名作の名書き出し
きょう、ママンが死んだ。もしかすると、昨日かもしれないが、私にはわからない。(カミュ『異邦人』)
恥の多い生涯を送って来ました。(太宰治『人間失格』)
生れて、すみません。(太宰治『二十世紀旗手』)
──というように、強烈な印象を残す一文から始めると、作品全体が命を吹き込まれたようになりますね。
私の小説にはそれがない!と気がつきました。
今から付け足してもいいよね、作品のクオリティ高まるよね、と勝手に決め込み、書き出しの「惹句」をひねっているところです。
すごくいいのが見つかるまで続行します。
魅惑の一文、出てこい出てこい!ひらめいて~!
と騒ぎ立てて3日後、こんなのを思いつきました。
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拙作『YHMスクランブル』の書き出し
現実よりも虚構を好むロマンティストの街。ここに暮らすと映画の中にいるかのよう。豪奢にも貧乏にも洒落た味わいがある。いっそ人生浮沈のおののきに耽ってやろうという気にもなる。