読書感想文

読書感想文/読んだら終わり、ではなく、何度も楽しめる仕掛けを

投稿日:2017年6月12日 更新日:

銀行口座にお金が貯まっていくのは嬉しいものですね。
通帳を見るのが楽しみになります。

図書館の貸出票がたまっていくのも嬉しいものです。
いっぱいたまった貸出票を見て、

ああ自分はこんなにたくさん本を読んできたのだなあ。

いい本がいろいろとあったなあ。

出会えてよかった、幸せだ。

と豊かな気持ちになれます。

読んだらそれで終わり、ではなく、何度も楽しめる仕掛けをつくっておきましょう。

●強く印象に残る本と出会えたときは、貸出票に記された書名にマーカーで印しをつけておくと、後々とても役立ちます。

●過去の貸出票を整理しながら「今年のベスト10」を決める、というのもよいと思います。

●「読んでよかった」という喜びと感動がフレッシュなうちに、その思いを書き残しておくことも大切ですね。

読書感想文というほどのものでなくてもいいのです。
思いつくままに書き留めたメモ、でいいと思います。

たとえわずか数行でも記録が残っていれば、あのときの感動と喜びがありありとよみがえります。

私もそんなふうにして読書感想文を書き、喜びと感動のストックを増やしています。

その一部をここにご紹介したいと思います。
ご笑覧いただけますなら幸いです。

●美味しい櫻

『美味しい櫻』平出眞著

塩漬けにした桜の葉や花を業務用に卸している会社の社長さんがラジオでお話しされていたことがとても興味深い内容で、本も出版なさったとのことでしたので、さっそく図書館で借りてきました。

ビジュアル満載で、目を楽しませてくれます。

見てよし読んでよし、の美味しそうな本です。

桜スイーツというものに、こんなにもいろいろな種類があることをはじめて知りました。
代表格はなんといっても、桜餅でしょう。
桜餅は葉っぱの塩気がおいしいんですよね。
塩漬けするからこそ、あの独特のいい香りが引き出されるのだそうです。

↑というようなことが、この本に詳しく書かれています。

桜の葉や花は和菓子や洋菓子の世界に浸透しつつあり、世界に広がった抹茶に続いて次は桜だ。

と社長さんは抱負を語っていらっしゃいます。

●里山資本主義

『里山資本主義』藻谷浩介・NHK広島取材班著

里山資本主義とは、生活に必要なものを何もかも金銭で購うのではなく、身近な自然をもっと有効活用して豊かに生きようという思想です。

里山資本主義とはまた、森林資源を活かして持続可能な社会をつくっていくための実践法です。

そのメリットは数々あり、たとえば次のようなことです。

食料や燃料、冷暖房費などの出費を抑えられる。
本当においしいものを食べるために一手間かけることが楽しくなる。
周囲の人々との会話が増え、絆が強まる。
災害時にも生き延びることができる。

里山の暮らし、その豊かさと心地よさがあらためて見直されています。

都会の住人たちも心をひきつけられ、休暇を利用して里山生活を体験する人が増えているようです。

本書によると、日本各地の里山でさまざまな試みがなされ、成果を挙げているとのことです。

オーストリアの実例も紹介されています。
これは興味深いレポートでした。

オーストリアでは寒い冬を暖かく過ごすために各家庭にセントラルヒーティングが完備され、化石燃料(つまり石油)を使っていたけれど、この十数年は化石燃料をほとんど使用していないというのです。

ではどうしているのかといえば、市町村単位で森林資源の有効活用に取り組み、伐採した木材を燃料用に加工したものを各家庭に配送しているのです。

燃料貯蔵庫や専用ボイラーなど初期費用はかかりますが、毎月の光熱費を抑えることができるので、1、2年ほどで元がとれるとのこと。

この方法は全国的に普及し、人々の生活にすっかり定着したそうです。

このようにしてオーストリアでは、国民の意識を大きく変えていきました。

原発を稼働させない、原発電力を輸入することもしない。

と国民投票により決めたというニュースをテレビ報道番組でご覧になった方は多いでしょう。

オーストリアは里山資本主義の先進国ですね。

今後日本において、里山資本主義がどれだけ浸透していくか、注目したいと思います。

そして私自身、年に一度は里山でゆっくり過ごし、自然の恵みを頂戴する方法を学んでいこうと思っています。

幸いなことに、友人のご実家が山梨県にあり、オートキャンプ場「ネイチャーランド・オム」というのを運営していらっしゃるので、私も初夏から秋にかけて訪れ、田植え・稲刈り・蜂蜜採取などを体験させてもらっています。

ネイチャーランド オム→http://www.natureland-om.co.jp/

●女の由来

『女の由来』エレイン・モーガン著

二足歩行を始めた人類は森を離れてサバンナで狩猟採集生活を営み、やがて世界各地に生息圏を広げた。

というのが定説ですが、実はサバンナではなく海辺で暮らした年代が長らくあるのではないかとする「アクア説」というものがあるそうです。

アリスター・ハーディという人が唱えたこの「アクア説」に共鳴し、フェミニズムの視点から検証しているのが本書です。

私としては、人類進化に関する概念が根底から揺さぶられるようなスリリングな書で、大変興味深く読みました。

男性と女性の違いをどう捉え、両者にとって望ましい社会環境をいかに模索していくかについて、示唆に富んでいるのも魅力です。

エセ科学のトンデモ本にほだされちゃって馬鹿かお前は。

と皆さんに笑われるのではないかと危惧しましたが、これは可能性に対する考証と検証がきちんと為されているまともな本であると確信し、勇気をふるってご紹介しました。

しかしエレインの説は世の男性から揶揄をもって酷評されたようで、彼女は本書『女の由来』の続編として、アクア説のみ論じた『人は海辺で進化した』を著していますが、本書のほうが断然おもしろく、また説得力があります。

●まとめ


今回は、以下の3冊をご紹介しました。

『美味しい櫻』平出眞著

『里山資本主義』藻谷浩介・NHK広島取材班著

『女の由来』エレイン・モーガン著

関連記事→読書感想文/横浜にまつわる素敵な本をご紹介します

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