と思いつくまま書き出していくと、それも読書習慣の一部となります。
どんな本を読み、どんなことを考え、どこに感動したのか。──記録を残すことにより、貴重な思い出のストックができます。
わずか数行のメモであっても、あるとないとでは大きく違います。
私の経験からいって、それは写真アルバムにも匹敵する「幸せの思い出貯蔵庫」です。
私の貯蔵庫の中から、いくつかご紹介したいと思います。
ご笑覧いただけますなら幸いです。
●『ひとりじゃなかよ』西本喜美子著
およそ15年前、当時72歳の西本喜美子さんは初めてカメラを手にし、息子さんが主宰する写真講座で学びはじめたそうです。
それから10年、喜美子さん82歳のときに熊本県立美術館分館にて初個展を開催。
熊本のテレビ各社に特集されるなど多方面の注目を集めました。
そして昨年(2016年)、飛鳥新社より本書を刊行。
喜美子さんは今、87歳です。
足腰が弱いため、室内での物撮りが多いとのことです。
室内で撮った作品も素敵ですが、なんといっても超素敵ですごいのは、ご自宅の居間やお庭で撮影したセルフポートレイトです。
とても87歳とは思えない、ぶっ飛んだ写真、ぶっとんだ発想!
ぜひ皆様にご覧になっていただきたいと思います。
喜美子さん、あるテレビ番組のインタビューでは、「写真が撮れなくなったらどうしよう」と涙ぐむ場面もあったそうです。
喜美子さん、素敵!!
●『たまゆら』神蔵美子著
いろんな男性著名人(というか文化人?)の女装コスプレ写真集です。
赤塚不二夫さん、安部譲二さん、蛭子能収さんの女装も見られます。
みんな、びっくりするほど綺麗になっちゃって〜すごいの。
ヘアメイクと衣装、カメラの力はすごい!と感動しました。
ご本人の演技力というか、その気モードの威力もあるのでしょうね。
よく見ると、ほとんどの方が付けまつげ+カラーコンタクトを使っていますね。
あと、付け爪、付けホクロもありです。
そして、女らしく見せるには手の表情も大事なんですね。
指をピンと伸ばし、少し内側に丸めるといいみたい。
本書タイトルの「たまゆら」は、タマが揺らぐ、いえ変な意味ではなく、魂が揺らぐということかしら。
男の中にある女性性、女の中にある男性性、その境界線が揺らぐということに私はそそられます。
●『官能論 祝福としてのセックス』宮迫千鶴著
宮迫千鶴さんの著作はいろいろ読んできました。
『イエロー感覚』『超少女へ』、そのほか上野千鶴子教授との対談や共著も興味深く読みました。
しかし残念ながら、宮迫千鶴さんはガンで亡くなったのですね。
最期はホリスティック医療で有名な帯津病院だったと伺い、なんとなくですが、それならよかったと思いました。
本作もなかなか興味深い内容です。
旧弊な性意識に縛られることなく、根源的なエロスのパワーを受容して美しく幸せになることについて書かれています。
とレポートされているのも面白い!
作家の坂東眞砂子さんに関する話にも興味津々です。
と坂東眞砂子さんはフランス人の恋人に言われちゃったことがあるそうなのです。
その話を読んで私は
「んまあ!じゃ私たち日本の女性はどうすればいいの?」
と頭をかきむしってしまいました。
その次のページに、一案としての答えが、そのフランス人男性の言葉で提示されていました。
それを読んで私は、なるほどね~!とうなずきましたよ。
要するに、安心して相手に身をゆだね、身も心もオープンにして開いていくことが大事なんですね。
身をゆだねるときは心なごやかで受動的。
身を投げ出すときはちょっとワイルドで能動的。
ということかなと思います。
●『楽聖少女』(がくせいしょうじょ)杉井光著
しかもそこは、200年前にはあり得なかった文明の利器に彩られ、なおかつ魔物が飛び交うという、とんでもない世界。
「僕」はゲーテの友人らしき作家シラーと共に各地の温泉巡りをするうちに、とある少女と出会う。
その少女こそ、稀代の天才音楽家ベートーヴェンだった。
ベートーヴェン少女がこれから生み出す音楽のすべてを見届けるために、「僕」はこの異世界に留まる決心をする。
そして後に書き上げたのが、「時よ止まれ!今の最高!」の極め台詞で知られる世紀の傑作だった。
という展開です。
本作はいわゆるライトノベルだと思いますが、かなりハイレベルで読み応えがあります。
●まとめ
今回は、以下の4冊をご紹介しました。
『たまゆら』神蔵美子著
『官能論 祝福としてのセックス』宮迫千鶴著
『楽聖少女』(がくせいしょうじょ)杉井光著