読書感想文

読書感想文/ヒリヒリするような強烈フィクションと現実

投稿日:2018年2月11日 更新日:

「この本を読んで、こう感じた」と思いつくまま書き出していくと、それも読書習慣の一部となります。

どんな本を読み、どんなことを考え、どこに感動したのか。──記録に残すことにより、貴重な思い出のストックができます。

わずか数行のメモであっても、あるとないとでは大きく違います。

私の経験からいって、それは写真アルバムにも匹敵する「幸せの思い出貯蔵庫」です。

私の貯蔵庫の中から、いくつかご紹介したいと思います。

ご笑覧いただけますなら幸いです。

●『殺人出産』 村田沙耶香著

「殺人出産」・・・10人産めば1人殺してもいい。

「トリプル」・・・ 3人がお互いに愛し合う恋愛とセックス。

そのほか「清潔な結婚」「余命」と、計4篇の短篇集です。

どの作品も、意外な設定にびっくりドキドキ。
この作家の発想の豊かさを感じます。

考えてみるとちょっと怖い話、だけど笑える話、気分次第で憂鬱になっちゃうような話でもあります。

芥川賞受賞作となった「コンビニ人間」は面白くて、85歳になるうちの母も読んでゲラゲラ笑っていました。
こっち『殺人出産』 はもっと面白い!と思います。
笑いながら、そしてゾクッとしながら、さらっと読めます。

●『ダブル・ファンタジー』村山由佳著

中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞、とトリプル受賞した作品です。

私は、読もうかどうしようかと何年も迷った末に、読んでよかったと実感しています。

500ページもありますが、仕事をしながら2日で完読。
それだけ面白かったんですね。

村山由佳さんのヒットシリーズ『おいしいコーヒーのいれ方』には私まったく反応せず、

「これのどこが胸キュン?」

と首をかしげていたのですが、本作では大人の女性のリアルな感覚がこれでもかっというほど描かれていて、じーんとくるやら身につまされるやら。

恋愛小説というよりも、まさに性愛小説だと思います。
男性にもオススメします。

村山由佳さんは「ラジオ深夜便」という番組に出演し、自作についてたっぷり語っていました。
それで私もこの本を読む気になりました。

次は、由佳さんと母親との葛藤の歴史を書いたという『放蕩記』を読もうと思ってます。
これもすごそう~!!

由佳さんは、いい子ちゃんでいるのはもうやめようと決めたようですね。

母上が認知症になり、娘の書いたものを読めなくなったことが大きく影響しているようです。

母上との確執をあらいざらい書くことにして、放蕩記という小説に結実させたのは、すごいことだと思います。

●『死からの生還』中村うさぎ著

2010~2013年『週刊文春』連載のコラム集です。

著者の中村うさぎさんは、連載中に発病して入院、三度にわたる呼吸停止と心肺停止で死にかけ、その都度自力で生き返ったというのですから凄まじいものがあります。

闘病時期のコラムも数編、含まれていますよ。

うさぎさんは50歳を過ぎてから、老化の進行がやけに早いと自覚していたようですが、それはやはり病の影響だったのかも。

今はなんとか持ち直したようで、よかったよかった。

それに、うさぎさんは、これまで追求してきた人生のテーマがくっきり見えてきたと語っています。

いわく、

「脳内他者を満足させたがっている自分がいて、そいつを満足させるために理想の自分になろうと足掻いてきたのは結局、本当の自分ではなくなって、自己から解放されたいという欲求のせいだった」

そんな述懐が心に刺さります。

↑心に突き刺さって痛いけど、

よくそこまで考えた、あっぱれ、

と感動しています。

うさぎさんの著書『女という病』も、すごくインパクトがありました。

うさぎさんのみならず、岩井志麻子さん、姫野カオルコさんもすごいと思います。

女性が本音を明かすエッセイ、その分野の先駆者とされる林真理子さんがかすんで見えるほどです。

●まとめ

今回は、以下の3冊をご紹介しました。

『殺人出産』 村田沙耶香著

『ダブル・ファンタジー』村山由佳著

『死からの生還』中村うさぎ著

関連記事→読書感想文/文は人なり。自分らしく自由自在に!!

-読書感想文

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

読書感想文/古くても新鮮!! 読むに値する名著をザクザク発掘!!

本を読んだら、何か少しでも記録を残すとよいですね。 自分はこんなふうに感じ、こんな点に感動した。と書き留めておくと、貴重な思い出をストックすることができます。 走り書きのメモであっても、たくさん集まれ …

読書感想文/文は人なり。自分らしく自由自在に!!

「この本を読んで、こう感じた」 と思いつくまま書き出していくと、それも読書習慣の一部となります。 どんな本を読み、どんなことを考え、どこに感動したのか。それを記録に残すことにより、貴重な思い出のストッ …

読書感想文/『コンピュータが小説を書く日』そのほかオススメの3冊

学校を卒業すると、本を手にする機会がめっきり減る。 よく、そんなふうに言われています。 しかし、社会人になってからこそ、積極的に本を読むことが大切なのだと私は思っています。 読みながら、「ここが大事」 …

読書感想文/凄まじいまでの官能と憂鬱と暴力

ある人が、こう言っていました。 「本を読むなら、登場人物がみんないい人で、ほのぼのした温かい雰囲気で、平和で愛のあるものがいい。やさしい気持ちになれる小説が好き」 ↑この人と同じように感じている方は大 …

読書感想文/横浜にまつわる素敵な本をご紹介

横浜の街が好きです。 横浜を描いた本も好きです。 横浜で出会った、横浜の本をご紹介したいと思います。 ●西洋の見える港町横浜 『西洋の見える港町横浜』中野孝次著 著者の中野孝次氏と版元の草思社は、『清 …

言葉をたくさん知っていると、話すのも書くのも自由自在。頭を整理しながら自分の思いや考えを的確に伝えられるので、いつも気分よく過ごせます。仕事や人間関係にきっと良い影響があるでしょう!!

当サイト「言葉力アップグレード」は言葉の世界を豊かにし、話し方・書き方をレベルアップする技術を紹介しています。どうぞご活用ください。

follow us in feedly