文章構成術

ロジカルライティング/論理的な文章の書き方

投稿日:2018年9月1日 更新日:

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ビジネスメール、企画書、報告書などを書くなら、相手に伝えたいことが的確に伝わる文にしたいと思いませんか?

それができる人は仕事がはかどり、高い評価を得られるでしょう。

秘訣をひとつずつ、ご紹介します。

文章というものは大きく分けて次の2種類がある

1 情報伝達を目的とする文章

2 自己表現をするための文章

自己表現を第一の目的とするならば、どんな書き方をしてもよいでしょう。
ときには、文法を無視することがあってもいいと思います。

とにかく自由に、自分の思うままに、やりたい放題にやっちゃっていいのです。
大切なのは、

・自分の言葉を持っている

・自分のスタイルを持っている

・自分の世界を持っている

ということですね。

音楽が聞こえるような書き方、絵が見えるような書き方を目指すのも一興だと思います。

いっぽう、情報伝達を目的とする文章の場合は、読み手が確実に内容を理解できるように書かなければなりません。
日本語の文法に則した文にすること、そして、論理的な文にすることが求められます。

文法に則した文にするための心得については、当ブログにも多数の記事を掲載しています。

そこで今回は、論理的な文章の書き方(ロジカルライティング)に的を絞ってお話ししたいと思います。

●論理的な文章を書こうとするから、論理的な思考ができる

物事を筋道立てて上手に説明できるようになりたい。

コミュニケーション力を高めたい。

↑その願いを叶えるには、論理的に思考することを、意識的に行っていく必要がありますね。

論理的に思考すること、論理的な文章を書くこと、このふたつは表裏一体です。

論理的に思考するために書く。

書きながら考えをまとめていく。

というのが最もよい方法だと私は思っています。

具体的にいうと、私が特に気をつけているのは次の3点です。

・話が行ったり来たりすることなく、思考の流れがスムーズに展開されている。

・必要な情報が「もれなく・重複なく」盛り込まれている。

・矛盾する点がない。

↑以上の点に留意して、理路整然と論を展開できるようにしたいと考えています。

それにはまず、論理的な文章の書き方(ロジカルライティング)をマスターすることがとても有効だと思うのです。
書き方をマスターすれば、思考パターンも話し方も自ずと理路整然としてくるはずです。

●思考も文章も論理的に組み立てるには


ロジカルライティングをマスターするうえで、ぜひ参考にしたいのが、三段論法、演繹法、帰納法といった「論理的推論」の方法です。
ひとつずつ、見ていきましょう。

三段論法

三段論法では、大前提、小前提、結論という3つの命題を立てて論じていきます。

大前提:すべての人間は、やがて死ぬ運命にある。

小前提:私は人間である。

結 論:ゆえに私は死すべきものである。

というように、3段階に分けて思考を組み立てていくわけですね。

結論が真であるためには、前提が真であること、そして論理の法則が貫かれていることが必要です。

大前提:すべての人間は、やがて死ぬ運命にある。

小前提:我が輩は猫である。

結  論:ゆえに我が輩は死なない。

↑このように論理が破綻していると、何ら説得力がありません。

演繹法

三段論法のひとつとして、「演繹法」というものがあります。
「推論」のための「論理」は、「演繹法」と「帰納法」の2種類に集約される、ともされています。

演繹法とは、大前提とするルール(法則的なもの)から出発し、そのルールや一般論に観察事項を加えて、必然的な結論(主張)を導く思考法です。

そのプロセスは3段階に分けられます。

・法則的なものを提示する

・事実を観察して提示する

・その事実が「法則的なもの」に合致するかどうかを判定する

観察事項を数珠つなぎにして、「○○だから、●●である」という結論を引き出すわけですね。

具体例として──

・日本は少子高齢化が進んでいる。

・首都圏において、高齢者向けの施設は増えている。

・そのいっぽうで、保育園の新設は進んでいない。

・保育園よりも高齢者向けの施設を開設したほうが利用者を集めやすいという事情があるようだ。

・こうした状況の一つ一つが、少子高齢社会において高齢者がいかに優遇されているかを如実にあらわしている。

・当社が検討すべきは、高齢者向け施設が不足している地域にスポットを当て、その土地に最もふさわしい新設プランを立てることだ。

↑このように、演繹法は一般から特殊(個)に向かいます。
その前提は一般的・普遍的なものなので、「新しい発見」をもたらさないという側面があります。
要するに、考え得るアイデアを絞り込むだけなのです。
ここに帰納法との本質的な違いがあります。

しかし、「法則的なもの」を適用する範囲を意外な対象にまで広げることにより、それまで気づかなかったことにスポットライトが当てられ、ひらめきが生じることがあります。
そのアイデアをもとに、ずばりと結論を言い切る。
そんな大胆な論じ方で勝負するときに有効なのが演繹法です。

帰納法

帰納法とは、個々の事例から出発し、多くの観察事項(事実)から類似点をまとめ上げて結論を引き出すという論法です。

・複数のデータ(経験的なもの)を集める

・手持ちのデータから「共通性」を見つけ出す

・その共通性からひとつの解釈を提案する

具体例として──

・A社はここしばらく新製品を生み出していない

・A社の従業員が今年は約100名リストラされている

・A社から我が社への支払いが先延ばしされた

・A社は経営難に陥っていると考えられる

↑というように、個別例から一般化に向かっていくので、データ(事実)は豊富なほどよいですね。
観察事項が適切でなく、また、少ない観察事項からむりやり結論を引き出そうとすると、「納得できない」結果になります。

豊富に例を挙げて一つ一つ丁寧に説明し、「与えられたもの」から「新しいもの」へと踏み出すことが望まれます。
そこに望ましいかたちでの「論理的飛躍」が見られることが期待されます。

弁証法

望ましいかたちでの「論理的飛躍」を遂げるには、弁証法という思考方法が役立ちます。
「AはAである」という同一律を基本に置き、「Aであり、かつAでない要素もある」ということがわかった場合、「矛盾があるからそれは偽だ」とするのではなく、物事の対立・矛盾を通して、その統一により、いっそう高い境地に進むという思考法です。

具体例として──

・私は会社勤めが苦手なので、近場のスーパーでレジ打ちの仕事をしている

・気楽でいいけれど、家計のやりくりが大変だ

・もっと稼ぐ必要がある

・ならば、いつまでもパートの身分ではいられない

・決して本意ではないけれど、スーパーの正社員になれるように上司に相談してみよう!仕事を頑張ろう!

↑こういうのを、弁証法的解決というんですね。

仮説検証法

仮説検証法は、まず何らかの問題意識をもって関連データを集め、そのデータをもとに問題の原因を追求すること、そしてまた、考え得る解決策を提示することです。

「考え得る解決策」というのは、いってみれば仮説です。
仮説を立て、その仮説をもとに実際に調査を行ったりして検証していきます。
その結果、仮説が正しそうであれば本格的に実行に移し、そうでないときには仮説を修正して再検証する、という手順を繰り返していくわけです。

仮説を立てることにより、その後の行動や目的意識がより明確になります。

それに伴い、余計な労力やコストを削減することが期待できます。

また、仮説の検証を繰り返すことにより、より精度の高い知見を獲得することができます。

●論理的な文章の組み立てパターン


三段論法、演繹法、帰納法、弁証法、仮説検証法と、さまざまな思考バターンを紹介してきました。
それでは次に、その思考プロセスを文章化する際の注意点を見ていきましょう。

一例として、「序論・本論・結論」という3部構成で論を展開するときは、次のようにするとうまくいきます。

●序論

・問題提起をする。

・その問題をとりあげた動機や目的を延べるとともに、そのことの背景あるいは展望などを簡潔に述べる。

●本論

・序論で提起した問題について本格的に考察し、論を展開する。

・論拠を示すために、具体例を用いて自分の考えを詳しく説明する。

・資料を駆使して論を補強する。

・自説とは反対の考え方があることを紹介し、それに対する批判を行う。

●結論

・論旨をまとめる。

・自分の主張の重要ポイントを延べる。

・この文章を執筆した意図を強調する。

↑この3段階を踏まえて書き進んでいくわけですが、個々の事情に応じて臨機応変にアレンジを加えていくとよいと思います。
たとえば──

・問題提起

・その問題に対する解決策となるものを提示

・その解決策の不十分さを指摘

・それを通じて新しい問題との出会いがあることを示唆

↑これを繰返して進行していくという方法もアリなのです。

●PASONAの書き方


ビジネスの場では、短い文章で簡潔に、要点を伝えることが求められますね。
特に、セールスレターなどを書く際には、話をうまく絞り込むことが必要です。

また、会議や討論の場で発言する際にも、「私が言いたいことの重要ポイントはここ!!」と明確に伝わるようにしなければなりません。

そうした場合に役立つのが、「PASONA」を意識した書き方・話し方です。

PASONAの5部構成

P(Problem=問題) 問題点を明確化する

A(Agitation=扇動) 問題意識を煽り立てる

SO(Solution=解決策)解決策を示す

N(Narrow down=絞り込み)対象とする顧客や期間を限定する

A(Action=行動)行動を呼びかける

↑この5段階テンプレートを活用してみてはいかがでしょう。

●8つの視点からアプローチして分析


自分の主張が正しいことを人に理解してもらうには、自説を客観的に、そして多角的に「分析」しながら述べていくことが肝心です。

・理由の分析

・十分条件と必要条件の分析

・原因と結果の関係の分析

・目的と手段の関係の分析

・社会学的、経済学的、政治的観点からの分析

↑これらを意識して論を進めていきましょう。

そして、忘れてならないのは「5W+1Hの分析」です。

いつ(When)

どこで(Where)

誰が(Who)

何を(What)

なぜ(Why)

どのように(How)

という6つの要素が、情報伝達のポイントとなります。

どのくらい(How much/How many)

を加えて、5W+2Hとすることもあります。

5W+1H(2H)に沿って情報を整理すると、相手に伝えるべきことをもれなく、わかりやすく伝達することができます。
もとは新聞記者が記事を書く際の原則としていたものですが、ビジネスの場面でも、報告書やメールを作成するとき、または口頭で状況を説明するときなど、積極的に応用するとよいですね。

●バーバラ・ミント著『考える技術・書く技術』

ロジカルライティングに関する本は多数出版されています。
私もその多くを読みました。
読んで最も納得し、皆様にもぜひオススメしたいと思っているのは、ロジカルライティングを提唱した元祖であるバーバラ・ミントの著作、『考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則』です。

「そもそも、ロジカルライティングって何?」という初歩から学ぶことができ、ビジネスの場で使える例文も多数紹介されているので、大変すぐれた教本だと言えます。

それに何といっても大きな魅力は、「ロジカルツリー」や「ロジックエラーを防ぐためのピラミッド構造」をどう作成するとよいかが図解で示されていて、理解の助けとなっていることです。

Amazonのサイトでは、次のように紹介されています。

【商品説明】

明快な文章を書くことは、明快な論理構成をすることにほかならない――。

本書は、マッキンゼーをはじめとする世界の主要コンサルティングファームでライティングのコースを教えるバーバラ・ミントが、独自の文書作成術を披露した本である。

著者はまず、多くの人がわかりやすい文章を書けないのは、論理構造に問題があるからだ、と指摘する。

その上で自らが考案した「ピラミッド原則」と呼ばれる考え方を提示し、物事を上手に論理立てて述べるテクニックを伝授していく。

序文で人の注意を引きつけるにはどうすればいいか、相手を説得するのにどんなロジックを用いればいいか、問題点をどうやってまとめればいいか…。

文章について人々が抱くさまざまな疑問点について、それぞれ適切なフレームワークを用意している。

サンプルとして用いられている事例が複雑でわかりにくいのは気になるが、その分実務でも応用可能な論理的思考の訓練ができる。

仕事で報告書や企画書を作成する必要のある人は、本書の内容を実践することで、戦略に基づいた説得が可能になるだろう。

読むのに骨が折れるが、その分密度の濃い1冊だ。(土井英司)

●まとめ


ロジカルライティングの要諦は、自分の主張とその根拠を示し、論理を成り立たせて明確なメッセージを伝えることだと思います。

「論理を成り立たせる」という点が重要ですね。

論理に欠陥があれば、欠陥メッセージになってしまいます。
注意点を挙げてみましょう。

・事実と事実でないことを混同しない

・根拠のない断定をしない

・部分だけを見て全体を判断しない

・例外的ケースを一般化しない

・手段が目的化するなど、本末転倒に陥らない

・論理を重んじ、感情を優先しない

以上の点を頭に入れておくと、ロジックエラーを防ぐ一助となります。

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