コロケーション

「手の平を返すよう」という言葉には、良い意味と悪い意味がある

投稿日:2018年11月12日 更新日:

皆さんは「コロケーション」って何のことかご存じですか?

コロケーションとは「連語」のこと。
語と語を結びつけて作られた、ひと続きの言葉です。

たとえば、

「掌(たなごころ)を反(かえ)すよう」。

「手の平を返すよう」とも言います。

意味は「物事がたやすくできることのたとえ」です。

人の態度や考えがたやすく変わってしまう」ことのたとえとしても使われます。

「体調を崩す」「体調を整える」などもコロケーションです。

「からだを壊す」とは言いますが、「体調を壊す」とは言いません。

その場の状況に応じて、コロケーションを適切に使っていけるとよいですね。

コロケーションを使う上でのルールはただ1つ。
「昔から言い習わしてきたとおりに従う」ということだけです。

本来の意味を知らずに、または誤解して、微妙にズレた言い方をすると、「あの人は教養がない。言葉の使い方を知らない」と笑われてしまいそう。

人前で恥をかくことのないようにしたいものです。

それには、耳で覚え、目で覚えるしかありません。

このブログでは、日常よく使われるコロケーションを紹介しています。

あなたがこれまで知らずにいた言い回しがきっと見つかるでしょう。

読めば読むほど、「そうか、こういうときはこう言えばいいのか」と新たな発見が増していくと思います。

コロケーションに親しんで言葉の世界を広げ、表現力を高めましょう。

●「タ」で始まるコロケーション

多と→する=重要なものとして認める、ということ

田を→打つ=田を耕すこと

ターゲットを→絞る

体(たい)を→預ける=自分の体を相手にもたせかけること

体(たい)を→かわす=身をひるがえして避けること

体(たい)を→なす=まとまった形になっていること

体(たい)を→引く

体当たりを→食う

大往生を→遂げる

大魚(たいぎょ)を→逸(いっ)す=大きな仕事などを仕損じること

大言(たいげん)を→吐く

太鼓判を→押す=絶対に大丈夫であると保証すること

対策を→講ずる
対策を立てる、とも言います

対策を→練る

大志を→抱く

大事に→至る=深刻な事態になること
大事になる、とも言います

大事を→取る=念のため用心すること

大上段に→構える=ことさらに大袈裟な態度を取ること

大上段に→振りかざす=相手を威圧するような態度を取ること
大上段に振りかぶる、とも言います

体調が→すぐれない

体調を→整える

態度が→大きい

態度を→示す

タイミングが→合う

題目を→唱える=実質が伴わない、口先だけのことを言うこと
題目を並べる、とも言います

隊列を→組む

退路を→断つ=逃げ道を遮断すること

高が→知れる=どの程度であるか、だいだいわかる、という意味

高を→括る=たいしたことはない、と軽く見ること

箍(たが)が→外れる=規律や束縛がなくなったので締まりがなくなること

箍(たが)が→ゆるむ

箍(たが)を→締める=気のゆるみを戒めること

多岐に→渡る
多岐に亘る、とも書きます

タクシーを→拾う

タクトを→取る=音楽の指揮をすること
タクトを振る、とも言います

打算が→働く

出しに→する=自分の欲望や利益のために、人や物を利用すること
出しに使う、とも言います

出しを→取る=かつおぶしや昆布を煮出して、出し汁をつくること

助け船を→出す=困っている人に、知恵や力を貸してやること

他姓を→冒す=他人の姓を名乗ること
姓を冒す、とも言います

ただでは→置かない

ただでは→済まない

駄駄(だだ)を→言う=わがままを通そうとしてぐずること
駄駄をこねる、とも言います

踏鞴(たたら)を→踏む=勢いよく向かった的が外れて空回りをすること

質(たち)が→悪い

太刀打ち(たちうち)→できない=とうてい適わない、ということ

立ち回りを→演じる=つかみ合いや殴り合いの喧嘩をすること

立つ瀬が→ない=自分の立場がない、ということ
面目がない、とも言います

手綱(たづな)を→締める
手綱を引く、とも言います

手綱を→ゆるめる

盾(たて)に→取る=ある物事を、言い訳や言いがかりの材料とすること

盾(たて)を→突く=反抗すること

棚に→上げる=あることを、わざと取り上げないで触れずにおくこと

掌(たなごころ)を→反(かえ)すよう=物事がたやすくできることのたとえ、人の態度や考えがたやすく変わってしまうことのたとえ
手の平を返すよう、とも言います

掌(たなごころ)を→指す=きわめてはっきりしていて正確であること

種(たね)が→割れる=隠されていた事情が明らかになること

種(たね)を→明かす

束(たば)に→なる=多くの人が一緒になること

荼毘(だび)に→付す=火葬にすること

他聞(たぶん)を→はばかる=関係のない人に聞かれては困る、という意味

玉と→砕ける=名誉などのために潔く死ぬこと

玉を→転がすよう=女性の、高くて美しい声の形容
鈴を転がすよう、とも言います

魂が→抜けたよう=やる気や気力がない様子の形容

魂を→入れ替える
心を入れ替える、とも言います

魂を→冷やす=非常に驚き恐れること
肝を冷やす、とも言います

玉の輿(たまのこし)に→乗る

惰眠を→むさぼる

駄目を→押す=念のために、再度確かめること

駄目を→出す=悪いところなどを指摘して、直させること

溜め息が→出る
溜め息をもらす、溜め息をつく、とも言います

袂(たもと)を→絞る=嘆き悲しむこと

袂を→連ねる=行動を共にすること

袂を→分かつ=交流をやめること

端(たん)を→発する=あることがきっかけになり、物事が始まること

胆(たん)が→据わる=どんなことにも慌てたり恐れたりしないこと
肝(きも)が据わる、とも言います

胆(たん)を→奪う=相手を驚かせて動揺を誘い、気力や意気をなくさせること

胆(たん)を→練る=物事を恐れたり動揺したりしないように、気力を鍛え養うこと

断(だん)を→仰ぐ=相手の決断を請うこと

断(だん)を→下す

断(だん)を→迫る

暖(だん)を→取る=暖まること

啖呵(たんか)を→切る

端緒(たんしょ)を→開く=物事を始めること

旦夕(たんせき)に→迫る=重大な事が起こる時期が迫っている、という意味

嘆息(たんそく)を→漏らす
吐息(といき)を漏らす、とも言います

段取りが→いい・悪い

段取りを→つける

担保に→入れる
抵当に入れる、とも言います

担保を→取る
抵当を取る、とも言います

だんまりを→決め込む

●まとめの一言

日本語には数多くのコロケーションがあります。
言葉の文化が豊かだということですね。

旦夕(たんせき)に迫る=重大な事が起こる時期が迫っている、という意味

 

掌(たなごころ)を指す=きわめてはっきりしていて正確であること

↑私はこの2つを今回初めて知りました。

掌(たなごころ)を反(かえ)すよう・手の平を返すよう=物事がたやすくできることのたとえ

↑というのも、知ってびっくりです。

「手の平を返す」とは急に態度を変えること、だとばかり思っていたのです。
そのような悪いことを指す言葉ではありますが、良い意味で使われることもあるんですね。

「僕にとって、そんなのは簡単なことだよ。手の平を返すようなものさ」

という人がいても、ちっともおかしくないのです。

言葉の世界は奥が深いので、興味は尽きません。

言葉をたくさん知れば知るほど、話すのも書くのも自由自在になっていきます。
頭を整理しながら自分の思いや考えを的確に伝えられるので、いつも気分よく過ごせます。
仕事や人間関係に良い影響があるでしょう!!

あなたにとって、「これ覚えておこう!!」と思うコロケーションはいくつありましたか?

関連記事→知己を得る?知遇を得る? どう違うのか知っていますか?

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