コロケーション

「論を待たない」は誤り、「論を俟たない」が正しい

投稿日:2019年6月4日 更新日:

皆さんは「コロケーション」って何のことかご存じですか?

コロケーションというのは、たとえば「論を俟たない」というのがその一つで、これは「あまりに自明のことなので、議論をする必要もない」という意味ですね。

「論を」+「俟たない」

このように前の言葉と後の言葉が結びついて、ひと続きの言葉になっているものをコロケーションといいます。

ちなみに、「言を俟たない」というコロケーションもあり、これは「論を俟たない」と同じ意味です。

さらに言うと、「待たない」ではなく「俟たない」と書きます。

「俟つ」には「期待する、任せる」という意味があり、「本人の自覚に俟つ」「今後の研究に俟つ」というように用います。

「待つ」にも「期待する」という意味がありますが、「俟つ」という文字を使って「言を俟たない」「今後に俟つ」というようにするのが、より適切です。

コロケーションを数多く知ることにより言葉の世界が広がり、表現の幅も広がります。

その場の状況に応じて、コロケーションを適切に使っていけるとよいですね。

コロケーションを口にするなら、もしくは書くなら、「昔から言い習わしてきたとおりに従う」というルールを守りましょう。

たとえば、「今後に俟つ」というのはよいのですが、「今後を俟つ」というような言い方はしないほうがよいでしょう。

言うならやはり、「今後に」です。

本来のコロケーションとは微妙にズレた言い方をすると、「あの人は言葉の使い方を知らない。教養がない」と笑われる恐れがあります。

人前で恥をかくことのないようにしなければ!!

このブログでは、日常よく使われるコロケーションを紹介しています。

あなたがこれまで知らずにいた言い回しがきっと見つかるでしょう。

読めば読むほど、「そうか、こういうときはこう言えばいいのか」と新たな発見が増していくと思います。

●「ロ」で始まるコロケーション

●炉を→切る=囲炉裏を造りつけること

●労に→報いる=そのことに努めた苦労にふさわしいお返しをすること

●労を→多とする=苦労をねぎらい、感謝すること

●労を→執(と)る=他人のために、わざわざあることをする、という意味

●老骨(ろうこつ)に→鞭打つ=老人の身であるにもかかわらず、我が身を励まして事にあたること

●狼藉(ろうぜき)を→働く=秩序を乱すように荒々しく振る舞うこと

●禄(ろく)を→盗む=その役にふさわしい能力などがないのに、高給を受けること

●禄(ろく)を→食(は)む=給金をもらって生活すること

●路頭に→迷う=生活できなくなって困り苦しむこと

●露命(ろめい)を→つなぐ=細々と生活していく、ということ

●呂律(ろれつ)が→回らない=舌がよく動かず、言葉がはっきりしないこと

●論が→分かれる=双方の意見に違いが生じること

●論を→戦わす=互いに激しく意見を述べ合うこと

●論を→展開する=筋道を立てて、自分の考えを言い立てること

●論を→俟(ま)たない=議論の必要がないほど明らかである、ということ

●論陣(ろんじん)を→張る=反論する勢力に対して、弁論を組み立てて展開すること

●論評を→加える=批評すること

●まとめの一言

●労を多とする=苦労をねぎらい、感謝すること

●禄(ろく)を盗む=その役にふさわしい能力などがないのに、高給を受けること

●露命(ろめい)をつなぐ=細々と生活していく、ということ

↑この3つを、私は今回初めて知りました。

言葉の世界は奥が深いので、興味は尽きません。

言葉をたくさん知れば知るほど、話すのも書くのも自由自在になっていきます。

頭を整理しながら自分の思いや考えを的確に伝えられるので、いつも気分よく過ごせます。

それに、コロケーションを使えば、くどくど説明しなくても伝わります。

仕事や人間関係にきっと良い影響があるでしょう!!

あなたにとって、「これ覚えておこう!!」と思うコロケーションはいくつありましたか?

関連記事→ 輪をかける、輪をかけて、輪をかけた

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