読書感想文

読書感想文/前から読んでも後ろから読んでも面白い本

投稿日:2018年2月9日 更新日:

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「この本を読んで、こんなことを考えた」

と思いつくまま書き出していくと、それも読書習慣の一部となります。

わずか数行のメモであっても、あるとないとでは大きく違います。

自分がどんな本を読み、どんなふうに感動したのか、記録を残すことにより、貴重な思い出のストックができます。

私の経験からいって、それは写真アルバムにも匹敵する「幸せの思い出貯蔵庫」となり得ます。

そんな貯蔵庫の中から、いくつかご紹介したいと思います。
ご笑覧いただけますなら幸いです。

●『名作うしろ読み』斎藤美奈子

吾が輩は猫である。名前はまだない。

木曽路はすべて山の中である。

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。

──というように、名作文学の書き出しはみんなが知っているけれど、最後の一行は?

おぼえていないことが多いでしょう。

そこに目をつけて、ラスト一行から作品全体を吟味しなおしたのが。この本『名作うしろ読み』です。

見開き2ページに1作紹介なので、数多くの作品に触れられます。

どのページも面白い。
前から読んでも後ろから読んでも、楽しめます。

そして、数々の有名小説の新たな解釈に結びつきます。

たとえば、谷崎潤一郎『細雪』が雪子の腹下しで終わっているのには、私もかねがね割りきれない思いでした。

「下痢の話で終わるか、ふつう? やっぱ谷崎は変態だわ」

と本書で斎藤美奈子さんが書いてくれたので、ようやくスッキリしました。

近年、美奈子さんの新著お見かけしないなと思っていたら、2009.4~2015.3まで6年間も!本書の原稿を読売新聞に連載していたんですね。
知らずにいて損した気分です。

●『アフロ・ディズニー』菊地成孔+大谷能生著


2008年、慶應義塾大学文学部において行われた一年間の講義を基に編まれた本です。
テーマは「現代芸術」で、具体的には、

20~21世紀の映画・音楽・ファッション・オタク文化といった諸々の事象に見え隠れする「ズレ」「揺らぎ」を感じとろうぜ。

ということ、といって良いかと思います。

さらに具体的にいうと、

拍が異なるリズムを同時に演奏すると独特のリズム感が生まれる。

それを「ポリリズム」といい、ポリリズムの雑多性、混血性、多文化共生のカオスに現代芸術の肝がある。

ということでしょうか。

著者のおふたりはジャズミュージシャンで、音楽批評もなさり、楽理や楽曲分析というむずかしい話も面白おかしく説く頭の良さ、センスの良さがウケてます。
東大・藝大・国立音大など、あちこちから引っ張りダコだったようです。

私も菊地さん大好き。
なのでつい新宿歌舞伎町へ足が向かってしまう今日この頃です。

共著者の大谷さんはご近所(横浜黄金町)のようなので、勝手に親近感をもってます。

●『この話、続けてもいいですか。』西加奈子著


エッセイ集です。
以前読んだエッセイ集『ごはんぐるり』『まにまに』よりも格段に面白いのでオススメしたくなりました。

特に面白かったのは、ネガティブな友人たちの話で、じつに笑えます。

あと、お酒飲みまくる件も、大阪のねえちゃんという感じで笑ってしまいました。
東京だと中央線?荻窪とか西荻窪とかに、こういうノリの女の子が多いような気がするのですが、偏見かしら?

さて、西加奈子さんの書くものはたいてい好きなのですが、正直なところ、いくら巧いといっても、昔の大作家のような濃密な文章は期待できないと思っていました。

ところがこのエッセイを読むと、筆力ありありじゃん!と感心することしきりです。
笑わせる文章ってすごいなあと。

●まとめ

今回は、以下の3冊をご紹介しました。

『名作うしろ読み』斎藤美奈子著

『アフロ・ディズニー』菊地成孔+大谷能生著

『この話、続けてもいいですか。』西加奈子著

関連記事→読書感想文/素敵なおじさまたちのステキな言説

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