コロケーション

「非の打ち所がない」と「間然する所がない」はどちらも「欠点がまったくない」という意味

投稿日:2018年12月28日 更新日:

皆さんは「コロケーション」って何のことかご存じですか。

コロケーションとは「連語」のこと。
語と語を結びつけて作られた、ひと続きの言葉です。

たとえば、「非の打ち所がない」というのもコロケーションです。
欠点がまったくない」という意味ですね。


これと同じ意味を持つ言葉に、「間然(かんぜん)する所がない」というのがあります。

「間然」とは、欠点を突いてあれこれと批判や非難をすることです。

「間然」を「完全」と聞き違えることのないようにしましょう。
「完全する所がない? 完全ではないということ?」と勘違いしてしまうと大変なことになります。

「完全する所がない」という言い方はしません。
ですから、「かんぜんする所がない」と聞こえたときは、「間然」という文字がぱっと頭に浮かぶようでなければなりません。

さて、コロケーションを使う上でのルールはただ1つ、
昔から言い習わしてきたとおりに従う」ということだけです。

本来の意味を知らずに、または誤解して、微妙にズレた言い方をすると、「あの人は教養がない。言葉の使い方を知らない」と笑われてしまいそう。

人前で恥をかくことのないようにしたいものです。
それには、耳で覚え、目で覚えるしかありません。

このブログでは、日常よく使われるコロケーションを紹介しています。
あなたがこれまで知らずにいた言い回しがきっと見つかるでしょう。
読めば読むほど、「そうか、こういうときはこう言えばよかったのか〜」と新たな発見が増していくと思います。

コロケーションに親しんで言葉の世界を広げ、表現力を高めましょう。
その場の状況に応じて、コロケーションを適切に使っていけるとよいですね。

●「ヒ」で始まるコロケーション

日が→浅い

日が→当たる

日が→ある・ない

日が→暮れる

日が→差す

日が→高い

日が→斜めになる

日に→焼ける

日を→改める

日を→限る=期限を決めること

日を→重ねる
日数(ひかず)を重ねる、とも言います

火が→付く

火が→回る

火に→当たる

火に→油を注ぐ

火に→掛ける

火の→消えたよう

火の→付いたよう

火の→出るよう

火を→入れる

火を→落とす

火を→出す

火を→付ける

火を→通す

火を→吐く

火を→放つ

火を→吹く

火を→見るより明らか

非の→打ち所がない
間然(かんぜん)する所がない、とも言います

非を→暴く

非を→打つ=相手の欠点や誤りを指摘して非難すること

非を→鳴らす=相手の欠点や誤りを盛んに言い立てて非難すること

非を→認める

微に入り→細を穿つ=細かい点まで念入りにすること
びにいりさいをうがつ、と読みます

日脚が→延びる
日足が延びる、とも書きます

火脚が→早い=火事などの火の回りが早いこと
火足が早い、とも書きます

贔屓(ひいき)の→引き倒し=ひいきをしすぎたために、かえって相手に迷惑をかけること

被害が→大きい・小さい

被害が→及ぶ

被害が→出る

被害が→広がる

被害を→受ける
被害を被(こうむ)る、とも言います

控えを→取る

火加減を→見る

光を→当てる

光を→放つ

悲願を→果たす

美観を→損なう

引き合いが→ある=売買の取引や照会、問い合わせがあること

引き合いに→出す=例として取り上げること

引き金に→なる=あることがきっかけとなって、何かが起きること

引き金を→引く

引き際が→悪い
退き際が悪い、とも書きます

引き際を→誤る
退き際を誤る、とも書きます

引くに→引けない

引く手→数多(あまた)

微醺(びくん)を→帯びる=ほんのりと酒に酔うこと

引けを→取らない

ひげを→当たる=ひげを剃ること

ひげを→蓄える

引け目を→感じる

膝が→笑う=非常に疲れたときなど、膝の力が抜けて、がくがくすること

膝を→打つ=あることを思いついたとき、または感心したときなど、手で膝をぽんと叩くこと

膝を→折る=屈服すること
膝をかがめる、膝を屈する、とも言います

膝を→抱える=何もしないでじっとしていること

膝を→崩す=楽な姿勢で座ること

膝を→進める=座ったままで相手に近寄ること

膝を→正す=正座をすること、改まった態度をとること

膝を→突き合わす=お互いに向き合って接近すること

膝を→乗り出す=興味を感じて身を乗り出すこと

膝を→交える=お互いに打ち解けて話し合うこと

秘策を→授ける

秘策を→練る

日差しが→強い

日差しを→遮る

肘鉄砲(ひじでっぽう)を→食わす
肘鉄(ひじてつ)を食わせる、とも言います

秘術を→尽くす=とっておきの方法を出し切ること

非常線を→張る

ヒステリーを→起こす

歪(ひずみ)が→生じる

鼻息を→うかがう=相手の機嫌のよしあしを気にして、様子を見ること

顰(ひそみ)に→倣(なら)う=むやみに人の真似をすること
他人と同じ手法を用いることが適切だと思われるときも、謙遜して「顰に倣う」と言います

額に→汗する=汗を流して一生懸命に働くこと

額を→集める=集まって顔を寄せ合い、相談すること

額を→合わせる=互いの額が触れあうほど、近くに向き合うこと

媚態(びたい)を→示す=媚びた、なまめかしい態度を見せること
媚態を呈する、とも言います

直隠し(ひたかくし)に→隠す=ひたすら隠すこと

肥立ち(ひだち)が→いい=子どもを出産して体力を消耗した産婦が順調に回復すること

左前(ひだりまえ)に→なる=商売や経営がうまくいかなくなること

筆圧が→強い

筆硯(ひっけん)に→親しむ=文筆に親しむこと

引っ込みが→つかない

筆舌(ひつぜつ)に→尽くしがたい=言葉や文章では十分に表現できないこと

人が→いい・悪い

人が→変わる

人と→成る=成長して一人前のおとなになること

人を→食う=人をばかにし、人を人とも思わないような言動をすること

人当たりが→いい・悪い
人当たりとは、他人に与える印象のこと

一泡(ひとあわ)→吹かせる=驚かせること、不意を突いて慌てさせること

一息(ひといき)→入れる=ちょっと休むこと
一息吐(つ)く、とも言います

人垣(ひとがき)を→作る=大勢の人が集まって、垣根のように立ち並ぶこと

一皮(ひとかわ)→剥ぐ=取り繕っていた偽りの表面を取り除くこと
一皮剥(む)く、とも言います

一皮(ひとかわ)→剥(むける)=余計なものが取り除かれ、洗練されて良くなること

一声(ひとこえ)→掛ける

人心地(ひとごこち)が→つく=平常に立ち返り、安心した心持ちになること

一筋縄(ひとすじなわ)では→いかない

一溜(ひとた)まりも→ない

人使いが→荒い

人使いが→うまい

人伝(ひとづて)に→聞く

人手が→掛かる=多くの人数が必要であること

人手が→余る

人手が→足りない

人手に→掛かる=他人に殺されること

人手に→渡る

人手を→借りる

一旗(ひとはた)→揚げる

一肌(ひとはだ)→脱ぐ=本腰を入れて力を貸すこと

一花(ひとはな)→咲かせる

人目に→余る=目立ちすぎて、人に不快感を抱かせること

人目に→さらす

人目に→立つ
人目に付く、とも言います

人目を→奪う
人目を引く、とも言います

人目を→気にする

人目を→避ける

人目を→忍ぶ

人目を→はばかる

一役(ひとやく)→買う

一山(ひとやま)→当てる=万に一つのことを狙って、大儲けすること

日向(ひなた)を→歩く=恵まれた環境の中で過ごすこと

檜(ひのき)舞台に→立つ=第一線で活躍すること

火の手が→上がる

日の目を→見る=人々に知らされていなかったことが、晴れて公に発表されること

火花が→飛ぶ

火花を→散らす

批判が→高まる

批判を→浴びる

ひびが→入る

火蓋(ひぶた)を→切る

暇が→要(い)る=時間が必要だということ

暇が→掛かる=時間がかかる、ということ

暇に→飽かす=暇なので、長く時間をかけて物事に取り組むこと

暇を→割(さ)く=時機をうかがって、何事かに時間を費やすこと
暇を見つける、とも言います

暇を→出す=使用人などを辞めさせること、または離縁すること
暇をやる、とも言います

暇を→潰(つぶ)す=ある事をして、暇な時間を費やすこと

暇を→取る=自分のほうから願い出て、仕事を辞めること、または離縁すること
暇を貰う、とも言います

暇を→盗む=忙しいときなどに、他の物事をするためのわずかな時間を作り出すこと

暇を→見る=忙しいなか、わずかな時間を作り出すこと

暇を→持て余す

秘密を→暴く

秘密を→漏らす

悲鳴を→上げる=驚きや苦痛などのために、思わず叫び声を上げること

悲鳴を→上げる=泣き言を言うこと
弱音を吐く、とも言います

冷や汗を→かく

飛躍を→遂げる

ヒューズが→飛ぶ
ヒューズが切れる、とも言います

票が→割れる=採決や選挙の票が、どこか一つに偏らずに分かれること

票を→投じる

票を→読む=得票数を予測すること

評価が→高い・低い

評価が→分かれる

評価を→受ける

氷山の→一角=表面にあらわれたことは、全体のほんの一部に過ぎないことのたとえ

表情が→明るい・暗い

表情が→固い

表情が→曇る

表情が→豊かだ

表情が→緩む=固くなっていた顔つきがほころび、笑顔になること
頬(ほお)が緩む、とも言います

表情に→表す

病床に→ある

病床に→就く

瓢箪(ひょうたん)から→駒が出る=冗談で言ったことが真実となって実現すること

評判が→上がる・落ちる

評判が→高い・低い

評判が立つ
評判になる、とも言います

ピリオドを→打つ=終わりにすること

ピンから→キリまで=はじめから終わりまで、または、最上のものから最低のものまで
「ピン」ははじめ、一番という意味

ピンを→撥(は)ねる
ピンハネをする、上前(うわまえ)を撥ねる、とも言います

品位に→欠ける

品位を→保つ

顰蹙(ひんしゅく)を→買う=他人に軽蔑されること

貧乏籤(くじ)を→引く

●まとめの一言

日本語には数多くのコロケーションがあります。
言葉の文化が豊かだということですね。

●非を打つ=相手の欠点や誤りを指摘して非難すること
●微醺(びくん)を帯びる=ほんのりと酒に酔うこと
●筆硯(ひっけん)に親しむ=文筆に親しむこと

↑私はこの3種の言い方を今回初めて知りました。

●微に入り細を穿つ=細かい点まで念入りにすること

↑これは知っていましたが、「微に入り細に入り」と言い間違えていた時期が長らくありました。
正しくは「微に入り細を穿ち」なのですね。

言葉の世界は奥が深いので、興味は尽きません。
言葉をたくさん知れば知るほど、話すのも書くのも自由自在になっていきます。
頭を整理しながら自分の思いや考えを的確に伝えられるので、いつも気分よく過ごせます。
仕事や人間関係にきっと良い影響があるでしょう!!

願わくは、

「日向を歩いて檜舞台に立ち、一旗揚げてなおかつ顰蹙を買うこともなく、品位を保って、人生のピンからキリまで一花咲かせ続けてピリオドを打ちたい」

と思います。

あなたにとって、「これ覚えておこう!!」と思うコロケーションはいくつありましたか?

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