コロケーション

口を尖らす?唇を尖らす? それは表情に出すか、態度にあらわすかの違い

投稿日:2018年10月30日 更新日:

皆さんは「コロケーション」って何のことかご存じですか?

コロケーションとは「連語」のこと。
語と語をつなげて作られた、ひと続きの言葉です。

たとえば、

口を尖らす。(不満があることを表情に出すこと)

唇を尖らす。(不満を態度にあらわすこと)

表情にあらわすか、表情だけでなく態度にもあらわすか、という違いがあるのです。

その場の状況に応じて、コロケーションを適切に使っていけるとよいですね。

コロケーションを使う上でのルールはただ1つ。
「昔から言い習わしてきたとおりに従う」ということだけです。

本来の意味を知らずに、または誤解して、微妙にズレた言い方をすると、「あの人は教養がない。言葉の使い方を知らない」と笑われてしまいそう。

人前で恥をかくことのないようにしたいものです。

それには、耳で覚え、目で覚えるしかありません。

このブログでは、日常よく使われるコロケーションを紹介しています。

あなたがこれまで知らずにいた言い回しがきっと見つかるでしょう。

読めば読むほど、「そうか、こういうときはこう言えばよかったのか〜」と発見が増すと思います。

コロケーションに親しんで言葉の世界を広げ、表現力を高めてください。

●「ク」で始まるコロケーション

苦に→する

苦に→なる

苦に→ならない

苦も→なく

愚に→返る(年をとって愚かになること)

愚にも→つかぬ

愚の→骨頂

食い物に→する

空(くう)を→切る(振った棒などが、目的のものに当たらないこと)

空(くう)を→掴む(手を上げて何かを掴もうとするが、掴めずに終わること)

食うか→食われるか

食うに→困る(生活できないこと)

食うや→食わず

食って→いく(暮らしを立てていくこと)

食って→かかる

ぐうの音(ね)も→出ない

釘を→打つ(念を押して言うこと)
釘を差す、楔(くさび)を差す、とも言います

苦境に→立つ

苦言を→呈する

草木も→靡(なび)く(大勢の人々が何かに惹きつけられ、ひれ伏す様子のこと)

草木も→眠る(夜が更けて、物音ひとつしない様子のこと)

草の根を→分けても

楔(くさび)を→打ち込む(相手の勢力の中に別の勢力を入れて二つに割り、その勢いを押さえ込むこと)

櫛の歯を→挽(ひ)く(物事が絶えることなく続く様子のこと)

櫛を→入れる(髪をとかすこと)

苦汁を→なめる
苦杯をなめる、苦杯を喫する、とも言います

薬が→効きすぎる(見せしめなどの効果がありすぎて、逆効果になること)

薬が→効く

薬に→したくもない(まったくと言っていいほどない、ということ)

薬に→するほど(極めてわずかな量であること)

薬に→なる

癖が→つく

癖に→なる(よくないことが習慣になり、そうせずにいられなくなること)

管(くだ)を→巻く(酒に酔って、とりとめもないことをくどくどと話すこと)

口が→上がる(言葉が巧みになること)

口が→上がる(食べるものにも困ること、生活していけないこと)
口が干上がる、顎が干上がる、鼻の下が干上がる、とも言います

口が→うまい

口が→うるさい

口が→奢(おご)る(おいしいものを食べ慣れていて、食べものに贅沢であること)

口が→軽い(よく喋ること、守るべき秘密などを軽率に話してしまうこと)

口が→重い

口が→掛かる
声が掛かる、とも言います

口が→堅い

口が→腐っても(絶対に秘密を漏らしたりしないことを約束するときのたとえ)
口が裂けても、とも言います

口が→寂しい(何か口に入れるものがほしい、ということ)

口が→過ぎる(言い過ぎる、失礼なことを言う、ということ)
言葉が過ぎる、とも言います

口が→滑る

口が→減らない
減らず口をたたく、とも言います

口が→曲がる(無礼な言い方をたしなめるときに使う言葉)

口から→先に生まれる(よく喋る人のたとえ)
顎から先に生まれる、とも言います

口が→悪い

口と→腹とは違う

口に→合う

口に→する(食べること、飲むこと、話すこと)

口に→出す(声に出して言うこと)

口に→乗る(世間の人々の話題になること)
人口(じんこう)に膾炙(かいしゃ)する、とも言います

口に→乗る(甘い言葉にだまされること)
口車に乗る、とも言います

口に→運ぶ

口の→下から(言ったばかりなのに、という意味)
言葉の下から、とも言います

口を→合わせる
口裏を合わせる、とも言います

口を→掛ける(誘うこと)

口を→固める(誰にも言わないようにと口止めをすること)

口を→利く(話すこと、斡旋すること)

口を→切る(容器の封を開けること、真っ先に発言すること)

口を→極めて(褒めるにせよ、けなすにせよ、その程度が最大限であることを言うときの表現)

口を→酸っぱくして(同じ注意を何度も繰り返して言うこと)

口を→滑らす

口を→揃える

口を→出す

口を→たたく
大きな口をたたく、減らず口をたたく、というように使います

口を衝(つ)いて→出る

口を→つぐむ
口を閉ざす、とも言います

口を→慎む

口を→尖らす(不満があることを表情に出すこと)

口を→拭う(盗み食いのほか、悪事を働きながら、素知らぬ顔をすること)

口を→濡らす(どうにか生活すること、細々と暮らすこと)
口を糊(のり)する、糊口(ここう)をしのぐ、とも言います

口を→挟む

口を→開く

口を→封ずる(秘密や不正を他人に言わないように、脅したり圧力をかけたりすること)
口を塞ぐ、とも言います

口を→割る

愚痴を→こぼす(言ってもしかたのないことを、くどくどと言うこと)

口数が→多い

口車に→乗せる(口先で言いくるめて、相手をだますこと)

口の端(は)に→掛かる(評判になること、噂されること)
口の端に上(のぼ)る、とも言います

嘴(くちばし)が→黄色い(年齢が若くて未熟であること)
尻が青い、とも言います

嘴(くちばし)を→容(い)れる
嘴を挟む、口を挟む、とも言います

嘴(くちばし)を→鳴らす(ぺちゃくちゃとよく喋ること、歯ぎしりをして悔しがること)

口火を→切る

唇が→薄い(おしゃべりであること)

唇を→噛む(悔しさを我慢すること)

唇を→尖らす(不満を態度にあらわすこと)

轡(くつわを)→噛ます(相手に利益を与え、その見返りとして口止めをすること)
轡を嵌(は)める、とも言います

轡(くつわを)→揃える(多くの人が揃って同じことをすること)
轡を並べる、とも言います

国に→帰る(生まれ育ったふるさとに戻ること)

国を→挙げて

首が→危ない(免職・解雇されそうであること)

首が→据わる(赤ん坊の首がふらふら動かなくなり、安定してくること)

首が→つながる

首が→飛ぶ

首が→回らない(借金などがあって、お金のやり繰りがつかないこと)

首に→する

首に→なる

首に→縄をつける(無理に同行させること)

首を→懸ける(地位や身分、食などを失う覚悟で、命がけで、ということ)
首を賭ける、とも書きます

首を→傾(かし)げる

首を→切る

首を→挿(す)げ替える(ある人の役職を解いて、別の人をその役職に就かせること)

首を→縦に振る(了承すること)

首を→突っ込む

首を→長くして

首を→捻る(疑問に思って考え込むこと)
小首を捻る、とも言います

首を→横に振る(了承しないこと)

頸木(くびき)を→争う(互いに張り合う、競い合うこと)

踵(くびす)を→返す(引き返す、後戻りをすること)
踵を回らす、とも言います
くびす」を「きびす」とも読みます

踵(くびす)を→接する(あとから続々とついて来ること)

工夫を→凝らす

蜘蛛の子を→散らす

雲が→晴れる

雲を→霞(かすみ)と(一目散に逃げ去って、姿が見えなくなる様子)

雲を→掴むよう(漠然としていて掴みどころがないこと)

雲を→衝(つ)く(他に抜きん出て背が高いこと)
雲衝く、とも言います

雲行きが→怪しい

苦楽を→共にする

暮らしが→立つ
生計が立つ、とも言います

グラスを→重ねる(お酒などを何杯も飲むこと)

グラスを→傾ける(お酒などを飲むこと)

車を→捨てる(タクシーなどの車から降りること)

車を→飛ばす

車を→拾う(空車のタクシーなどを止めて、利用すること)

群を→抜く(多くのなかで、飛び抜けて優れていること)

薫陶(くんとう)を→受ける(人格者の教えを受けて感化されること)

軍配を→上げる(どちらか一方の勝ちを宣言すること)

軍配を→返す(相撲の行司が軍配を裏返して、制限時間が来たことを知らせること)

軍門に→降(くだ)る(戦いや競争に敗れて降参すること)
陣門に降る、とも言います

●まとめの一言

日本語には数多くのコロケーションがあります。
言葉の文化が豊かだということですね。

●愚に返る=年をとって愚かになること
●楔(くさび)を打ち込む=相手の勢力の中に別の勢力を入れて二つに割り、その勢いを押さえ込むこと
●櫛の歯を挽(ひ)く=物事が絶えることなく続く様子のこと
●口を固める=誰にも言わないようにと口止めをすること
●唇が薄い=おしゃべりであること
●轡(くつわを)噛ます=相手に利益を与え、その見返りとして口止めをすること
●轡(くつわを)揃える=多くの人が揃って同じことをすること
●頸木(くびき)を争う=互いに張り合う、競い合うこと
●踵(くびす)を接する=あとから続々とついて来ること

↑私はこの9つを今回初めて知りました。

●「口に乗る」というのは、「世間の人々の話題になること」という意味でもあったのですね。これも初めて知って驚いています。
●「首を傾げる」の「傾げる」は「かしげる」と読む
●「口を衝(つ)いて出る」は「突いて」ではなく「衝いて」と書く
●「嘴(くちばし)を入れる」のではなく「容れる」
●「首をすげかえる」というときは「挿げ替える」と書く
●雲を「突く」のではなく「衝く」
●軍門に「下る」のではなく「降る」

↑というように、漢字の書き分けについても新たに学びました。

あなたにとって、「これ覚えておきたい!!」と思うコロケーションはいくつありましたか?

関連記事→言を待たない?言を俟たない? 正しい書き方と意味を知っていますか?

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