恋愛かくれんぼ

恋愛かくれんぼ・デートノート2010②

投稿日:2021年6月29日 更新日:

【2010 November】

2010.11.2

●K君──実家にて、ゴミ出し終わり。

温泉にでも、行こうかと思っている。

Shall we?

…………………………

●T子──今日これから?

私あれからずっと体調悪いよ、飲めないよ。

誘われてうれしいけど、迷う。

…………………………

●K君──午後、妹と会う。

そのあと、のんびりしたい。

そう、するつもり。

城ヶ島か油壺で夕陽を眺める。

早起きだったね。

…………………………

●T子──私にどうしてほしいの?

東京には、いつ帰るの?

(電話で話す。会うことにする。)

…………………………

●K君──観音崎、本日宿泊可。

2食付きで、1人2万1千円。

素泊まりなら1万5千円。

公園、バークホテルの身としては、エキスペンシブかと。

油壺、1万8百。

城ヶ島、15500。

…………………………

●T子──城ヶ島がいいと思うけど、ホテルで食事するのは、ちょっと馬鹿みたい。

和室じゃなくて、洋室ツインね!

…………………………

●K君──城ヶ島は、全室、和室。

メイビー油壺。

…………………………

●T子──じゃ、そちらに問い合わせてくれる?

●K君──城ヶ島、油壺ともに、和室。

●T子──あなたがベターと思うほうでいいよ。

…………………………

●K君──観潮荘にしました。

まあ、オイラとしてはリーズナブル。

和室だけどオーシャンビュー。

2食あり。

15時チェックイン可。

アウト10時。

三崎口よりタクシー、千円前後。

妹と話が終わり次第、サガミワンレッドに身を委ねます。

メドック地方のスピリッツは仕込んでおきましょう。

See you !

…………………………

●T子──私は何時にどこへ、どうやって行けば良いのだよ?

…………………………

●K君──

1・京急三崎口駅で待ち合わせる。

サンライズビューのためには、16時半。

井土ヶ谷15時半出発。

☆☆

2・別々にチェックインする。

ホテル合流。

Kで予約してある。

三崎口駅前からタクシーで油壺観潮荘、千円。

…………………………

●T子──京急三崎口駅で待ち合わせると、サガミワンレッドという船に乗れるの?

だったら、そうしようかな。

…………………………     

●K君──16時半の待ち合わせ。

三崎口駅前で。

了解。

因みに、サガミワンレッドとは、船名ではない。

相模湾が夕陽に染まるさまのこと。

『稲村ジェーン』のプロデューサーの造語。

【デートノート② 2010.11.2〜11.3 24時間】

(T子記す)

油壺で1泊。

宿で食事をし、部屋でワインを飲みながら話す。

いづみさんと阿部さんのこと、マーちゃんのことでは、「おまえ話つくってないか?」と疑われる。

そんなことないのに。

☆☆

眠いのに交わる。

いくじなし、こっちおいで、あんた草食系男子の元祖じゃないの? 見たいんでしょ、立って、私の頭を持って好きなように動かして。

☆☆

おまえバックが好きなの?

そうじゃない、これならあんたがいけると思って。

若ければ、とっくにいってる。

私もいけない、8割のぼるが、あとの2割がむずかしい、すごく好きだといけないのよ、もっと気楽な相手じゃないと。

気楽じゃん!

☆☆

私は眠れないまま、Kのつらそうな寝顔を眺める。

ああ、昔はあんなにいい顔だったのに。

待ち合わせをするたびに思うけど、立ち姿もしょぼくれてきたなあ。

☆☆

翌朝、宿周辺の海辺を散歩。

岩場ではKが私の手をとってくれる。

このときすでに、ふたりともビールを飲んで酔っている。

☆☆

今朝は化粧のノリが悪くて私、不機嫌だったの、でも一杯飲んだらどうでもよくなっちゃった。

Kの笑い顔。

☆☆

「おやじってどうしてうるさいの?あーとか、うーとか」

と私が言ったときのKの笑顔も昔のままで良かった。

☆☆

朝食も酒付き。

この前もそうだったけど、Kが意外にもよく食べるので安心した。

☆☆

食後、化粧なおしをする私を見て、「ルージュ落としちゃったの?」とK。

もう一度したかったのかしら。

でも、今朝はしない。

☆☆

三浦フィッシャリーナへ。

(ここでKは買い物に精出す)

☆☆

キーコーヒー喫茶店へ。

(ここでKはノートをつける)

(私はキネ旬掲載予定のKの原稿を少し読ませてもらう)

☆☆

三浦フィルムコミッション事務所へ。

(いきなり連れていかれた)

Kは事務所のスタッフ相手にバシバシもの申す。

へえ、ここまでやったんだ、と私はKの企画能力を見直す。

枝葉末節から入る私と違い、太い幹を立てられる人だ。

そんな感想を伝えたら、Kはうれしそうだった。

そして気分のみならず身体まで軽くなったようだった。

☆☆

コンビニでトイレを借りたついでに、Kにワンカップ大関を買ってプレゼント。

「先生のんでください」。

☆☆

バスで岬めぐり、そして三浦海岸駅へ。

ユジンとチュンサンの席に座る。

☆☆

Kのツアコンぶりが、私にはとても心地良い。

あちこち連れ回され、いろいろ説明してもらう。

その声、テンポの良さ、視野の大きさ、身振り、どれも好き。

「こんなふうに一緒に過ごしたかった」という長年の夢が叶う。

泣きそう。

☆☆

三浦海岸駅前の居酒屋で飲む。

☆☆

帰路の京急車中、東京へ帰るはずのKが横須賀中央駅で降りてしまう。

私の手を握り、「See you」と笑って。

やはり家に帰りづらいのか。

ともかく、今回も24時間デートだった。

前回の飲んだくれカップルモードではなく、仕事や創作の話が増え、結婚生活や金銭問題の話も俎上にあがった。

☆☆

2度にわたる24時間デート中、一度も喧嘩しなかった。

この濃密な時間の感触と会話、出来事のすべてを憶えておきたい。

☆☆

Kは「また10年後」と言ったが、なぜ10年も待たなきゃいけないの?

↑友人ゼロに指摘されたとおり、私が過去・現在のボーイフレンドの話をいろいろしたのがいけないんじゃないかと反省。

☆☆

今年8月4日、Kの誕生日に、私は借金申込みを無視した。

Kは仕事も経済もドン詰まりで、この日は、30年来つけているノートの新冊に「The Will A Will」とタイトルをつけたそうだ。

死へのカウントダウンを意識しながら生きる日々の、ラストスパート記録?

そんな最悪の時に、何よりの楽しみである酒の一杯も家で用意してもらえなかった、というエピソードを聞き、私は泣いた。

大切な人が邪険にされるのはつらい。

☆☆

私も、元つれあいとの嫌な思い出を少し語った。

「あんたが俺の自信をくだく。あんたの俺に対する愛情が足りない」と言われたことなど。

おまえと俺が一緒になってたら、きっと同じようなことになっていただろうとKは言うが、Kには作品をつくる気概がある、だから応援のしがいがある、仕事(現場での仕切り)などもすごく頼もしい。

☆☆

私は一度として男の経済力に頼って安心したことはない。

その点、Kの奥さんはちょっと弱い。

☆☆

それにしても、Kだって離婚などしたくはないだろう。

金と時間と労力を費やして築いた家庭なのだ。

今さら壊すのはしのびなかろう。

「離婚めんどくさい」と本人も言ってたし。

☆☆

結婚するとき、周囲はみな反対したという。

「業界のことを知らないから仕事を理解してくれないだろう」という理由で。

でもそんなこと関係ない。

本人が好きで一緒になったのだから。

ただ、相性は悪いかも。

☆☆

それにしても、女の言うことなど絶対にきかないKが奥さんに押しまくられているのはどうしてだろう。

解せない。

奥さんは現実的で図太く、線の太い女性なのか。

☆☆

(争うのも)めんどくさいから、とKは言うが。

あるいは、意外にも惚れてるのか?

☆☆

家で邪魔者扱いされるせいで、帰りたくても帰れず、1月ぶりにいざ帰るという段になってもあれだけ逡巡していたのは、奥さんの気持ちが気になって仕方ないからだ。

恐いのだ。

☆☆

アパートでも借りて別居すれば楽になる。

そして数年後、子供がみな独立すれば女房は離婚届を出すだろう、というのがKの読み。

ここまでだめになったものはもう戻らない、と。

☆☆

でも、そうかなあ。

Kだって稼ぐときは稼ぐし、借金してでも家賃17万円を毎月入れてきたんでしょ。

だったらもっと堂々としていなよ。

奥さんにとっても、離婚してメリットなんかあるのかしら。

別れて慰謝料もらえるわけじゃなし。

Kのことがよっぽど重荷か、顔を見るのもいやになったか、一人でせいせいしたいか、出直したいか。

そういうことなら理解できるけど。

ただ、そうなればきっと、Kはがっくりくるにちがいない。

関連記事→恋愛かくれんぼ・デートノート2010③

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