【2010 November】

2010.11.2
●K君──実家にて、ゴミ出し終わり。
温泉にでも、行こうかと思っている。
Shall we?
…………………………
●T子──今日これから?
私あれからずっと体調悪いよ、飲めないよ。
誘われてうれしいけど、迷う。
…………………………
●K君──午後、妹と会う。
そのあと、のんびりしたい。
そう、するつもり。
城ヶ島か油壺で夕陽を眺める。
早起きだったね。
…………………………
●T子──私にどうしてほしいの?
東京には、いつ帰るの?
(電話で話す。会うことにする。)
…………………………
●K君──観音崎、本日宿泊可。
2食付きで、1人2万1千円。
素泊まりなら1万5千円。
公園、バークホテルの身としては、エキスペンシブかと。
油壺、1万8百。
城ヶ島、15500。
…………………………
●T子──城ヶ島がいいと思うけど、ホテルで食事するのは、ちょっと馬鹿みたい。
和室じゃなくて、洋室ツインね!
…………………………
●K君──城ヶ島は、全室、和室。
メイビー油壺。
…………………………
●T子──じゃ、そちらに問い合わせてくれる?
●K君──城ヶ島、油壺ともに、和室。
●T子──あなたがベターと思うほうでいいよ。
…………………………
●K君──観潮荘にしました。
まあ、オイラとしてはリーズナブル。
和室だけどオーシャンビュー。
2食あり。
15時チェックイン可。
アウト10時。
三崎口よりタクシー、千円前後。
妹と話が終わり次第、サガミワンレッドに身を委ねます。
メドック地方のスピリッツは仕込んでおきましょう。
See you !
…………………………
●T子──私は何時にどこへ、どうやって行けば良いのだよ?
…………………………
●K君──
1・京急三崎口駅で待ち合わせる。
サンライズビューのためには、16時半。
井土ヶ谷15時半出発。
☆☆
2・別々にチェックインする。
ホテル合流。
Kで予約してある。
三崎口駅前からタクシーで油壺観潮荘、千円。
…………………………
●T子──京急三崎口駅で待ち合わせると、サガミワンレッドという船に乗れるの?
だったら、そうしようかな。
…………………………
●K君──16時半の待ち合わせ。
三崎口駅前で。
了解。
因みに、サガミワンレッドとは、船名ではない。
相模湾が夕陽に染まるさまのこと。
『稲村ジェーン』のプロデューサーの造語。

【デートノート② 2010.11.2〜11.3 24時間】
(T子記す)
油壺で1泊。
宿で食事をし、部屋でワインを飲みながら話す。
いづみさんと阿部さんのこと、マーちゃんのことでは、「おまえ話つくってないか?」と疑われる。
そんなことないのに。
☆☆
眠いのに交わる。
いくじなし、こっちおいで、あんた草食系男子の元祖じゃないの? 見たいんでしょ、立って、私の頭を持って好きなように動かして。
☆☆
おまえバックが好きなの?
そうじゃない、これならあんたがいけると思って。
若ければ、とっくにいってる。
私もいけない、8割のぼるが、あとの2割がむずかしい、すごく好きだといけないのよ、もっと気楽な相手じゃないと。
気楽じゃん!
☆☆
私は眠れないまま、Kのつらそうな寝顔を眺める。
ああ、昔はあんなにいい顔だったのに。
待ち合わせをするたびに思うけど、立ち姿もしょぼくれてきたなあ。
☆☆
翌朝、宿周辺の海辺を散歩。
岩場ではKが私の手をとってくれる。
このときすでに、ふたりともビールを飲んで酔っている。
☆☆
今朝は化粧のノリが悪くて私、不機嫌だったの、でも一杯飲んだらどうでもよくなっちゃった。
Kの笑い顔。
☆☆
「おやじってどうしてうるさいの?あーとか、うーとか」
と私が言ったときのKの笑顔も昔のままで良かった。
☆☆
朝食も酒付き。
この前もそうだったけど、Kが意外にもよく食べるので安心した。
☆☆
食後、化粧なおしをする私を見て、「ルージュ落としちゃったの?」とK。
もう一度したかったのかしら。
でも、今朝はしない。
☆☆
三浦フィッシャリーナへ。
(ここでKは買い物に精出す)
☆☆
キーコーヒー喫茶店へ。
(ここでKはノートをつける)
(私はキネ旬掲載予定のKの原稿を少し読ませてもらう)
☆☆
三浦フィルムコミッション事務所へ。
(いきなり連れていかれた)
Kは事務所のスタッフ相手にバシバシもの申す。
へえ、ここまでやったんだ、と私はKの企画能力を見直す。
枝葉末節から入る私と違い、太い幹を立てられる人だ。
そんな感想を伝えたら、Kはうれしそうだった。
そして気分のみならず身体まで軽くなったようだった。
☆☆
コンビニでトイレを借りたついでに、Kにワンカップ大関を買ってプレゼント。
「先生のんでください」。
☆☆
バスで岬めぐり、そして三浦海岸駅へ。
ユジンとチュンサンの席に座る。
☆☆
Kのツアコンぶりが、私にはとても心地良い。
あちこち連れ回され、いろいろ説明してもらう。
その声、テンポの良さ、視野の大きさ、身振り、どれも好き。
「こんなふうに一緒に過ごしたかった」という長年の夢が叶う。
泣きそう。
☆☆
三浦海岸駅前の居酒屋で飲む。
☆☆
帰路の京急車中、東京へ帰るはずのKが横須賀中央駅で降りてしまう。
私の手を握り、「See you」と笑って。
やはり家に帰りづらいのか。

ともかく、今回も24時間デートだった。
前回の飲んだくれカップルモードではなく、仕事や創作の話が増え、結婚生活や金銭問題の話も俎上にあがった。
☆☆
2度にわたる24時間デート中、一度も喧嘩しなかった。
この濃密な時間の感触と会話、出来事のすべてを憶えておきたい。
☆☆
Kは「また10年後」と言ったが、なぜ10年も待たなきゃいけないの?
↑友人ゼロに指摘されたとおり、私が過去・現在のボーイフレンドの話をいろいろしたのがいけないんじゃないかと反省。
☆☆
今年8月4日、Kの誕生日に、私は借金申込みを無視した。
Kは仕事も経済もドン詰まりで、この日は、30年来つけているノートの新冊に「The Will A Will」とタイトルをつけたそうだ。
死へのカウントダウンを意識しながら生きる日々の、ラストスパート記録?
そんな最悪の時に、何よりの楽しみである酒の一杯も家で用意してもらえなかった、というエピソードを聞き、私は泣いた。
大切な人が邪険にされるのはつらい。
☆☆
私も、元つれあいとの嫌な思い出を少し語った。
「あんたが俺の自信をくだく。あんたの俺に対する愛情が足りない」と言われたことなど。
おまえと俺が一緒になってたら、きっと同じようなことになっていただろうとKは言うが、Kには作品をつくる気概がある、だから応援のしがいがある、仕事(現場での仕切り)などもすごく頼もしい。
☆☆
私は一度として男の経済力に頼って安心したことはない。
その点、Kの奥さんはちょっと弱い。
☆☆
それにしても、Kだって離婚などしたくはないだろう。
金と時間と労力を費やして築いた家庭なのだ。
今さら壊すのはしのびなかろう。
「離婚めんどくさい」と本人も言ってたし。
☆☆
結婚するとき、周囲はみな反対したという。
「業界のことを知らないから仕事を理解してくれないだろう」という理由で。
でもそんなこと関係ない。
本人が好きで一緒になったのだから。
ただ、相性は悪いかも。
☆☆
それにしても、女の言うことなど絶対にきかないKが奥さんに押しまくられているのはどうしてだろう。
解せない。
奥さんは現実的で図太く、線の太い女性なのか。
☆☆
(争うのも)めんどくさいから、とKは言うが。
あるいは、意外にも惚れてるのか?
☆☆
家で邪魔者扱いされるせいで、帰りたくても帰れず、1月ぶりにいざ帰るという段になってもあれだけ逡巡していたのは、奥さんの気持ちが気になって仕方ないからだ。
恐いのだ。
☆☆
アパートでも借りて別居すれば楽になる。
そして数年後、子供がみな独立すれば女房は離婚届を出すだろう、というのがKの読み。
ここまでだめになったものはもう戻らない、と。
☆☆
でも、そうかなあ。
Kだって稼ぐときは稼ぐし、借金してでも家賃17万円を毎月入れてきたんでしょ。
だったらもっと堂々としていなよ。
奥さんにとっても、離婚してメリットなんかあるのかしら。
別れて慰謝料もらえるわけじゃなし。
Kのことがよっぽど重荷か、顔を見るのもいやになったか、一人でせいせいしたいか、出直したいか。
そういうことなら理解できるけど。
ただ、そうなればきっと、Kはがっくりくるにちがいない。