漢字の誤読・言い間違い

読めないから書けない、難しくて簡単な漢字

投稿日:2017年4月6日 更新日:

私は大概の漢字を読むことができるのですが、書くとなると途端にあやしくなるので困っています。

↑ワープロやパソコンを使うようになってから、この傾向に拍車がかかったようです。

かつては「檸檬」「憂鬱」「朦朧」なんていう画数の多い字も書けたのです。

それが今では、

「あれ? レモンという字は木偏の横はどう書くんだっけ?」

などと騒いでいます。

手紙やハガキを書くときなど、ちょっと難しい字を使おうとすると、いちいちパソコンを起動して漢字変換し、「あ、これか」と確かめないとなりません。

パソコンやスマホがあれば漢字が書けなくても大丈夫。どんな難しい字も打ちこむことができるし、ネット辞書で確認することもできるという、便利な世の中になりましたね。

が、こんなふうに機械に頼っているから記憶力がどんどん低下するのだと、ちょっぴり危機感も抱いています。

●人前で漢字を誤読すると恥をかく

むずかしい漢字を正確にかけないのはまだよいとして、人前で漢字を誤読すると恥をかく。

私はそんな危機感を抱いています。

現に「兵糧攻め」を「へいりょうぜめ」と読んで、人に笑われた経験があるのです。

「それは『ひょうろうぜめ』と読むんだよ。
そんなことも知らないのか。
NHKの大河ドラマ見ていないだろ」

と余計なことまで指摘されてしまいました。

たしかに、大河ドラマ見ていませんよ。
日本史に興味ないからちんぷんかんぷんです。(世界史もだけど)
戦国時代に秀吉が敵の城を囲んで兵糧攻めにしたという有名史実のことすら知らずにいましたよ。

そんな私でも、兵糧攻めの意味なら、なんとなくわかるのです。

「敵を一箇所に追い込んで食糧補給路を断ち、飢えて降参するまで待つ」

ということでしょう。

だいたいの意味はわかるのだからよしとしようか、とは思えないのがつらいところです。

「この漢字読めな~い」というのは可愛げがあるから許せても、

誤読はとっても恥ずかしいこと。
知ったかぶりをして無知を晒すのは耐え難い。

という感覚が根強くあるのです。

漢字が読めないからといって、ばかにされる謂われはないけれど、それはやっぱり恥ずかしいこと、と感じてしまいます。

●声に出して読みにくい漢字

難しい漢字を読むことはできても、正確に書くことができない私。

私に限らず、そういう人は多いと思うのです。

書けなくても、読めるならまだいいのです。
ただし、人前で漢字を誤読すると、笑われます、恥をかきます。

私も、何度となく笑われました。

笑わせてもらったこともありますよ。

笑われた当人はさぞ恥ずかしかったでしょうが、そんなの知ったこっちゃないのです。

よくぞ笑いのネタを提供してくれました。
たまに思い出してはまた笑っていますよ。

せっかくだから、忘れてしまう前に総ざらい列挙してみようか、という気にもなるってもんです。

思い出せる限り挙げていきますので、おつきあいいただけますか。

●御中(おんちゅう)

「おんちゅう」と読むのですが、ある人はこれを「ぎょちゅう」と読んで平然としていました。
ちなみに、その人は大学出。

●倶楽部(くらぶ)

明治時代、英語の「クラブ」を「倶楽部」と当て字したのだと、知る人は知っています。
知らない人は、苦し紛れにこれを「グラフ」と読んだりします。
ちなみに、その人も大学を出ていたなあ。

●一家言(いっかげん)

その人独特の意見や主張、ひとかどの見識のある意見、持論のことを「一家言」といいます。

「あの人は日本の歴史に一家言を持っている」

というように遣います。

「いっかごん」と読みそうになりますが、正しくは「いっかげん」と読むのです。

●怪力(かいりき・かいりょく)

人並み外れた素晴らしい筋力、腕力のことを「怪力」といい、「かいりき」または「かいりょく」と読みます。
「かいりき」と「かいりょく」、どちらの読み方も間違いではないので、声に出して読みやすい漢字の一つです。

「怪力乱神」という四字熟語は、人間の理性で説明のつかないような不思議な現象、事物のたとえで、この場合も「かいりきらんしん」「かいりょくらんしん」、どちらの読み方も間違いではないとされています。
しかし、厳密には「かいりょくらんしん」と読むのが正しいとしている辞書もあります。

●深煎り(ふかいり)

珈琲専門店のおすすめメニューに「深煎りコーヒー」というのがありました。
「ふかいり」と読めなくて、「ふかぞり、ください」とウェイトレスに告げた女性客がいたのには驚きましたよ。
深剃り?

●焼売(シュウマイ)

焼売とは「しゅうまい」のことで、橫浜では中華街に行くとよく目につく漢字です。
ですが、中華に馴染みのない人はまず読めないでしょう。
「焼き売りって何?」と訊く人が多いのです。

●杏仁豆腐(あんにんどうふ・きょうにんどうふ)

中国料理に、「杏仁豆腐」という甘い豆腐のようなデザートがあります。
アーモンドの香りによく似ているのですが、材料はアーモンドではなく、アンズ類の種の中にある杏仁というものを用いてつくるのが本式。

読み方は「あんにんどうふ」または「きょうにんどうふ」。
銀杏の杏だからって、「ちょうじんとうふ」なんて言ったら笑われます。

●西瓜(すいか)

中国茶を飲みながら西瓜の種をかじるというのは、なかなか風情があります。
「にしづめ? にしうり? なんだろ、それ?」などと言わないでくださいね。

これは「すいか」と読みます。
昔は夏になると八百屋さんの店頭でよく見かけた字ですね。
あ、スーパーやコンビニしか知らない若い人は知らないか。

●海豚(いるか)

中国を旅行中に、海産物店の店頭で「海豚」という文字を見かけました。

「海に豚がいるわけないよ」

と、一緒に行った友人は怪訝そうな顔で言うのです。

これは「いるか」と読むんだよ。

と教えてやりました。

だけど、海豚は鯨の仲間でしょ、哺乳類でしょ、食べちゃうのは抵抗がある。

と友人はおののいていましたが。

●蝉(せみ)

小学校時代、男の子たちが教室の隅で、

「セミヌードがどうしたこうした」

と、ひそひそ話をしていたのです。
夏だったので、私は

「蝉がヌードになるのか」

と思いました。
「セミヌード」の「セミ」がどんなものかは知らなくても、「ヌード」という言葉の意味は知っていたのですね。

●体育(たいいく)・体育館(たいいくかん)

同じく小学校時代、私は、体育を「たいく」、体育館を「たいくかん」と言っていました。
同級生はみな、だいたいそうだったと思うのです。

●外科(げか)

そろそろ中学に上がる年になっても、私は「げか」と読めずに、堂々と「がいか」と言っていました。

●洗濯機(せんたくき)

うちのおかんは昔、洗濯機を「せんたっき」と言っていたようです。
ひょっとすると未だに、「全自動せんたっき」なんて言うかもしれません。

●憂鬱(ゆううつ)

近所のおばさんが「ゆうつ」と言って溜息をつくので、どうしたのかと心配していたら、ご亭主が借金をこさえて憂鬱(ゆううつ)だったのだそうです。

●唯一(ゆいいつ)

「うちの亭主、ゆいつ自慢できるのは背が高いこと」

と、近所のおばさんは言っています。
あのぅ、「ゆいつ」ではなく「ゆいいつ」だと思うんですけど。

●雰囲気(ふんいき)

「ふんいき」と読めて当たり前、と私は思っているのですが、若い人の中には、これを「ふいんき」と読むのだと思っている人が多いようです。
パソコンで「ふいんき」と入力しても漢字変換ができない、と苦情メールを送ってくる人も相当数いたとのこと。
若い人同士がデートをしていて、

「いいふいんきのお店だね」
「ほんと、ふいんきサイコー」

なんて、奇妙な囁きを交わしているのでしょうか。
気色悪い。
若い人に通じるように言い直すと、きしょい。

●鬱金(うこん)

同窓会の二次会で居酒屋へ行くと、壁に「うこんカレー」と品書きが貼られていました。
カレーのスパイスに鬱金(ウコン)を使っているらしいのです。

ウコンの英語名はターメリックで、この呼び名のほうが私には親みがあります。
インドではよくカレーに使われるそうですね。

「うこんカレー」と言うのは、ウコンの色が出て、黄色いルゥなのかな。
二日酔い防止や疲労回復に効くのかな、と私は興味を持ちました。
だが友は、「うんこカレーだって! やばいよ、この店」と騒いでいましたっけ。

●肉汁(にくじゅう)

ぶ厚いステーキから肉汁がじわっとくるときの快感、たまりません。

「このお肉、とってもジューシィでおいしいわ」

などと気どった台詞を口にして、食通ぶってみたい私。

家族や友人と一緒のときは、

「肉汁がね、じゅわっとくるの、じゅわっと」

とストレートに言いますが。

ただし、ここで「にくじる」なんて言ってしまうと、いくら親しい仲でも、白い目で見られます。

「下品な言い方しないでよ。せっかくの御馳走がまずくなる」

というわけです。

「にくじゅう」と言えばよかったのですね。はい、すみません。

●まとめの一言


人前で漢字を誤読すると笑われる、恥をかく、という実例を挙げてみました。

私自身を含め、私の周囲にはとんでもなくお馬鹿さんが揃っているせいなのか、こういう例はほかにもまだたくさんあります。

引き続き、関連記事をご笑覧いただけますなら幸甚です。

関連記事→漢字の読み間違い、恥ずかしいよ〜だけど笑えます

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