暮らし歳時記

高級食材フグ、その知られざる秘密

投稿日:2017年9月22日 更新日:

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12月になると日一日と陽が短くなります。

夕方5時にはもう外は真っ暗で、なんだか心細いような気持ちになったりします。

そんなときは、温かいものでも食べて身も心もあたたまりたいものですね。
お鍋などは最適です。

幸い、この時季は鍋料理に向く旬の食材がいろいろと出回っています。

鮟鱇(アンコウ)

鱈(タラ)

海老(エビ)

紋甲烏賊(もんごういか)

牡蠣(カキ)

赤貝(あかがい)

浅蜊(アサリ)

など、海の幸が一年で一番豊富な季節とされています。

山の幸も豊かです。

葱(ネギ)

小松菜(こまつな)

京菜(きょうな)

春菊(しゅんぎく)

白菜(はくさい)

菠薐草(ほうれんそう)

大根(だいこん)

蕪(カブ)

蓮根(レンコン)

カリフラワー

ブロッコリー

これらの野菜をざくざく切ってお鍋に入れれば栄養満点、味も見栄えもぐんとよくなります。

お腹いっぱい食べてあったまった後は、デザートに旬の蜜柑(みかん)やネーブルオレンジなどもいいですね。

河豚(フグ)もまさに旬を迎えます。
冬の味覚の代表格です。

しかし滅多に口にすることのない高級食材ですから、私など、好景気に沸くバブル時代に何度か食したきりで、かれこれ25年ほどもご無沙汰しています。

それでも、あの淡泊でいながら忘れがたい味は、記憶にしっかりと刻み込まれていますね〜。
ああ、できればもう一度、いや何度でも食べたい。

少しでも安上がりに済ませるには、有名産地から通販で取り寄せるという方法があります。

ただ、フグは刺身のほかにもいろいろとおいしい食べ方があることを知ってしまった私としては、やはりお料理屋さんでフグづくしのコースを注文したいものだと、欲が頭をもたげてきます。

コース料理となると、軽く1万円を超えてしまうことが多いのですが、年に一度くらいなら贅沢をしても許されるでしょう。

となれば、大枚はたくその前に、フグに関する予備知識を多少なりと仕込んでおきたいと思います。
バブルの頃は何も知らずに、ただ「高級な食べ物」「とうとう私も高嶺の花に手が届いた」なんて舞い上がっていましたが、そんな味わい方をしたらもったいないと、今は少し反省しているのです。

知らずに食べるか、知ったうえで食べるか。
後者のほうが断然、味わいは増すはずです。

●フグの食べ方いろいろ

・湯引きした皮

フグの皮をはいで細切りにし、湯にさっと通した後、氷水で冷やしたものが、お通しとして供されることがよくあるようです。

・フグ刺し

プロの手により薄く削ぎ切りにされたフグの身が、大きな丸形のお皿いっぱいに円盤状に並べられています。(いわゆる、べた盛り)

薄造りにされたフグの身は半透明で、お皿の模様が透けて見えるほど。
歯触りシャキシャキ、味わい淡泊。
ポン酢+もみじおろし+薬味の葱を添えていただくと絶妙の味です。

・煮こごり

フグの皮を野菜やシイタケなどと煮込み、冷蔵庫で冷やしてゼリー状にした一品料理。
コラーゲンたっぷりです。

・白子料理

白子とは、オスのフグの精巣のこと。
これを焼いたり揚げたりしたものをいただきます。

フグの産卵期にあたる1月から3月に獲れたものが一番美味だとされていますが、高価になります。

・唐揚げ

ぶつ切りにしたフグの身に薄力粉をまぶして、油で揚げたもの。
ポン酢で、または塩を少々ふりかけていただくと美味。

中身は柔らかくジューシーで、外側はパリッと香ばしく。
やみつきになるおいしさです。

・フグチリ

昆布などからとったダシ汁を土鍋にはり、フグの切り身や骨、野菜などを加えて煮立てます。
関西では「テッチリ」と言うそうです。

・雑炊

鍋の具をあらかた食べ終えたら、塩で味を調整し、ご飯を入れて煮立たせて、フグ雑炊にします。

熱々のところを、ふうふう言いながらいただきます。
〆めはやっぱりコレですね。

・ひれ酒

フグのヒレの部分を干したものを火で炙り、熱燗にした日本酒に入れていただきます。
盃にマッチの炎を近づけると、青い炎が一瞬浮かび上がります。

●フグを安全に食べるための加工法


奈良県の橿原(かしはら)にある遺跡から大量にフグの骨が発見され、学者の鑑定によると、大和時代のものだったそうです。
ということは、奈良に都があった昔から、日本人はフグを食べていたのですね。

しかしフグにはがあります。
古代の人々は、毒を取り除いて安全に賞味する技術など持ち合わせていなかったでしょうから、命を落とす人が相次いだのでは、と考えただけで恐ろしくなります。

現在のように科学技術が発達し、調理も免許制にして厳しく取り締まっていても、フグ中毒で亡くなる人は後を絶ちません。
ぜひとも気をつけたいことです。

フグ毒の正体は、「テトロドトキシン」という成分で、人はこれをわずか0.5ミリグラム摂取しただけで死に至るとされています。
青酸カリの場合は致死量150ミリグラムですから、フグ毒はその300倍の威力。
桁違いの猛毒です。

このテトロドトキシンという毒物は容易に水に溶けるため、かつては、とにかくよく水で洗い流せば安全だと信じられていたようです。
しかし、いくら洗ったところで安心はできません。

フグの猛毒は卵巣と肝に含まれています。
そのため、フグの肝料理は法律によって禁止されています。

卵巣と肝、この危険な部位を完全に取り除くことこそ、フグ調理の第一歩です。
素人にできることではありません。
おいしく、安全に食べるなら、各都道府県により許可された「ふぐ調理師」(処理師、包丁師などと呼ばれることもあるそうです)が常駐する料理店を選ぶ必要がありますね。

「ふぐ調理師」の免許は、各都道府県のふぐ条例により定められているため、免許を持っている場合でも、他県では無効となる場合があるそうです。

また、ふぐ調理師により食用として処理された部位(これを「身がき」というそうです)を飲食店が仕入れ、再調理をしてお客に供する場合や、スーパーなどが「身がき」を販売する場合は、特に資格は必要としないそうですが、地域によっては、別途保健所への届出・講習会受講などが義務付けられていることがあります。

●天然トラフグのシロが最高級品


世界中におよそ100種類ものフグがいるとされています。
そのうち、日本近海に生息するのは約38種類だそうです。

一般にフグ料理に用いられるのは、トラフグのシロとクロです。
クロよりもシロのほうが高級、とされています。

もう少し詳しく説明しましょう。

天然もののトラフグは尻鰭が白く、黒い尾鰭を持っています。

カラスフグの場合は、尻鰭も尾鰭も黒いそうです。

味のよさからいってトラフグ(シロ)のほうが勝るため、カラスフグ(クロ)はトラフグの代用食材とされているようです。

ちなみに、養殖もののトラフグは、天然ものに比べて尾鰭が短く、全体的に黄色みを帯びているとのこと。

山口県下関市が本場として知られていますが、実際のところ、下関はフグの産地というよりも集積地であるといったほうがあたっているようです。

もちろん下関近海でもフグは獲れるのですが、その水揚げ量を上回る数のフグが(天然もの・養殖ものともに)全国各地から、また、中国や韓国といった海外からも集められているのです。

ちなみに、私が住む横浜からほど近い、相模湾でもトラフグが獲れるというので驚きました。

「フグの本場は下関」といわれるもう一つの理由は、明治時代、全国に先駆けてフグ食が解禁になった地が下関であったことによります。
それ以降、下関には多くのフグ料理店ができ、現在のフグ料理の多くが下関で考案されたとのことです。

●フグ、フク、テッポウ、テツと呼び名は多数


山口県や九州各地では、フグ料理のことを「ふく料理」と呼ぶことが多いようです。

何故「ふぐ」ではなく「ふく」なのでしょう。
「ふぐ」というと「不遇」「不具」を連想させ、縁起が悪い。
「ふく」であれば「福」につながり縁起がよい。
というのが通説です。

「フグの毒に当たると死ぬ」ことから、関西ではフグを「テッポウ」(鉄砲)、もしくは「テツ」と呼ぶこともあるそうです。
いろいろな呼び名があって面白いですね。

●フグを「河豚」と書くのは何故?


それにしても、フグを「河豚」と書くのは何故でしょう?

フグは、水中で敵に遭遇するとプーッと腹をふくらませ、まるで風船のような姿になります。
そして、ブーブーと鳴いて敵を威嚇します。
その様子が「豚」によく似ていることから、「河豚」と当て字がされるようになったのですね。

でもどうして、「海豚」ではなくて「河豚」なのだろう、と思うでしょう?

私たち日本人にとって、フグは海に棲む魚ですが、中国の揚子江や黄河など、淡水の中にもフグはいるのです。
そうした河の中で豚のようにブーブー鳴くから「河豚」といわれるようになった、という説があります。

日本でも中国でも、「海豚」と書けば「イルカ」のことを指し、これと区別するためにも、フグを「河の豚」とするようになったのでしょうね。

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●まとめの一言

フグをおいしく、安全に食するうえで、忘れてはならない重要なこと

・各都道府県により許可された「ふぐ調理師」処理師、包丁師などと呼ばれることもある)が常駐する料理店を選ぶこと。
(フグの「身がき」を通販で取り寄せる場合も同様)

関連記事→12月22日は「冬至」、12月上旬から翌1月初めにかけては「冬至日」

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