どんな本を読み、どんなことを考え、どこに感動したのか。──その記録に残すことにより、貴重な思い出のストックができます。
わずか数行のメモであっても、あるとないとでは大きく違います。
私の経験からいって、それは写真アルバムにも匹敵する「幸せの思い出貯蔵庫」です。
私の貯蔵庫の中から、いくつかご紹介したいと思います。
ご笑覧いただけますなら幸いです。
●『殺人出産』 村田沙耶香著
そのほか「清潔な結婚」「余命」と、計4篇の短篇集です。
どの作品も、意外な設定にびっくりドキドキ。
この作家の発想の豊かさを感じます。
考えてみるとちょっと怖い話、だけど笑える話、気分次第で憂鬱になっちゃうような話でもあります。
芥川賞受賞作となった「コンビニ人間」は面白くて、85歳になるうちの母も読んでゲラゲラ笑っていました。
こっち『殺人出産』 はもっと面白い!と思います。
笑いながら、そしてゾクッとしながら、さらっと読めます。
●『ダブル・ファンタジー』村山由佳著
中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞、とトリプル受賞した作品です。
私は、読もうかどうしようかと何年も迷った末に、読んでよかったと実感しています。
500ページもありますが、仕事をしながら2日で完読。
それだけ面白かったんですね。
村山由佳さんのヒットシリーズ『おいしいコーヒーのいれ方』には私まったく反応せず、
と首をかしげていたのですが、本作では大人の女性のリアルな感覚がこれでもかっというほど描かれていて、じーんとくるやら身につまされるやら。
恋愛小説というよりも、まさに性愛小説だと思います。
男性にもオススメします。
村山由佳さんは「ラジオ深夜便」という番組に出演し、自作についてたっぷり語っていました。
それで私もこの本を読む気になりました。
次は、由佳さんと母親との葛藤の歴史を書いたという『放蕩記』を読もうと思ってます。
これもすごそう~!!
由佳さんは、いい子ちゃんでいるのはもうやめようと決めたようですね。
母上が認知症になり、娘の書いたものを読めなくなったことが大きく影響しているようです。
母上との確執をあらいざらい書くことにして、放蕩記という小説に結実させたのは、すごいことだと思います。
●『死からの生還』中村うさぎ著
2010~2013年『週刊文春』連載のコラム集です。
著者の中村うさぎさんは、連載中に発病して入院、三度にわたる呼吸停止と心肺停止で死にかけ、その都度自力で生き返ったというのですから凄まじいものがあります。
闘病時期のコラムも数編、含まれていますよ。
うさぎさんは50歳を過ぎてから、老化の進行がやけに早いと自覚していたようですが、それはやはり病の影響だったのかも。
今はなんとか持ち直したようで、よかったよかった。
それに、うさぎさんは、これまで追求してきた人生のテーマがくっきり見えてきたと語っています。
いわく、
そんな述懐が心に刺さります。
↑心に突き刺さって痛いけど、
と感動しています。
うさぎさんの著書『女という病』も、すごくインパクトがありました。
うさぎさんのみならず、岩井志麻子さん、姫野カオルコさんもすごいと思います。
女性が本音を明かすエッセイ、その分野の先駆者とされる林真理子さんがかすんで見えるほどです。
●まとめ
今回は、以下の3冊をご紹介しました。