一言でいって「レディファースト」って何?
「レディファースト」というのは、中世ヨーロッパの「騎士道」、つまり主君に仕える騎士たちが従うべき行動規範に由来するマナーのひとつです。
レディファーストは近代以降も英国ジェントルマンの準則(ルール)として継承され、西欧の社交術に大きな影響を与えた、とされています。
名誉と礼節を重んじる紳士たちは、騎士道精神に則り、女性を尊び奉仕することを男らしさの証とするとともに、自ら証を立てることを喜びとしているのですね。
いっぽう日本の武士道が行動規範の根底に据えているのは「年功序列」と「家名の存続」で、何よりも尊重すべき規範は「文武両道の鍛錬を欠かさず、自分の命を以って徹底責任をとること」なんですってよ。
見ようによっては、バリバリ硬派のヤンキーか暴走族みたいなことを言っているんですね。
いや逆か。暴走族やヤンキーの男の子たちこそ、日本古来の武士道を受け継いでいるのかもしれません。
昔々の武士道には、女性とどうつきあうべきか、どのようにすればお互い幸せになれるか、という発想そのものがなかったようです。
しかし今はその点をよーく考えないと、やっていけない時代ですよね。
昨今は硬派が減り、逆に増えているのは軟派の「マイルドヤンキー」で、彼ら彼女らは概して地元志向が強く、小中学校時代からの友人とつきあうことを好み、平均よりもはやく結婚し、できちゃった婚が多いのだそうです。それもひとつの幸せのあり方ですね。
ヤンキーであってもなくても、飽くなき幸福追求をしていきましょう。
男性はエスコート上手になる、女性は上手にエスコートされる、ということがまた、幸福度アップにつながると思います。
歩くときは男性が車道側、女性は内側を。
女性の一人として私が常々思っているのは、「武士でも騎士でもいいけれど、とにかく女性を大事にする男と一緒にいたい」ということです。
女性を大事にするというのは、いざというときは身を挺して守るということですよ。
その覚悟があるかないかは、日常のちょっとした行動から窺い知れます。
たとえば、ふたり並んで歩くときは必ず男性が車道側を歩いて女性の楯となり、比較的安全な内側を女性に歩かせる。
そういうことがごく当たり前の習慣として身についている男性は素敵です。
その心遣いが嬉しくもあるし、このひとは頼りになる、と思えます。
☆☆☆☆
「歩くときは男性が車道側、女性は内側を」と、ヨーロッパの男性は子供の頃から教えられて育つ、となにかの本で読んだことがあります。
小さな男の子が母親と連れだって歩くときも、男の子が車道側、母親は内側を歩く、というようになっているんですって。
そういうのって、いいですね。
☆☆☆☆
「連れの女が車道側を歩こうが崖側を歩こうが、特に危険がないならそれでいいじゃないか」といわんばかりに、自分だけさっさと歩いていってしまう、なんてことだけは絶対にしないでくださいね。
そういう身勝手な男性は、女性に信用されません。
一事が万事ですから、「このひとは、何かあったときには真っ先に逃げ出すだろう」「責任をとろうとしないだろう」と日頃から疑いの目で見られることになります。
タクシーの乗り降りは男性が先、女性は後。
タクシーを利用するときは、男性が先に乗り、そのあとに女性に乗ってもらうようにするとよいですね。
そのようにすると、目的地に着いたら先に女性を降ろし、その間に男性は支払いをする、というスムーズな流れを作れます。
「それではレディファーストに反するじゃないか」
「ビジネス接待マナーの観点からいうと、車内で最も上座は助手席、次が運転手の後ろの席、続いて助手席の後ろの席、最後が後部座席の中央だよ」
「女性に敬意を表すなら、自分よりも上座にあたる運転手の後ろの席を勧めるべきじゃないか?」
と言われるかもしれません。たしかにそのとおりなのですが、女性が本当に望んでいるエスコート術と、いわゆる接待マナーには食い違いのあることが多いのです。
スカートにハイヒールでおしゃれしているときは、車の乗り降りもけっこう大変なのだということを、男性の皆様はご存じないでしょうね。
助手席の後ろの席に座るなら、まず後部座席に腰掛けてから身体を90度回転させ、両脚を揃えて車内に入れればよく、降りるときはこれの逆をやればいいのですから、比較的楽です。
しかし、運転手の後ろの席に座るとなると、後部座席に腰をおろすや否や二歩も三歩も横に移動しなければならず、スカートの裾の乱れが気になって仕方ないのです。
ですから女性にとって一番の上座は、車の開閉ドアに近い席なのです。
助手席もドアに近いのですが、デート中に女性だけ前の席に座るというのは変でしょう。
だから一番いいのは助手席の後ろの席、ということになります。
そこから程よい距離をおいて隣にお相手の男性が座る、というのがベストですね。
☆☆☆☆
上記のことを理解せず、何の考えもなしに自分が先に乗り込んで女性のことはほったらかし、というような悪い印象を与えてしまうことのないようにしましょう。
「女性は乗り降りが大変だから、僕が奥に座るね」と告げてサッと乗り込み、続いて女性が座席に腰をおろしてドアが閉まるまで、無事を見届けるようにするとよいですね。
降りるときは、素早く支払いを済ませて女性のあとに続き、周囲の安全を確かめながら、女性の肘のあたりにそっと手を添えて歩道へと促すようにしてください。
こういうときのさり気ないボディタッチが女性の心をくすぐります。
一瞬ドキッとして、そのあと胸の奥がほんわか温かくなったりもします。
「男の人って、やっぱり頼りになるわあ」と信頼の気持ちが生まれて、胸が温かくなるのですね。
【今回のまとめ】
●ビジネス接待マナーの常識を越えるエスコートをしよう。
●「いざというときは身を挺して君を守るよ。そもそも僕と一緒にいれば危険な目になど遇わせないよ」という思いが女性に伝わればパーフェクト。