皆さんは「コロケーション」って何のことかご存じですか?
コロケーションとは「連語」のこと。
語と語を結びつけて作られた、ひと続きの言葉です。
たとえば、「顔に出る」というのもコロケーションです。
本人は隠しているつもりでも、心に思っていることが表情や態度に出てしまい、人目につくということですね。
↑「穂に出る」という言い方をすることもあります。
「顔」と「穂」では何かしら違いがありそうに思われますが、この場合はどちらも同じ意味です。
「色に出(い)ず」という表現もあります。
「忍ぶれど 色に出(で)にけり わが恋は 物や思ふと 人の問ふまで」
という有名な和歌がありますね。
「拾遺和歌集」に収録されています。
「誰にも気付かれないように隠してきたけど、私の恋心はバレバレだったのね。顔に出てるよ、好きな人のことばっかり考えてるでしょ、と人に言われちゃうほどだよ」
と謳っているのです。
コロケーションを数多く知っていると、表現の幅が広がります。
ただし、本来の意味を知らずに、または誤解して、微妙にズレた言い方をすると、「あの人は教養がない。言葉の使い方を知らない」と笑われてしまうでしょう。
人前で恥をかくことのないようにしたいものですね。
コロケーションを使う上でのルールはただ1つ、
「昔から言い習わしてきたとおりに従う」ということです。
それには、耳で覚え、目で覚えるしかありません。
このブログでは、日常よく使われるコロケーションを紹介しています。
あなたがこれまで知らずにいた言い回しがきっと見つかるでしょう。
読めば読むほど、「そうか、こういうときはこう言えばいいのか」と新たな発見が増していくと思います。
コロケーションに親しんで言葉の世界を広げ、表現力を高めましょう。
その場の状況に応じて、コロケーションを適切に使っていけるとよいですね。
●「ホ」で始まるコロケーション
穂に→出る=思いが外に現れること
顔に出る、とも言います
法に→照らす=法律ではどうであるかを照らし合わせ、法に基づいて判断すること
法に→ふれる=法律や規則に抵触すること
法を→犯す
棒に→振る=それまでの努力や苦心を無にすること
方針を→固める
方針を→立てる
放物線を→描く
アーチを描く、とも言います
砲門を→開く=砲撃などの攻撃を開始すること
吠え面を→かく=泣きっつらをする羽目になること
頬が→落ちる=非常においしいことの形容
頬っぺたが落ちる、顎が落ちる、とも言います
頬が→緩む=笑みを浮かべること、嬉しくて口元がほころぶこと
表情が緩む、とも言います
頬を→赤らめる
頬を染める、とも言います
頬を→膨らます=不満そうな顔をすること
墓穴(ぼけつ)を→掘る=自分で破滅の原因をつくること
保険を→掛ける
矛先(ほこさき)を→向ける=攻撃の方角や目的を定めること
誇りを→傷つける
プライドを傷つける、とも言います
誇りを→持つ
自尊心を持つ、とも言います
誇りを→失う
星を→挙げる=警察が容疑者を検挙すること
星を→落とす=相撲で、黒星を喫すること
星を→拾う=相撲で、白星をとること
星を→稼ぐ=相手の気に入るように働いて、成績や評価を高めること
点数を稼ぐ、とも言います
星を→指す=相手が思っているとおりのことを指摘すること
図星を指す、とも言います
星を→付ける=おおよその目当てを決めておくこと
目星を付ける、とも言います
仏に→なる=死ぬこと
仏の→顔も三度=どんなに温和な人でも、何度もひどいことをされれば怒り出すということ
骨が→ある=しっかりしている、という意味
気骨がある、骨が太い、とも言います
骨が→折れる=困難である、面倒である、ということ
骨と→皮=非常に痩せていることのたとえ
骨に→刻む=しっかりと覚え込むこと
肝に銘ずる、とも言います
骨に→染(し)みる=骨の中に染みとおるほど苦痛であること
骨身に染みる、とも言います
骨に→徹する=強く心に感じるということ
骨に→なる=死んで遺骨になること。または、チームなどの中心になること
骨の→髄(ずい)まで=身体の中心の部分までという意味で、つまり徹底的にということ
骨まで→しゃぶる=自分の欲望を満たすために、他人を徹底的に利用すること
骨を→埋(うず)める=そこで一生を終えること。また、ある事柄に一生を尽くすこと
骨を→惜しむ=仕事や稽古事などで、努力することを嫌がるという意味
骨を盗む、とも言います
骨を→折る=面倒がらずに、努力をして力を尽くすこと
骨を→砕く=懸命に努力すること
身を粉(こ)にする、とも言います
骨を→刺す=人の皮肉、または寒さなどが、強く感じられるということ
骨を→抜く=根性をなくさせること
骨抜きにする、とも言います
骨を→拾う=遺骨を拾い集めて骨アゲすること。また、死後の後始末をすること。
骨身に→こたえる=寒い、痛い、つらい、切ないなど、強く苦痛を感じること
骨身を→惜しまず=苦労をいとわずに、一心に、ということ
骨身を→削る=身体が痩せ細るほど、苦心や苦労をすること
身を削る、とも言います
誉(ほま)れが→高い=よい評判が立つこと
小火(ぼや)を→出す=小さな火事を起こすこと
法螺(ほら)を→吹く=大袈裟なこと、でたらめを言うこと
喇叭(らっぱ)を吹く、とも言います
彫りが→深い=顔の凹凸がくっきりしていること
ボルテージが→上がる=意気込みが高まること、雰囲気が盛り上がること
襤褸(ぼろ)が→出る=欠点や短所が表にあらわれること、または、失敗が露見すること
襤褸(ぼろ)を→隠す=欠点や短所を見せないようにすること。または、失敗を取り繕うこと
翻意(ほんい)を→促す=決心を変えるように勧めること
本性を→現す
正体を現す、とも言います
●まとめの一言
日本語には数多くのコロケーションがあります。
言葉の文化が豊かだということですね。
言葉の世界は奥が深く、興味が尽きません。
あなたにとって、「これ覚えておこう!!」と思うコロケーションはいくつありましたか?
言葉を知れば知るほど、話すのも書くのも自由自在になっていきます。
頭を整理しながら自分の思いや考えを的確に伝えられるので、いつも気分よく過ごせます。
仕事や人間関係に良い影響があるでしょう!!