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読書感想文/『ジョン万次郎の英会話』

投稿日:2022年3月25日 更新日:

『ジョン万次郎の英会話』

幕末1859年、本邦初の本格的な英会話教本が生まれました。

幕府の命を受けた中浜万次郎(ジョン万次郎)によって編まれた『英米対話捷径』(えいべい・たいわ・しょうけい)です。

なかば歴史に埋もれていた『英米対話捷径』が、語学教養書として現代によみがえりました。

この英学史料には、日常英会話フレーズ213が綴られています。(カタカナ発音表記と訳文付)

その213フレーズの中から選りすぐった、特に印象深い15フレーズをご紹介します。

●元祖ジャパングリッシュ・15フレーズ

(1)「掘った芋いじるな」:「What time is it now」今何時ですか?

(2)「幅、ないっすね!」:「Have a nice day」よい一日を!

(3)「知らんぷり」:「Sit down please」すわってください。

(4)「斎藤寝具」:「Sightseeing」観光

(5)「湯飲み?」:「You know me?」私のことを知ってる?

(6)「藁(わら)」:「Water」水

(7)「ハマチ?」:「How much?」いくらですか?

(8)「わしゃ、変」:「Wash your hand」手を洗ってください。

(9)「めっちゃ強いねえ」:「What your name?」名前を教えてください。

(10)「上は10号」:「Where are you go?」どこへ行くの?

(11)「社長はマウス!」:「Shut your mouth」黙れ!

(12)「辛いです」:「Try this」試してみて。

(13)「揚げ豆腐」:「I get off」(バスなどで)降ります。

(14)「親友はゲン」:「See you again」また会いましょう。

(15)「兄移住」:「I need you」あなたが必要です。

●まとめ

今回は、この1冊をご紹介しました。

『ジョン万次郎の英会話』

著者/乾 隆(イヌイ タカシ)

出版社/ジェイ・リサーチ出版 (2010/2/2)

言語/日本語

単行本/224ページ

第1章では、「英語使い」としての万次郎の生涯を追いながら、「彼はどう英語を習得し、どのように英語を使えたのか」を大胆に考察。

第2章「現代版」では、江戸時代の和文・漢文で書かれた原典の内容を現代の活字と語順で完全翻刻。

英文には現代訳も付け、万次郎が記した発音表記と語法を丁寧に解説。

(本文献のカタカナ発音表記に疑問を呈する声も多くありますが、仔細に分析してみると、特異とも思えるカナ表記は音声学的に正当な根拠を有し、現代の英語学習者にも十分役に立つ実用性を備えているとされます)

巻末の「復刻版」では、原典全ページのカラー写真を収録。

付録/原典の全会話フレーズをCDに収録。

『ジョン万次郎の英会話』は、時空を超えて歴史ロマンと語学教養を堪能できる一冊と言えます。

●ちなみに・・・

『英米対話捷径』は幕府の命を受けて編纂された教本で、咸臨丸(かんりんまる)の乗組員も携行したとされます。

咸臨丸は幕府海軍が保有していた軍艦で、日本人が初めて太平洋を往復する際に使用され、また、日米修好通商条約の批准書を交換するために遣米使節団が派遣された際には、正使一行が乗艦するアメリカ軍艦ポーハタン号の随伴艦として派米されました。

そこに、日本人初の通訳・中浜万次郎(ジョン万次郎)や福澤諭吉らも乗っていたのです。

関連記事→読書感想文/ソムリエ言葉と音楽嗜好症

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