コロケーション

泥仕合?泥試合? 泥をかぶる?泥を塗る?泥を吐く? 何のことだか分からない人はこれ読んで

投稿日:2018年12月4日 更新日:

皆さんは「コロケーション」って何のことかご存じですか?

コロケーションとは「連語」のこと。
語と語を結びつけて作られた、ひと続きの言葉です。

たとえば、泥仕合を演じるというのもコロケーションです。
この言葉の意味は「相手の秘密を暴いたり弱点を突いたりして、醜く争うこと」ですね。

「泥試合」と書くのは間違いですから、注意しましょう。

「泥をかぶる」は、不利を承知で、いやな役目を引き受けること。

「泥を塗る」は、名誉を傷つけること。

「泥を吐く」は、隠していたことを白状すること。

という意味があるんですね。

その場の状況に応じて、コロケーションを適切に使っていけるとよいですね。
 
コロケーションを使う上でのルールはただ1つ。
「昔から言い習わしてきたとおりに従う」ということだけです。

本来の意味を知らずに、または誤解して、微妙にズレた言い方をすると、「あの人は教養がない。言葉の使い方を知らない」と笑われてしまいそう。

人前で恥をかくことのないようにしたいものです。

それには、耳で覚え、目で覚えるしかありません。

このブログでは、日常よく使われるコロケーションを紹介しています。

あなたがこれまで知らずにいた言い回しがきっと見つかるでしょう。

読めば読むほど、「そうか、こういうときはこう言えばいいのか」と新たな発見が増していくと思います。

コロケーションに親しんで言葉の世界を広げ、表現力を高めましょう。

●「ト」で始まるコロケーション

堵(と)に→安んず=安心して家で暮らすこと

途(と)に→就く=旅に出ること、出発すること

度が→過ぎる

度を→失う

吐息を→漏らす

トイレが→近い=小便の回数が多いこと

当(とう)を→得る=道理に適うこと、適切であること

当(とう)を→失する=道理に適わないこと、適切でないこと

薹(とう)が→経つ=最も盛んなときが過ぎて、新鮮でなくなること

堂に→入(い)る=技術が熟練していて、よく身についていること

頭角を→現す

頭角を見(あらわ)す、とも書きます

道具に→する=利用すること

道具に使う、とも言います

峠を→越す=最も盛んな時期や危険な時期を過ぎて、勢いが衰えはじめること

山を越す、とも言います

東西を→失う=方角がわからなくなること、途方に暮れること

東西を→弁(べん)ぜず=物事の道理がまったく理解できないこと

東西を弁(わきま)えず、とも言います

闘志を→燃やす

掉尾(とうび)を→飾る=物事の最後を立派に締めくくること

道理が→通る

道理に→適う

道理に→外れる=筋道が通っていないこと、あるべきようにならないこと

道理を→弁(わきま)える

時が→解決する

時が→流れる

時に→遇(あ)う=よい時節にあうこと、幸運に恵まれること

時を→争う

一刻を争う、とも言います

時を→失う=よい機会を逃してしまうこと、時勢に合わず勢力が衰えること

時を→移さず=すぐに、ただちに、ということ

時を→得る

時を→稼ぐ

時間を稼ぐ、とも言います

時を→刻む=時間を細かく区切って進めること

時を→作る=雄鳥が鳴いて、夜明けを知らせること

鬨(とき)の声を→上げる=戦闘の始まりに、全軍が一斉に大声で叫んで士気を高めること

鬨(とき)を作る、とも言います

度肝を→抜く

度胸が→据わる

度胸が→付く

度胸を→決める

覚悟を決める、とも言います

徳と→する=ありがたいものと考えて感謝すること

得心(とくしん)が→行く=心から納得できること

毒舌を→振るう

禿筆(とくひつ)を→呵(か)す=自分の文章を謙遜して言う言葉で、下手な文章を書くという意味

とぐろを→巻く=仕事をせずにごろごろしていること

棘が→ある=言葉などに、人を傷つけるような意地の悪さがあること

棘を含む、とも言います

床に→就く=寝床に入って寝ること、または、病気になって伏せること

床を→上げる=寝具をたたんで片付けること、または、病気が治ること

床を払う、とも言います

床を→取る=布団を敷いて寝床を作ること

床を延べる、とも言います

所を→得る=自分に適した仕事や地位、またはふさわしい場所を占めること

年が→改まる

年が→行く=年を取ること、または、一年が過ぎ去ること

年が→離れる=年齢に差があること

年には→勝てない

年に→不足はない=十分に生きたので、いつ死んでも不満はないこと、または、目的のことをするにあたって年齢の点では十分であること

年は→争えない

年を→食う

年を取る、とも言います

年を→越す=新年を迎えること

どじを→踏む

年端(としは)も→行かない=若い、幼い、ということ

どすを→利かせる=声などに凄みを出すこと

どすを→呑む=短刀などを隠し持つこと

怒声を→上げる

怒声を発する、とも言います

怒声を→浴びせる

土足で→踏みにじる=無遠慮に振る舞うこと

土地を→転がす=土地を買っては値上がりを待って売ること

栃麺棒(とちめんぼう)を→振る=うろたえ、慌てること

栃麺棒を食う、とも言います

毒気(どくけ)に→当てられる=相手の気負った言動によって、こちらの意志が萎えてしまうこと

毒気を→抜かれる=びっくりして、気負った気持ちをはぐらかされること

度肝を抜かれる、とも言います

突拍子も→ない

途方もない、とも言います

トップを→飾る=新聞や雑誌の最も目立つところに、重要な記事として掲載されること

トップを→切る=先頭に立つこと

途轍(とてつ)も→ない=並外れていること

とてもじゃ→ないが

徒党を→組む=悪いことをするために仲間が集まること

止(とど)めを→刺す

怒髪(どはつ)→天を衝(つ)く=髪の毛が逆立つほど激しく怒ること

とばっちりを→受ける

とばっちりを食う、巻き添えを食う、とも言います

土俵に→上がる=対決の場に出ること

土俵を→割る=相手の力や勢いに押し切られること

途方に→暮れる

途方を失う、とも言います

と胸(むね)を→衝(つ)く=はっとする、どきりとすること

と胸を衝かれる、とも言います

艫綱(ともづな)を→解く=船出すること

虎に→なる=酒にひどく酔うこと、酔って暴れること

虎の→尾を踏む=大変な危険を冒すこと

薄氷を踏む、とも言います

銅鑼(どら)を→打つ=放蕩にふけり、遊びによって財産を使い果たすこと

取り付く→島がない=つっけんどんで、どこを取っかかりにすればよいか分からないこと

鳥肌が→立つ

取って→付けたよう=言葉や態度などが不自然でわざとらしいこと

取るに→足りない

泥の→ように=ぐっすり眠りこんでいる様子の形容

泥を→かぶる=不利を承知で、いやな役目を引き受けること

泥を→塗る=名誉を傷つけること

泥を→吐く=隠していたことを白状すること

泥仕合を→演じる=相手の秘密を暴いたり弱点を突いたりして、醜く争うこと

トンネルを→抜ける=調子の悪い状態が終わること

●まとめの一言

日本語には数多くのコロケーションがあります。
言葉の文化が豊かだということですね。

●堵(と)に安んず=安心して家で暮らすこと
●東西を失う=方角がわからなくなること、途方に暮れること
●東西を弁(べん)ぜず=物事の道理がまったく理解できないこと
●当(とう)を得る=道理に適うこと、適切であること
●当(とう)を失する=道理に適わないこと、適切でないこと
●徳とする=ありがたいものと考えて感謝すること
●禿筆(とくひつ)を呵(か)す=下手な文章を書くこと(自分の文章を謙遜して言う言葉)
●所を得る=自分に適した仕事や地位、またはふさわしい場所を占めること
●栃麺棒(とちめんぼう)を振る=うろたえ、慌てること
●と胸(むね)を衝(つ)く=はっとする、どきりとすること
●艫綱(ともづな)を解く=船出すること
●銅鑼(どら)を打つ=放蕩にふけり、遊びによって財産を使い果たすこと

↑私はこの12種を今回初めて知りました。
なんとなくわかってはいても、意味するところを微妙に勘違いしていたものもあります。

言葉の世界は奥が深いので、興味は尽きません。

言葉をたくさん知れば知るほど、話すのも書くのも自由自在になっていきます。
頭を整理しながら自分の思いや考えを的確に伝えられるので、いつも気分よく過ごせます。
仕事や人間関係に良い影響があるでしょう!!

あなたにとって、「これ覚えておこう!!」と思うコロケーションはいくつありましたか?

関連記事→「流れに棹(さお)差す」とは時流に逆らうこと? それとも時流に乗ること?

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