【書物をめぐる雑感その1】
昔々、黙読という行為が一般に行なわれるようになると、「本などというものがあるから人は自分の内的世界に引きこもるのだ」と危険視されることもあったそうです。
それ、わかる気がします。
読書をして自分の内的世界に引きこもるというのは、つまり活字の世界にin(淫)すること。それって気持ちいいんですよねえ。
たとえそれがリアル世界の深刻な問題を取りあげた本であっても、読者は言葉によって思考や感情を組み立てることに快感を覚えます。
もう夢中です。
でも、新聞や雑誌を読む時はちょっと違うみたい。
ネットも違う。
新聞・雑誌・ネットでは、心は現実から切り離されないのです。
紙の書籍だけが特別なのは何故かしら。
もしかすると、本という形状が「精神の容れ物」というイメージを無意識に喚起し、「こっちの水は甘いぞ〜入っておいで〜」と誘い込む力を放っているのかも。
【書物をめぐる雑感その2】
後れ馳せながら、中田敦彦のYouTube大学を見ました。
けっこう面白いんですね。
中田さんは毎日更新することを鉄則としているそうですが、うわあ大変そう!
それでもテレビやライブの仕事をするよりも楽なのかしら? 儲かるのかしら?
きっとやりがいがあるのでしょうね。
メンタリストDaiGoの動画も見ました。
ニコニコ有料動画へ誘なうためにYouTubeを呼び水として使っているようですが、なかなか充実した内容でしたよ。
DaiGoさんの書籍を何冊か拝読したうえで、彼は活字よりも動画のほうが向いている、と私は思いました。
有料動画、有料メルマガなどで発信する方が増えていますね。
私も菊地成孔さんのニコ動配信「ポップアナリーゼ」を拝見し、これなら1コンテンツに数百円払うのも惜しくないと思いました。
しかし私の知るかぎり、そのレベルに到達しているコンテンツは他に見当たらないの。
30分見て情報これだけ? これで●●●円?という感じです。
その点、書籍は1500円くらいするけれど、情報量多いし(ものによりますが)、深く掘り下げているし(同上)、よくまとめられているし(同上)、何度も読み返すことができるので、すごくお買い得です。
場所をとることが唯一の難点かしらね。
読むのはかったるい、見たり聞いたりするほうが楽でいい、無料なら見なきゃ損というときは、つい動画のほうに行っちゃいますが、「読む」という行為がもたらす快楽はなにものにも代えがたいので、私は生涯読み続けると思います。(動画も見るけどね)
(蛇足ながら)
YouTubeは広告があるのが嫌ですね。短いものならまだ許せるけれど、延々とやられると頭にきます。寝転がって見ているときは、いちいち起きてPC操作しないとならないので難儀します。
【書物をめぐる雑感その3】
Facebookの投稿蘭を賑わす「読書のすすめ・ブックカバーチャレンジ」、そのリレーバトンを友人から受け取りました。
ブックカバーチャレンジは7回にわたって7冊紹介するというルールがあるようですが、それはちょっと長いので、1回7冊に圧縮し、私の一番古い愛読書『ナルニア国物語』全7巻を紹介させていただきました。
●魔術師のおい
●ライオンと魔女
●カスピアン王子のつのぶえ
●朝びらき丸 東の海へ
●馬と少年
●銀のいす
●最後の戦い
(刊行順ではなく、クロニクル物語の年代順)
10歳の頃に図書館で読んで以来、ずっと一緒です。
諸事情により何度か買い換え、今はコンパクト版を持っています。
本の中に広がるナルニアの世界は、まるで夢を読んでいるような気分にしてくれるんです。
7つのお話のうち3つは映画化されています。
最初のは『ライオンと魔女』で、その映像の素晴らしさに涙があふれました。イメージしていたとおりの世界を見せてくれてありがとう!
原作者C・S・ルイス氏、挿絵画家ポーリン・ベインズ氏、名翻訳の瀬田貞二氏、出版元の岩波書店さんにもありがとう!
いつまでも読み継がれていくことを願っています。