皆さんは「コロケーション」って何のことかご存じですか?
コロケーションとは「連語」のこと。
語と語を結びつけて作られた、ひと続きの言葉です。
たとえば、「役者が揃う」というのもコロケーションです。
「役者が揃う」とは「ある物事を成し遂げるために必要な人物が一箇所に集まる」ということですね。
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必要な人物が完全に揃っていない場合は、「役者が足りない」「役者不足だ」という言い方をします。
しかし「役者不足」というのはいわゆる造語で、広辞苑などの辞書には載っていません。
どうしてでしょう。
「役者不足」という言葉は通常、「与えられた役目に対して能力が足りない」という意味で使われることが多いのですが、それを言うなら本来、「力不足」とするのが適切だからです。
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いっぽう「役不足」という言い方もあります。
これは広辞苑などの辞書に載っている言葉で、「与えられた役目は簡単すぎる。もっと能力がある」という意味です。
「役者不足」を、「力不足」や「役不足」などと取り違えて誤用することが多いので要注意です。
能力<役割 の場合は「力不足」
能力>役割 の場合は「役不足」
と覚えておくとよいですね。
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さて、このブログでは、日常よく使われるコロケーションを紹介しています。
あなたがこれまで知らずにいた言い回しがきっと見つかりますよ。
読めば読むほど、「そうか、こういうときはこう言えばいいのか」と新たな発見が増していくと思います。
コロケーションを数多く知っていると、言葉の世界が広がり、表現の幅も広がります。
その場の状況に応じて、コロケーションを適切に使っていけるとよいですね。
●「ヤ」で始まるコロケーション
●矢も→楯もたまらない=ある事をしたいという気持ちが強くて、じっとしていられないということ
●矢を→放つ
●矢を→向ける=攻撃の対象とすること
●野(や)に→ある=民間の立場にあること
●野(や)に→下(くだ)る=公職を離れて民間の生活に入ること、または、与党から野党にまわること
●刃(やいば)に→かかる=刀で殺されること
●刃(やいば)に→伏す=刃物で自殺すること
●刃(やいば)を→向ける=刃物を向けること、または、相手を攻撃すること
●夜陰(やいん)に→乗ずる=夜の暗闇を利用すること
夜陰に紛れる、とも言います
●矢面(やおもて)に→立つ=非難などをまともに浴びる立場に身を置くこと
●焼きが→回る=年をとったりして、勢いや能力が衰えて鈍くなること
●焼きを→入れる=鍛えて、しゃんとさせること
●焼き印を→捺す
●焼き討ちを→かける
●焼き餅を→焼く=嫉妬すること
甚助(じんすけ)を起こす、とも言います
●役に→立つ
●役を→振る=役を割り当てること
●薬餌(やくじ)に→親しむ=病気がちであること
●役者が→揃う=ある事柄をするための主だった顔ぶれが揃うこと
●役職に→就く=重要な地位に身を置くこと
●薬味(やくみ)を→利かせる=薬味(香辛料)を加えて、風味や刺激を増すこと
●役目を→果たす
●櫓(やぐら)を→組む=盆踊りなどに使う高い建物をつくって構えること
●野次(やじ)を→飛ばす
●痩せても→枯れても=たとえどんなに落ちぶれても、という意味
●厄介(やっかい)に→なる=人の世話になること
●厄介(やっかい)を→かける=人に面倒や手数をかけること
●屋根を→葺(ふ)く=瓦、トタン板、藁などを用いて、建物の屋根を覆うこと
●山が→当たる=万が一を期待した見当が的中すること
●山が→見える=前途の見通しが立つこと
●山を→かける=万が一の幸運を望んで行動すること、または、試験などで問題に出そうなところを予想すること
山を張る、とも言います
●山を→越す=ある状態の最盛期を過ぎること
●山を→なす=うず高く積み上げて、山のような形をしていること
●病(やまい)が→革(あらた)まる=病状が急変して危篤に陥ること
●病(やまい)に→冒(おか)される
●病(やまい)の→床(とこ)に就く
●病(やまい)は→気から=自分の気の持ちようによって、病気などが良くも悪くもなるということ
●闇から→闇へ葬る=世間に知られないうちに処理する、ということ
●闇討ちを→かける=暗闇に紛れて、または、不意を突いて人を襲ったり驚かせたりすること
闇討ちを食わせる、とも言います
●槍玉(やりだま)に→挙げる=非難や攻撃の対象とすること
●まとめの一言
日本語には数多くのコロケーションがあります。
言葉の文化が豊かだということですね。
●薬餌(やくじ)に親しむ=病気がちであること
●病(やまい)が革(あらた)まる=病状が急変して危篤に陥ること
↑この2つを私は今回初めて知りました。
●「焼き餅を焼く」を「甚助(じんすけ)を起こす」とも言うなんて、私は知らなかった〜
コロケーションって便利ですね。
その一言があれば、くどくど説明しなくても伝わるものがあります。
ただし、本来の意味とは微妙にズレた言い方をすると、「あの人は教養がない。言葉の使い方を知らない」と笑われてしまうでしょう。
人前で恥をかくことのないようにしなければ!!
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コロケーションを扱うときのルールはただ1つ。
「昔から言い習わされてきたとおりに従う」ということだけです。
そのようにして言葉を知れば知るほど、話すのも書くのも自由自在になっていきます。
頭を整理しながら自分の思いや考えを的確に伝えられるので、いつも気分よく過ごせます。
仕事や人間関係にきっと良い影響があるでしょう!!