2月4日は節分です。
旧暦では、この日を境に年が改まるとされています。
そして、翌2月5日は立春です。
ここから新しい年が始まるわけですね。
そこで2月4日の節分には、今ある災いを取り除いて福を招く伝統行事が行われます。
鬼は外〜!! 福はうち〜!!
↑これは欧米各地で行なわれるハロウィーンという祝祭に共通する要素が多分にあると思います。
どんな点が似ているのか、リストアップしてみました。
●節分の鬼やらい
節分に鬼を追い払う儀式をするようになったそのはじまりは、今からおよそ1300年前、8世紀初頭のことです。
文武天皇の慶雲3年(706)、疫病が流行して多数の死者が出たため、中国に古くから伝わる追儺(鬼やらい)の儀式を取り入れて除災招福を念じたのでした。
儀式の内容を具体的にいうと、人々に疫病をもたらす悪鬼のような恐ろしい姿に扮装した者を矢で射たり、大声をあげて追いかけ回したりしたのです。
この鬼やらいの儀式は朝廷行事として定着しました。
その後、平安時代になると、宮中でのこの行事はすたれてしまったらしいのですが、全国の神社仏閣を通じて各地に広まりました。
節分の日は「鬼は外〜!! 福はうち〜!!」と大声をあげて鬼を追いかけ回すことが、日本全国にみられる民間習俗となっていったのです。
●ハロウィーンの悪魔退治
ハロウィーンでは、子供たちが魔女やお化けの仮装をし、
「Trick or treat」
(トリック・オア・トリート)
(ご馳走してくれないと悪戯するよ)
と唱えながら、近所の家を1軒ずつ訪ねてお菓子をもらうという風習がありますね。
疫病などの災いをもたら邪悪な存在としてイメージされるのが、
西洋では魔女・悪魔・蝙蝠・黒猫・ゾンビ・ドラキュラ・狼男・フランケンシュタインなど。
でしょう。
毒をもって毒を制すという考え方。
↑これらが節分とハロウィーンの共通点ですね。
●立春前夜の豆まき
節分の翌日は2月5日、立春の日です。
立春というのは二十四節気の第1番目で、暦の上では、この日から「春」がはじまるとされています。
という考え方もあります。
中国伝来の四柱推命や風水などの占いでは、節分までは前年に属し、立春をもって年が改まるとされています。
その伝でいくと、
節分は大晦日のようなもの。
立春は元旦のようなもの。
です。
元旦は新しい年の年神様を迎えて祝う日なので、邪悪なものは一切退けておかなければなりません。
そこで、ヒイラギの小枝にイワシの頭を挿したものを門口に飾って魔除けとします。
また、「鬼は外〜!!」と叫んでは戸外に向かって豆を投げつけ、「福はうち〜!!」と大声をあげて家の中に豆をばらまきます。
こうして、あたり一帯を浄めるわけですね。
●万聖節前夜のカボチャ
いっぽう、ハロウィーンが発祥した古代ケルトの地では、
1年の終りは10月31日で、翌11月1日の万聖節(ばんせいせつ)から新年が始まる
とされていました。
万聖節というのは古くからの呼称で、今は諸聖人の日(しょせいじんのひ)と言うことが多いようです。
ともあれ、それはキリスト教における全ての聖人と殉教者を記念する日で、カトリック教会によって祝日と定められています。
翌日の万聖節に備えて悪霊を追い払い、清らかな世界で聖人たちを祝福するための準備セレモニー。
それがハロウィーンなのでした。
暗く寒い時季になると悪い精霊や魔女が次々と姿を現すと信じられていた時代のことですから、人々は自分や家族の身を守るために仮面を被り、魔除けの火を焚いたそうです。
また、今は亡き先祖を我が家に迎えるために、カボチャの提灯を飾り、カボチャのお菓子を作って食べるようになったとされています。
日本ではイワシの頭とヒイラギの小枝、そして豆まき。
西洋では魔除けの焚き火と仮面、そしてカボチャの提灯、カボチャのお菓子。
余談ながら、西洋ではクリスマスにヒイラギを飾ります。
洋の東西を問わず、ヒイラギは魔除けの木とされているんですね。
●まとめ
節分とハロウィーンの共通点は──
●この日を境に始まる新しい年にそなえて、魔除け・招福のおまじないをする伝統行事であること
●悪霊を追い払って清らかな世界をつくりだすという考えが共通している
●悪者を想定して退治する、つまり毒をもって毒を制すという発想も共通している
と私は思っています。