。
●(繰り返しますが)修飾語は被修飾語の直前に置いてください
↑この文は、二度読んでやっと意味が理解できます。
なぜわかりにくいのか、分析してみましょう。
「細い」は、「腕」にかかる修飾語。
修飾語と被修飾語のつなげ方が悪い例と良い例を示すと次のようになります。
↑修飾語と被修飾語の関係を整理し、できるだけ直結させることが大切です。
修飾する語のすぐあとに修飾される語を配置します。
そのうえで、主語と述語をできるだけ近づけるようにします。
↑この例文において、「男」の状態や動作を説明する修飾語は何もありません。
したがって、「男はねじり上げた」と直結させるのがベストです。
↑こういう場合は、主語を文頭でなく文末近くに移動して構わないのです。
改良形は以下のようになります。
●短よりも先に長を出そう
一口に修飾語といっても、短いものもあれば、長いものもあります。
一文の中に短い修飾語と長い修飾語を並べるときは、長いものを先に、短いものを後に持ってくるようにすると、読みやすい文になります。
↑短い修飾語を先に持ってくると、読んでいくうちに印象が薄れてしまいます。
↑長いものが先、短いものは後、とすることで、文章のリズムも良くなります。
一文の中に二つ以上の修飾語を並べると、意味の伝わりにくい文になります。
長いものから順に並べていても、わかりにくさは変わりません。
↑蕎麦屋を誉めているのか、けなしているのか、よくわからない文です。
↑蕎麦屋をけなしたいときは、こうすればいいのです。
↑蕎麦屋をけなしつつも誉めておきたいというときは、こうすればいいのです。
●長短にかかわらず、重要なものから先に出そう
一文の中に二つ以上の修飾語を並べるときは、長いものを先に、短いものを後に持ってくるようにすると、わかりやすい文になります。
ただし、どんな場合も長いものから順に優先すべきというわけではありません。
↑長いものから順に並べると、こういう文になります。
「ひらがなを多く使った独特のやわらかい文体」により、「昭和の核家族の営みを浮かび上がらせたと評される」という箇所は良いと思います。
しかし、「固有名詞とカタカナを排し、全文横書きのスタイル」だったことが理由で、芥川賞を受賞したわけではないでしょう。
同じ修飾語同士であっても、ある修飾語が別の修飾語を修飾することがあります。
よって、修飾と被修飾の関係を整理することが大切です。
↑最も短いけれど最も重要なことを語っている修飾語と被修飾語は文頭に持ってくると良いのです。
↑長短にかかわらず、修飾語の直後に修飾される語を配置することにより、文意が適切に伝わるようになりました。
●くっつきたがっているものはくっつけよう
飾る言葉は、飾られる言葉にできるだけ近づけましょう。
一番良いのは、隣り合わせにしてやることです。
くっつきたがっているもの同士を、くっつけてやると良いのです。
●まとめ
修飾語の取り扱いについて、肝心なのは次の4点です。
●長短にかかわらず、重要なものから先に出す
●くっつきたがっているものはくっつける
たった4つですから、簡単に覚えられますね。
修飾語の適切な配置方法をマスターし、より読みやすく、わかりやすい文が書けるようになっていきましょう。
こんにちは
私は作文や言いたいことを伝えたりすることが苦手です
この記事の例文はまさしく私です
大変参考になりました
しかし話しをしている時に意識してこのように話すのは大変難しいように思っています
どうも文章を構成して喋っているよりも
喋るながら文章を構成しているように思います
なにかコツなどありますでしょうか
ニシミネさん、コメントをありがとうございます。
形容詞・形容動詞・副詞の上手な使い方は、「形容する言葉と形容される言葉を、できるだけ近くに置く」ということだと思います。
最もよいのは、直結することですね。
気持ちが高ぶると、「すごい」「きれい」「とても」といった感動をあらわす言葉をまず口にしてしまいがちですが、「この言葉に直結する言葉は何?」と一瞬考えるようにしてみてはいかがでしょう。
「すごい」は「すごい人」のことかもしれません。
「きれい」は「きれいな花」のことかもしれません。
「とても」は「とても嬉しかった」ということかもしれません。
そうした語と語の関係を意識しながらお話ししたり、文を書いたりしてみてください。
話すときよりも書いているときのほうが、冷静な意識が働くようです。
私など、頭の中で文を組み立てながら話すことが癖になっています。
そのようにすると考えがまとまりやすいので、とても楽ですよ。
ご参考になりましたなら幸いです。
今後も「言葉力アップグレード」ご愛読をよろしくお願いいたします。
勉強になりました。ありがとうございます。
本文中に例を挙げられておりましたが。
「本気で彼はこの商品を薦めている。」
「彼はこの商品を本気で薦めている。」
この2つは、意味合いが多少違ってくるのではないかと、私は考えます。
後者の本気度は80%に感じ、前者は120%推し! と、
読んだ者の感じ方が違ってしまう様に思います。
言葉って、本当に難しいですね。
すめらぎ様、コメントをありがとうございます。
本気度何%かというのは、まさに読み手の主観により異なりますね。
①「本気で、彼はこの商品を薦めている」
②「彼は本気でこの商品を薦めている」
③「彼はこの商品を本気で薦めている」
↑どれも間違いではありませんが、
①の場合は、「本気で」の後に「、」が必要かと思います。