「ことわざ」というものは日常の会話や文章の中でもよく使われますね。
それは遠い昔から今に伝わる由緒ある事柄で、特に中国の古典に記された逸話から選りすぐって「故事成語」または「故事成句」としたものが語り継がれているようです。
聞いたことはあるけど、意味はよくわからない。ということはありませんでしたか? わざわざ辞書を引くほどではないし……と、そのままにしていませんか?
だとしたら、よい機会ですから、この先を読んでみてください。
これだけは知っておきたい、基本的と思われる「ことわざ」をリストアップします。
ことわざ・故事成句 これだけは知っておきたい・PART3
●泥中の蓮(でいちゅうのはちす)
=汚れた世の中にあっても、悪いものに染まらず清らかで美しい心、また、清廉で潔い人物のたとえ。(蓮は汚い泥の中で清らかな花を開くところから)
●出る杭(くい)は打たれる
=才知に長けた人が頭角をあらわすのは自然の成り行きだが、とかく妬まれがちであること。また、出過ぎた振る舞いをする者は人の憎しみを買い、往々にして制裁を受けることをいう。
●灯台下(もと)暗し
=身近な事柄は、かえって分かりにくいこと。
●豆腐に鎹(かすがい)
=何を言ってもしても、まるで手応えがなく、効き目のないこと。
●年寄りの冷や水(ひやみず)
=自分の歳もわきまえずに若い人の真似をすると碌なことがない、ということ。身に余ることを、あえてする愚かしさをいう。
●鳶(とび)が鷹(たか)を生む
=平凡な親からすぐれた子が生まれることをいう。
●捕(と)らぬ狸(たぬき)の皮算用(かわざんよう)
=どうなるか分からないことに期待をかけすぎること。
●泥縄(どろなわ)
=「泥棒を見て縄を綯(な)う」の略で、事が起こってから慌てること。
●団栗(どんぐり)の背競べ(せいくらべ)
=いずれも平凡で、特にすぐれた者がいない状態。
●虎の威を借る狐(とらのいをかるきつね)
=力のない者が、強い者の権勢を頼みにして威張ること。
●長いものには巻かれろ
=権力のある者に対しては、おとなしく従っていたほうが得策である、という意味。
●泣き面(つら)に蜂(はち)
=不運に見舞われた人に、さらに不幸や苦痛が重なること。
●情けは人のためならず
=人に情をかけておけば(親切にしておけば)、その良い行ないが巡り巡って自分に返ってくること。
●七転び八起き(ななころびやおき)
=七回転んで八回起きるというように、度重なる失敗にも屈せずに奮起すること。人生とは失敗と成功の連続であることを指す。
●二兎(にと)を追う者は一兎(いっと)をも得ず
=二つのことを同時にしようとすれば、両方とも成功しない、という意味。
●二度あることは三度ある
=物事や出来事は繰り返す傾向がある、ということ。
●濡れ手で粟(あわ)
=労せずして幸運をつかむこと。濡れた手で粟をつかめば粟粒がたくさんついてくるように、たいして苦労もせずに多くの利益を得ること。易々と金儲けをすること。(濡れ手に「泡」とするのは間違い)
●猫に鰹節(かつおぶし)
=猫のそばに、その好物の鰹節を置けば、たちまち取って食われてしまうことから、油断できないこと、危険であることのたとえ。
●猫に小判(こばん)
=猫に小判(金銭)を持たせても遣いようがないように、価値のある物でも持つ人によってはその値打ちが分からず、何の役にも立たないこと。
●寝た子を起こす
=不必要なことをすること。静かにおさまっている物事によけいな手出しをして、問題を起こすことのたとえ。
●寝耳(ねみみ)に水
=不意の出来事や知らせに驚くこと。
●能(のう)ある鷹(たか)は爪(つめ)を隠す
=実力のある者ほど、自らそれを外に示そうとしない、ということ。
●手前味噌(てまえみそ)
=自家製の味噌を独特の味があると自慢する意から、自分で自分のことを誉めること。自慢。うぬぼれ。自画自賛。
●馬脚(ばきゃく)を露(あらわ)す
=誤魔化しがばれてしまうこと。
●花より団子(だんご)
=風流よりも実利のほうを優先すること。外見よりも実質を尊ぶこと。
●庇(ひさし)を貸して母屋(おもや)をとられる
=自分の所有物の一部を貸しただけなのに、しまいには全部とられてしまうこと。保護してやった相手から、恩を仇で返されること。
●人と屏風(びょうぶ)は直(すぐ)には立たぬ
=人も屏風と同じで、自分を曲げて屈するようにしないと世渡りは難しい、ということ。
●人の褌(ふんどし)で相撲(すもう)をとる
=他人を利用して自分の目的を果たすこと。
●人を呪わば穴二つ
=人に害を与えれば、自分もまた害を受けることになる、という意味。
●瓢箪(ひょうたん)から駒(こま)が出る
=意外なことから意外な効果が生まれること。ふざけて言ったことが実現することのたとえ。
●覆水(ふくすい)盆(ぼん)に返らず
=一度してしまったことは、もはや元には戻せない、取り返しがつかない、ということ。
●刎頸(ふんけい)の交わり
=生死をともにし、首をはねられても心を変えないほどの親しい交わりをいう。
●墨守(ぼくしゅ)
=頑固に自説を持ち続けること。
●仏(ほとけ)の顔も三度
=仏のように温和な人も、道理にはずれたことをたびたびされるとついには怒る、ということ。
●先ず隗(かい)より始めよ
=事を起こすには、先ず自分自身が始めなさい。人に言いつける前に自分が積極的に着手せよ、という意味。
●木乃伊(みいら)とりが木乃伊になる
=ミイラを取りに行った者が、目的を果たせずに命を失い、自分がミイラになってしまう。人を連れ戻しに行った者が先方に留まったまま戻らない。意見しようとした者が反対に説得されてしまう。というように、相手に働きかけようとした者が、逆に相手に取りこまれてしまうことのたとえ。
●三日天下(みっかてんか)
=成功や栄華が、ごく短い間しか続かないこと。
●六日(むいか)の菖蒲(あやめ)十日(とおか)の菊
=時機に遅れてしまい、いまさら役に立たないこと。
五月五日は端午(たんご)の節句で菖蒲を、九月九日は重陽(ちょうよう)の節句で菊を、家に飾ったり、薬玉にして酒に浸したものを飲んだり、風呂の湯に浸して入浴したりすることが風習であることから。
●餅は餅屋
=お餅はお餅屋さんで搗いたものがいちばん美味しいのだから、その分野のことはその道の専門家に任せたほうがうまくいく、という意味。
●焼け石に水
=焼け石に水を少しばかりかけてもすぐ蒸発してしまうように、わずかな努力や援助では何の役にも立たない、という意味。
●柳に雪折れなし
=柳の枝は雪が積もっても、しなって振り落とすために折れることがない。このように、柔軟なものは堅剛なものよりも、よく事に耐えるということ。
●藪(やぶ)から棒
=藪の中からいきなり棒を突き出されたら、ぎょっとして立ちすくむように、唐突で思いがけぬことをいう。
●類は友を呼ぶ
=気の合う者同士は自然と寄り集まる、ということ。
●渡る世間に鬼はない
=世の中には無情な人ばかりがいるのではなく、困ったときには助けてくれる情け深い人もいるものだ、ということ。
●割れ鍋(われなべ)に綴じ蓋(とじぶた)
=似たもの同士のこと。
欠けた鍋、ひびが入った鍋にも、相応の修理した蓋がある。どんな人にもその人にふさわしい相手がいる、ということ。また、男女それぞれに欠点があるという点で似通った二人が所帯をもって共に暮らしていることのたとえ。