読点の打ち方

読点の打ち方を完全マスター!! ⑤

投稿日:2017年6月6日 更新日:

「読点の打ち方」を完全マスターしましょう。

文のどこで読点を打ったら良いか。

迷ったときに目安としてほしいのはズバリ、次の5点です。

1.語句を対等に並べる場合

例/東京、川崎、横浜、横須賀、三浦の暴走族が一堂に会した。

2.長い修飾語が2つ以上ある場合

例/頭の回転が速くてよく気が利く、この店で一番人気の、優秀な販売員に担当してもらいたい。

3.倒置文の場合

例/だから言ったでしょう、ママが、遊んでばかりいないで勉強しなさいって。

4.重文(主語と述語を持つ文が2つ以上含まれる文)における文の切れ目

例/時が経ち、世間知らずだった少女も大人の女になった。

5.助詞を省いたとき

例/コーヒー、いただきます。

この5点にあてはまらない場合は読点を打っても打たなくても良い、と考えて差し支えないでしょう。

というのが私の意見ですが、日本サービスマナー協会理事長 澤野弘監修『きちんと伝わる! 文章の書き方』にはどう書かれているか、見てみましょう。

●『きちんと伝わる! 文章の書き方』が掲げる「読点の打ち方ルール14項目」

日本サービスマナー協会理事長 澤野弘監修『きちんと伝わる! 文章の書き方』では、「読点の打ち方ルール」が14項目にものぼります。

「ルール」というからには、ぜひとも守る必要のあるものです。

その点をしっかりと踏まえたうえでの「ルール」なのか、という視点から検証してみましょう。

↓(黄色の枠で囲んだ箇所は、当ブログ用に私が加筆しました。)

【読点の打ち方ルール】

1. 長い主語・述語・目的語のあとに打つ

【例】

かつて若者の人気を集めていた車も、今は海外でしか売れない。

↑文意が通じるならば、読点を打たなくても良いでしょう。

●例文の場合は、後半部分の述語が短いので、読点を省略し、

かつて若者の人気を集めていた車も今は海外でしか売れない。

とすることも可能です。

●修飾語が長いために、主語と述語のいずれも長くなった場合や、主語・述語・目的語がいずれも長くなった場合には読点が必要です。

「長い修飾語が2つ以上ある場合は読点が必要」と覚えておけば十分です。

2. 2つの意味にとれる文では誤解を防ぐ位置に打つ

【例】

先生は、熱心に絵を描く生徒にアドバイスした。

先生は熱心に、絵を描く生徒にアドバイスした。

↑そのとおりです。
例文は主語と述語が2つある重文構造なので、読点が必要です。

3. 接続詞・逆接の助詞のあとに打つ

【例】

しかし、どこを探しても見当たらなかった。

↑文意が通じるならば、読点を打たなくても良いでしょう。

しかしどこを探しても見当たらなかった。
あらゆるところを探したが見当たらなかった。

とすることも可能です。

4. 原因・理由・条件などを表す節のあとに打つ

【例】

工事期間が延びてしまったので、コストがかさんだ。

↑文意が通じるならば、読点を打たなくても良いでしょう。

「原因・理由・条件などを表す節のあと」だからといって、必ずしも読点を打つ必要はありません。

5. 状況・場の説明のあとに打つ

【例】

12月に誰もいない草原を歩いていると、見慣れない花が咲いていた。

↑例文は主語と述語が2つある重文構造なので、読点が必要です。

「状況・場の説明のあと」だから読点を打つわけではありません。

6. 時間や場面が変わるところに打つ

【例】

彼女は3年前に結婚して、今はふたりの子どもを育てている。

↑文意が通じるならば、読点を打たなくても良いでしょう。

「時間や場面が変わるところ」だからといって、必ずしも読点を打つ必要があるわけではありません。

7. 引用を示す「と」の前に打つ(引用カッコの代用)

【例】

毎日続けることが成功の鍵だ、と先生はおっしゃっていた。

↑文意が通じるならば、読点を打たなくても良いでしょう。

読点は、引用カッコの代用とすることはできません。

たとえば────

毎日というのはなかなか大変だけれど、毎日続けることが成功の鍵だ、と先生はおっしゃっていた。

という文では、どこからどこまでが先生の言った言葉なのか不明瞭です。

よって、
「毎日というのはなかなか大変だけれど、毎日続けることが成功の鍵だ」と先生はおっしゃっていた。

毎日というのはなかなか大変だけれど、「毎日続けることが成功の鍵だ」と先生はおっしゃっていた。
というように、先生の言葉を「 」で括る必要があります。

8. 時を表す語のあとに打つ

【例】

7月1日、彼との再会を果たした。

↑例文は、助詞「に」の代用として読点を打つ必要があるのであって、「時を表す語のあと」だから読点を打つわけではありません。

7月1日彼との再会を果たした。

とするなら、読点は不要です。

9. 名詞や動詞に修飾語が2つ以上つくとき、それぞれの間に打つ

【例】
その店には、教育に関する、入手が困難な、価値の高い本が集められている。

↑文意が通じるならば、読点を打たなくても良いでしょう。

長い修飾語が2つ以上つくときは、読点を打つ必要があります。

例文の場合は、短い修飾語が4つあり、その並び順が適切でないために、読点を必要とします。

教育に関する本として価値が高く、しかし入手困難なものがその店には集められている。

とすれば、読点は一箇所で済みます。

ちなみに、長い修飾語を先に出し、短い修飾語を後に出すようにすると、文をまとめやすくなります。

10. 語句を並列的に並べるとき、それぞれの間に打つ

【例】

私の実家では、お米、野菜、果物は手作りしていた。

↑そのとおりです。

お米や野菜や果物は手作りしていた。
お米・野菜・果物は手作りしていた。

とすることもできます。

11. 言い換えや説明のとき、その間に打つ(「つまり」「すなわち」の代用)

【例】

もっとも安らげる場所、自分の部屋へ持ち帰りたい。

↑「つまり」「すなわち」は副詞です。(接続詞であるとしている辞書もある)。

いずれにしても、副詞や接続詞の代用として読点が使えるかというと、必ずしもそうではないようです。

例文の場合でいうと、

もっとも安らげる場所、つまり(すなわち)自分の部屋へ持ち帰りたい。

とすることが望ましいと思います。

そうでないと、「もっとも安らげる場所か(または)自分の部屋に持ち帰りたい」と解釈される場合もあります。

12. 挿入句があるとき、その前後に打つ

【例】

そんなやり方は、熟練者なら可能だが、私にはとうてい無理だ。

↑「挿入句」とは、「文の途中に、文意を補足するために挿入される語句で、その文から独立した語句」のことです。

したがって、挿入句のある文は重文構造になるので、必要に応じて読点を打たなければなりません。

しかし例文の場合は、「熟練者なら可能だが」という箇所は挿入句というよりもむしろ、修飾語であると考えられます。

と同時に、例文は「私」と「熟練者」という2つの主語を持つ重文構造です。

よって、主語の異なる2つの文を分かつために読点を必要とするわけです。

そんなやり方は熟練者なら可能だが、私にはとうてい無理だ。
熟練者ならそんなやり方が可能だが、私にはとうてい無理だ。

とすれば良いでしょう。

13. 強調するとき、強調語句のあとに打つ

【例】

猫が、その光景を見ていたのです。

↑文意が通じるならば、読点を打たなくても良いでしょう。

読点を打つことによって語が強調されるかどうかは、書き手の考えに託されます。

14. 格助詞を省略したとき、そのあとに打つ

【例】

その建物、私が幼いころに住んでいた団地だ。

(「その建物が」の格助詞「が」を省略)

↑そのとおりです。
助詞の代用として読点を打つ必要があります。
ただし、例文が省略した助詞は「が」ではなく、むしろ「は」ではないかと私は考えます。

その建物私が幼いころに住んでいた団地だ。

とすれば、より自然な印象の文になります。

●まとめ

日本サービスマナー協会理事長 澤野弘監修『きちんと伝わる! 文章の書き方』が掲げる「読点の打ち方ルール14項目」のうち、本当に読点を打つべき項目は3項目のみでした。

どんな場合に読点を打つべきかについて、現時点では明確なルールが定められておらず、各人の考えに委ねられています。

共通認識や規範はなきに等しい状態なのです。

そのため、誤解を招きやすい文章が日常の随所に散見されます。

読点の打ち方について、必要最低限の規範はあったほうが良いと私は考えます。

そこで皆さんに参考にしてほしいのが、当ブログで提案している5つのポイントです。

【読点を打つべきポイント】

1.語句を対等に並べる場合

例/東京、川崎、横浜、横須賀、三浦の暴走族が一堂に会した。

2.長い修飾語が2つ以上ある場合

例/頭の回転が速くてよく気が利く、この店で一番人気の、優秀な販売員に担当してもらいたい。

3.倒置文の場合

例/だから言ったでしょう、ママが、遊んでばかりいないで勉強しなさいって。

4. 重文(主語と述語を持つ文が2つ以上含まれる文)における文の切れ目

例/時が経ち、世間知らずだった少女も大人の女になった。

・重文は、必ずといっていいほど読点を必要とします。
「ここで2つの文が分かれるから読点を打つ」と考えるようにしてください。

5. 助詞を省いたとき

例/コーヒー、いただきます。

↑以上が「読点の打ち方完全マスター法」です。

今さら人に聞けない「読点の常識」、これでバッチリですよ。

要するに、必要最低限の読点をおさえておけば良いのです。

自分の文章には「、」が多いなあと思う場合は、怖がらずにどんどん省略しちゃっていいと思います。

関連記事→読点の打ち方を完全マスター!! その1

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