文章力アップ

必要な「てにをは」を省いてはいけない

投稿日:2018年10月6日 更新日:

「て・に・を・は」という、わずか一文字の助詞が、文全体を支配することがあります。

助詞はそれほど重要な存在であるにもかかわらず、しかもたった一文字か二文字であるにもかかわらず、いとも安易に省略されてしまうことがよくあります。

ためしに、助詞「を」を省略してみましょう。

「コーヒーを飲みたい」というよりも、「コーヒー飲みたい」というほうが、カジュアルで親しみやすい言い方・書き方になる。というのは、皆さんよくご存じのことですよね。

でも、きちんとした印象を残したいなら、助詞を省略しないほうがよい場合もあるのです。

【例文】

「もう恋なんかしない。男に懲りた」など心にもないことを言っているうち、年とって、誰にも相手にされない女になっちゃいそう。

できればもっと自分に素直になりたいよ。

本当は、若いイケメン新入社員の彼とすれ違うたび、胸がドキドキするんだもん。

【改善例】

「もう恋なんかしない。男に懲りた」など心にもないことを言っているうち、年とって、誰にも相手にされない女になっちゃいそう。

できればもっと自分に素直になりたいよ。

本当は、若いイケメン新入社員の彼とすれ違うたび、胸がドキドキするんだもん。

●できれば助詞を省略しないほうが良い、という例

【例 文】私はあなたのように大胆になれない。

【改善例】私はあなたのように大胆になれない。

【例 文】パーティを開こうと突然言われても、急に支度できません。

【改善例】パーティを開こうと突然言われても、急に支度できません。

【例 文】来たことない、豪華なホテルだわ。

【改善例】来たことない、豪華なホテルだわ。

【例 文】あいつは酒癖も女癖も悪くて、周囲からつまはじきされていた。

【改善例】あいつは酒癖も女癖も悪くて、周囲からつまはじきされていた。

【例 文】ふたりの愛だけで一生やっていけない。

【改善例】ふたりの愛だけで一生やっていけない。

【例 文】お金だけでも一生やっていけない。

【改善例】お金だけでも、一生やっていけない。

●助詞や接続詞を適切に使おうね、という例

【例 文】そんな人だって思わなかった。

【改善例】そんな人だとは思わなかった。

【例 文】今月分の家賃は、来月末までに待ってもらおう。

【改善例】今月分の家賃は、来月末まで待ってもらおう。

【例 文】今月分の家賃は、来月15日まで持っていきます。

【改善例】今月分の家賃は、来月15日まで持っていきます。

【例 文】15日まで、利息は1,000円です。

【改善例】15日まで、利息は1,000円です。

【例 文】すぐ持って行ったところ、利息を1,500円とられた。

【改善例】すぐに持って行った。ところが、利息を1,500円とられた。

【例 文】うちの母は、いまだにパソコンをいじったことがない。

【改善例】うちの母は、いまだパソコンをいじったことがない。

【例 文】うちは、いまだ電子レンジを持っていません。

【改善例】うちは、いまだに電子レンジを持っていません。

●では、ここでクイズです。

【例文】

私は、平日にジョギングをしません。

<質問>

・平日でなければ、ジョギングをするのでしょうか?

1.する
2.しない
3.どちらともいえない

(正解はおそらく、3)

【例文】

私は、平日はジョギングはしません。

<質問>

・平日も、ジョギング以外の運動ならするのでしょうか?

1.する
2.しない
3.どちらともいえない

(正解はおそらく、3)

【例文】

私は、平日にはジョギングもしません。

<質問>

・平日にはジョギングをはじめとして運動は一切しない、ということでしょうか?

1.そのとおり
2.そうではない
3.どちらともいえない

(正解はおそらく、1)

休日は別として、平日はまったく運動をしないということならば──

【改善例1】

私は、平日にはジョギングや運動の類いはしません。

【改善例2】

私は、平日の運動は一切いたしません。

↑というようにすれば、言わんとしていることが確実に伝わります。

関連記事→文章力/接続詞の乱用禁止!! ここぞという場面で効果的に使おう

-文章力アップ

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

文章力/説明がうまい人は「修飾語」(形容詞・形容動詞・副詞の3点セット)に強い

ビジネス文書ではもちろんのこと、プライベートな文章においても、 「ここが大事なポイント!」 と、はっきりわかるように書くことが求められます。 なぜそこが大事なのかを、的確に説明できる文にしていきましょ …

文章力/「主語」と「述語」の取り扱い

主語と述語を明確に示す。 主語と述語を適切に対応させる。 ↑この2つは、文章を書く上でとても大事です。 しかし、主語を省略しても意味の通じる文にすることはできます。 たとえば── 「今朝家を出たときは …

日本のこころ・座禅

取材音源を文字に書き起こす作業は、文章力向上に役立つ。 と以前お話しをしました。 関連記事→テープ起こしをすると文章力が高まる!! テープ起こしをすると文章力が高まる!! 私はライター仕事の一環として …

文章力/「の」という言葉

会話でも文章でも、「の」を連発されると、相手の言わんとすることが理解しづらいものです。 「の」と「の」の間が短ければ、まだいいのです。↓ 「私の前の彼氏の家の近所のコンビニの1番左の棚の上の缶コーヒー …

文章力/接続詞の乱用禁止!! 大事な場面で効果的に使おう

「そして」「だから」「しかし」といった語のことを「接続詞」といいます。 それは交通標識のようなもので、文章がこの先どちらの方向に進むのかを事前に示すもの、とされています。 私の考えはそれとはやや異なり …

言葉をたくさん知っていると、話すのも書くのも自由自在。頭を整理しながら自分の思いや考えを的確に伝えられるので、いつも気分よく過ごせます。仕事や人間関係にきっと良い影響があるでしょう!!

当サイト「言葉力アップグレード」は言葉の世界を豊かにし、話し方・書き方をレベルアップする技術を紹介しています。どうぞご活用ください。

follow us in feedly