読書感想文

読書感想文/読んでびっくり、知ってよかった〜の本たち

投稿日:2017年6月8日 更新日:

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「こういう本を読んだ。こんなことを考えた」

と、思いつくままに書き出してみませんか。

読書感想文というほどおおげさなものでなくていいのです。
わずか数行のメモであっても、あるとないとでは大きく違います。

記録を残すことにより、貴重な思い出がどんどんストックされていきます。
それは写真アルバムにも匹敵する「幸せの思い出貯蔵庫」となり得ます。

私はこの3年間に、約30本の読書感想文を綴りました。
恥ずかしながら、当ブログ読者の皆様に見ていただきたいと思います。

皆様にとって、読書を促す一助となりえるならば、本当にうれしいことです。
また、自分も読書感想文を書いてみようという気になっていただけるなら、望外の喜びです。

●東電OL殺人事件

今回披露させていただく私の読書感想文、まず1冊目はこちらです。
『東電OL殺人事件』(続編として『東電OL症候群』)佐野眞一著

事件の被害者となった女性が何故あのような生き方をしたのか、なんだか急に気になりだして、この本をあらためて読み返しました。

彼女は殺人事件の被害者です。
しかし、事件当時のワイドショーや週刊誌は残酷なまでに被害者のプライバシーを暴こうとして、家族や知人友人を追い回していました。
そのことに憤懣やるかたない思いをいだいた人は少なくないでしょう。

本書著者も、その点は強く意識しているようです。
ただし、書くからには、どうしてもプライバシーに触れることになってしまいます。
彼女がまだ生きていれば名誉毀損、人権侵害にあたるようなことも、たしかに書かれています。

しかし、そのことを目的として書かれた本では勿論ないでしょう。
被害者がかかえていた矛盾や病理(と思われるもの)がどこからきているのか探っていくことは、単に興味本位のスキャンダル記事とは別物の、真摯なルポルタージュととらえて良いのではないかと私は考えます。

死者に対する敬意が払われているかどうかは、読者の判断によります。
私は、著者の筆致に真摯なものを感じました。

私は著者佐野眞一氏の代弁者ではなく、一介の一読者なので、読後感のみを語らせていただきます。
率直にいって、被害者の女性の渋谷円山町界隈での乱心ぶりに、ここまでやるか、すっげえなあ、と打ちのめされました。
その凄まじさを読むにつけ、心がしくしくします。

本書は、被告(当時)の無罪を確信して取材調査した結果を活字にしたものでもあります。
事件の真相は謎のままです。
証拠不十分でも有罪とされることもあり得るのだという不合理な現実に恐怖を感じます。
冤罪と証明されるまでに10数年という歳月がかかっていることも衝撃的です。

●歓楽と犯罪のモンマルトル

2冊目はこちらです。
『歓楽と犯罪のモンマルトル』ルイ・シュヴァリエ著 河盛好蔵訳

19世紀初頭から第二次世界大戦前夜までのモンマルトルの移り変わりが、バルザック、ゾラ、その他さまざまな作家の文献を基に紹介されています。

パリの暗部を覗き見するようで、ワクワク、ドキドキ。

約700頁の大部、しかも2段組ですが、夢中になって読み切りました!

そんな本書のほか、かつて『夜よ、さようなら』という小説(映画にもなりました)を読んだときも(かれこれ30余年前になりますね~)ものすごく感動しました。
「売春とは永遠の冬を生きるようなもの」というフレーズが今も頭に残っています。

『北ホテル』はお読みになりましたか?
あれもいいですよ~!
サンマルタン運河のそばに建つ安宿と、そこを根城にする庶民の話です。
その独特の筆致は「ポピュリズム」というやつだそうです。

パリはおもしろい。表の顔も裏の顔もおもしろい。

私はモンマルトルに10日、モンパルナスに10日、ステイしたことがあります。
また行きたい~!忘れがたい~!

●ラブレーで元気になる

3冊目はこちらです。
『ラブレーで元気になる』荻野アンナ著


腹をかかえて笑う、結果として元気になる、ということを体感しました。

下ネタというか糞尿話うんこ盛りですが、痴ではなく知的笑いです。

仏ルネサンス文学『ガルガンチュア』『パンタグリュエル』の過激な笑いに託された深遠かつ豊饒な世界観とでも申しましょうか、私は未知なる次元へ連れていかれちゃったよの感が濃厚です。

荻野アンナ氏による超訳と解説、面白すぎます。

荻野アンナ著『ラブレー出帆』『けなげ』(岩波文庫)も面白そうです!

●日本変流文学

4冊目はこちらです。
『日本変流文学』巽孝之著

「はじめに」から引用します。

「変流文学」とは、二十世紀末に顕在化した境界領域文学一般を表す造語である。
たとえばいま、現実と幻想の認識論的境界を侵犯する文法は「北米マジック・リアリズム」の名で呼ばれ、たとえば前衛文学と大衆文学の文化市場的境界を溶解する技法は「アヴァン・ポップ」の名で呼ばれ、さらにたとえば、主流文学とSFのジャンル論的境界を侵犯する修辞法は「伴流文学(スリップストリーム)」の名で親しまれている。(中略)
本書の最終的なもくろみは、変流文学という装置を通して現在の日本を読み直すことにより、最も今日的なエキゾティシズムの運命を浮上させ、現在文学一般を語るために役立つ視座を構築する点にある。
それはとりもなおさず、日本における「変流文学」を語ると同時に、変流文学でしか語れない「日本」を浮かび上がらせるだろう。

漢字にカタカナ英語のルビふり満載!!
刺激的なワードがちりばめられた、熱い本です!!

●日本世間噺大系

5冊目はこちらです。
『日本世間噺大系』伊丹十三著

全31話のエッセイ集です。
どの話も面白いので、一度読み出したらやめられません。

「もうひとつ、あとひとつだけ」と、つい長居をしてしまいます。

本にかまけて食事がおろそかになっても、風呂にはいりそこねても、構うもんかっという気さえします。

そこまでしても損はない。
損がないどころか、実にためになる本である、と思っています。

どこがどうためになるかといえば、その内容もさることながら、漢字遣いの妙に感服すること必至なのです。

『日本世間噺大系』収録のエッセイ「走る男」より引用

知っている町や村を高い所から矯めつ眇めつ(ためつすがめつ)する楽しみは言を俟(ま)たず、未だ(いまだ)訪れぬ山川は見知らぬものとして無限の興趣(きょうしゅ)を誘う。洵(まこと)に一木一草(いちぼくいっそう)が私の目を捕えて離さぬといって過言ではない。

そんな時、私はもう肚(はら)の底から満足して、ついついポケットのウイスキーを呷(あお)ってしまうのが常なのだが、しかし──それはそれとして──くどいようだが、それはそれとしても、走ってよいということにはならぬ。ということを先程から私は申し上げておる。

「あらあ、こういうときはこの漢字を遣うのね。知らなかった〜」
と私はいちいち驚き、メモをとる代わりに、ページの隅を折っていきました。

読み終わってみると、あまりに多くのページが折られているため、本は分厚く膨らんでいました。

漢字に興味がある方はもちろんのこと、さして興味のない方も、後学のためにご一読をとおすすめする次第です。

●まとめ


今回は、以下の5冊をご紹介しました。

『東電OL殺人事件』(続編として『東電OL症候群』)佐野眞一著

『歓楽と犯罪のモンマルトル』ルイ・シュヴァリエ著 河盛好蔵訳

『ラブレーで元気になる』荻野アンナ著

『日本変流文学』巽孝之著

『日本世間噺大系』伊丹十三著

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