暮らし歳時記

夏バテ予防のカギは自律神経・睡眠・汗・水・ビタミンB1

投稿日:2017年6月27日 更新日:

日本の夏は高温多湿。
そのため、

体がだるい

食欲がない

よく眠れない

といった不快な症状に悩まされることがあります。

しかし、暑さで体がだるくなるのは、

「あまり動き回らないでね。熱くなった体の熱を外に逃がすのは大変なんだよ」

と体が警告を発しているからで、これは自然な生理現象のひとつなのです。

警告を無視して体を酷使すると、食欲不振や不眠、全身倦怠がひどくなります。

そうなるともう明らかに、夏バテですね。

夏バテを予防する方法、また、夏バテかなと思ったときにすばやく立ち直る方法として、次の5点が挙げられます。

●冷房の効きすぎによる自律神経の乱れを防ぐ

●早寝早起き、規則正しい生活リズム

●軽い運動をして発汗能力を高める

●水分をしっかり補給する

●栄養バランスの良い食事をとる

●夏バテ予防と改善の5箇条

●冷房の効きすぎによる自律神経の乱れを防ぐ

冷房が効いた部屋から炎天下に出る。
暑い屋外からひんやりした屋内に入る。

↑このように急激な温度変化を何度も繰り返し体験すると、体温を一定に保つために自律神経がフル稼働した末に疲弊してしまい、バランスをくずします。

すると、いやでも体調不良になります。

体がだるくてしかたない、食欲がない、よく眠れないという状態は、自律神経の働きが弱っていることが原因なのです。

暑さにうだってしまわないよう、エアコンを適度に活用することは必要ですが、血行不良による手足の冷え、ひどい場合には頭痛、めまい、腰痛、胃腸障害、生理不順などを引き起こすこともあります。

対策として、

エアコンの設定温度は約28度を目安とし(外気温よりも4〜5度低め)、
冷風が直接体に当たらないようにすると良いですね。

また、暑いところからいきなり、冷房がガンガン効いた室内に入ることはできるだけ避けましょう。

汗が引くまで待ち、
汗を拭き取ってから入るようにすれば、体の冷えを防ぐことができます。

外出先や職場では自分の思うようにエアコンの温度調節ができないため、

カーディガンや厚手のソックス、大判スカーフなどを用意しておき、
手足や腹部・腰部などを冷えから守ってください。

●早寝早起き、規則正しい生活リズム

自律神経の乱れを修正するために必要なのは、規則正しい生活リズムと睡眠です。

午後10時から深夜2時にかけての4時間は、疲労回復のゴールデンタイムといわれています。

早寝早起きを習慣にすると、自律神経は快調になるのです。

快適で質のよい睡眠がとれるよう、エアコンや扇風機を上手に活用しましょう。

エアコンは、気温28度に設定すると良いでしょう。

ただし、一晩中かけ続けると、寝ている間に体が冷えてしまうことがあります。

1〜2時間でスイッチが切れるようにタイマーを設定し、
エアコンや扇風機の風が直接体に当たらないように工夫することも必要です。

夏場は気分が解放的になるので、つい夜更かししてしまうということもあるでしょう。

そんなときは、昼寝をして睡眠不足を補ってください。
とにかく、疲労をためないようにすることが大事です。

●軽い運動をして発汗能力を高める

汗をかくと、その汗が蒸発するときに、肌の表面から熱を奪い、体温を下げます。

私たち人間の体は、汗をかくことにより体温調節をすると共に、全身のコンディションを整えているわけです。

逆にいうと、暑くても汗をかけない体は、セルフ調整機能が低下しているということです。

一日中エアコンの効いた部屋にいるからあまり汗をかかないというのも、体に良いことではありません。

思い切り汗をかける体にしていきましょう。

軽い運動を15〜20分ほど行なうことにより、汗腺が開いて汗をかきやすくなります。

ゆるやかなペースでのジョギング、少し早足のウォーキング、ラジオ体操、ストレッチなど、自分に合った方法で体を動かしてください。

発汗能力を高めることもまた、自律神経を整えることにつながり、夏バテ予防の効果を期待できます。

注意してほしいのは、炎天下を長時間歩いたり、激しい運動をするなど、無理をしないこと。

気温がまだそれほど高くない早朝のウォーキングやラジオ体操などが良いですね。

日中ならば、室内または風通しのよい木陰で体を動かすようにしましょう。

夕方以降のお散歩やジョギングも良いと思います。

●水分をしっかり補給する

汗をかいて体から失われた水分を補ってやらないと、発汗が止まってしまい、そのため体温が異常に高くなります。

↑これが、いわゆる熱中症です。

熱中症を予防するポイントは「早めに」「こまめに」水分補給をすることです。

喉の渇きを感じるときには、すでに脱水症状が始まっているのだと思ってよいでしょう。

「血液が2%濃くなると喉が渇く」

ともいわれています。

喉が渇く前に、少しずつこまめに水を飲むことが大切です。

乳幼児や小学生の子供たちは発汗調節機能や体温調整機能が未発達な段階にあるので、水分補給を怠らないように、そばにいる大人が注意してやりましょう。

高齢者の方は「喉が渇いた」と自覚するまでに時間がかかることが多いので、よく気をつけて水分補給を促しましょう。

また、高齢になるにつれ動脈硬化の症状が進み、高血圧によっても動脈硬化は加速されるので、高齢者の水分不足には十分に気をつけなければなりません。

子供や高齢者にかぎらず、外出時は大量に汗をかいて水分が失われやすいので、ペットボトルの水を持ち歩き、こまめに喉を潤すと良いですね。

寝ている間も大量の汗をかきますから、就寝前に、コップ1杯程度の水を飲むようにすると良いようです。

ビールなどのアルコール飲料は利尿作用があるため、水分補給どころか、むしろ逆効果になってしまうことがあります。

お酒を飲んだあとは水を飲むようにしましょう。

市販のジュースや炭酸飲料などを常飲すると糖分の摂りすぎにつながり、また胃腸の働きが低下して食欲減退や消化不良となりやすいので、あまりオススメできません。

経口補水液やスポーツドリンクは塩分や糖分を適度に含んでいるので飲みやすく、水分吸収率にも優れているので、これを活用するのは良いようです。

家庭で手作りする場合は、1ℓの水に対して小さじ1/4くらいの塩を加え、レモンの搾り汁などで好みの味付けをしましょう。

●栄養バランスの良い食事をとる

夏は素麺や冷や麦など、ひんやり・あっさりしたものを食べたくなります。

しかし、冷たいものを飲んだり食べたりすると、それだけで胃腸の働きが弱まります。

また、素麺や冷や麦だけの食事では、栄養バランスが著しく偏ります。

体が必要としているタンパク質を摂るために、肉、魚、大豆製品などを食べるようにしましょう。
ビタミンやミネラルを含む野菜や果物も積極的に取り入れましょう。

●ビタミンB1が不足すると疲れがとれない、むくむ、太る


ビタミンB1は、糖質がエネルギーに変わるときに必要な「補酵素」というものの役割を果たしているそうです。

ですから、ビタミンB1が不足すると、糖質のエネルギー代謝が滞るとともに、疲労物質である乳酸がたまっていきます。

エネルギー代謝が滞ってエネルギーが不足してくると、 脳の働きにも影響が及び、やる気が起きない、集中力が続かない、といったことになりやすいのです。

さらには、糖分が十分にエネルギー変換されずにいると、脂肪へと変わってしまうため、肥満の元となります。

ビタミンB1は、心と体の健康、そして美容にも欠かせない栄養素です。

ところで、体内のビタミンB1消費量は気候により異なるということを知っていましたか。

気温15℃のときと35℃のときとを比べると、後者の場合はビタミンB1の消費量が約3倍になるとされています。

夏場は大量のビタミンB1を必要とし、そのため、不足しやすいのです。

●脚気にも注意を

昔は今ほど食糧事情がよくなかったため、とにかく米をたくさん食べてお腹を満たすというのが一般的でした。

しかし、米だけでは栄養十分といえません。

特に夏場はビタミンB1が不足しがちなので、脚気にかかることが珍しくなかったようです。

脚気の初期症状は、食欲不振、手足のしびれ、むくみなどです。
深刻なケースになると、歩行失調や意識障害を起こすこともあり、急性心臓麻痺で死亡する例もあったそうです。

Wikipediaより引用

脚気(かっけ、英: beriberi)は、ビタミン欠乏症の一つであり、ビタミンB1(チアミン)の欠乏によって心不全と末梢神経障害をきたす疾患である。

心不全によって下肢のむくみが、神経障害によって下肢のしびれが起きることから「脚気」の名で呼ばれる。

心臓機能の低下・不全(衝心(しょうしん))を併発したときは、「脚気衝心」と呼ばれる。

脚気というのは古くからある病気で、平安時代には、皇族や貴族をはじめとする上層階級に多く発症したとされています。

当時の農民たちに脚気の症状があまり見られなかったのは、ヒエ・アワ・キビといった、いわゆる雑穀類を主食としていたからでしょう。

ヒエ、アワ、キビは旱魃(かんばつ)に強く、肥沃とはいえない土地でも栽培できるので、救荒作物(きゅうこうさくもつ)として利用されてきました。

しかし、満足な量を食べられるだけの余裕がなければ、栄養失調により病気にかかったり、早死にします。

およそ平安時代の子供の平均寿命は7歳くらい、大人もせいぜい30歳程度、あるいはもっと短命だったとされています。

それでも、ヒエやアワやキビは、いずれも栄養に富み、タンパク質、マグネシウム、亜鉛(あえん)、鉄、ビタミンB群を多量に含んでいますので、脚気だけは免れ得たのでしょう。

対して、上層階級は雑穀類など口にせず、もっといいものを食していたために、脚気を患うことになってしまったというわけです。

江戸時代には、米を精白して食べる習慣が広まりました。

ただし精白米はまだまだ高級品だったため、将軍をはじめとする上層武士にのみ許される贅沢品だったようです。

贅沢とはいえ、白米は、栄養面では玄米に劣ります。

殊に、ビタミンB1含有量は4分の1以下です。

となると、まずは上層武士に脚気が多発したのも当然の成り行きですね。

やがて町人たちの間にも白米がいきわたるようになると、下肢のしびれを訴える人が増え続け、この脚気という病は「江戸患い(えどわずらい)」とも呼ばれるほどでした。

しかし、米ではなく蕎麦を食べるようにすると快復に向かうことが経験的にわかっていたので、漢方医学では蕎麦食を療法としていたとのこと。

蕎麦はビタミンB群を豊富に含むので、脚気予防に効果あり、です。

「蕎麦がき」1人前(そば粉100g)に含まれるビタミンB1は、成人1日当りの必要量の約40%を補給できるとされています。

江戸時代も中期以降になると、うどんよりも蕎麦が好まれたそうで、そういえばたしかに、蕎麦は落語にもよく登場します。

蕎麦が大流行した背景には、ビタミンB1を多く含む蕎麦を食べることで脚気を予防したという歴史的事実があったのですね。

●夏バテ予防に豆類、豚肉、ウナギが効く

ビタミンB1を多量に含む食品を食べましょう。

蕎麦、玄米、胚芽米、豆類、豚肉、ウナギなどです。

暑い日のランチはざる蕎麦、たまに鰻重で豪勢に、というのもいいですね。

枝豆でビールを一杯、というのも理にかなっています。

そして夕飯は、できれば白米ではなく胚芽米や玄米を食べるとよいのでしょうが、炊きたてのおいしいご飯をあきらめることはむずかしいので、ビタミンB1を多量に含む食品をおかずにしましょう。

豚肉のニンニク風味焼き
野菜炒め
豆腐の冷や奴

なんていう組み合わせにするとよさそうです。

●サプリメント摂取は適量を心がけて


ビタミンB1は水溶性ビタミンなので、必要以上に摂取した場合は、尿や汗と一緒に体外に排出されます。

ただし、1日あたりの摂取推奨量(男性1.4㎎、女性1.1㎎)を大幅に超え、たとえばサプリメントなどにより1日3000㎎超のビタミンB1を慢性的に摂取し続けた場合には、頭痛、イライラ、不眠、かゆみを伴う皮膚炎などを発症することがあるそうです。

↑そんな場合も、サプリメント摂取をやめると2日ほどで快復するとされています。

蕎麦、玄米、胚芽米、豆類、豚肉、ウナギなど通常の食品であれば、摂取量も自ずと限られるので、過剰症になる心配はまずありません。

●まとめ

夏バテ予防に、次の5点を心がけましょう。

・冷房の効きすぎによる自律神経の乱れを防ぐ

・早寝早起きを心がけ、体を休める

・軽い運動をして発汗能力を高める

・不足しがちな水分をしっかり補給する

・栄養バランスの良い食事をとる
↑特にビタミンB1の摂取が大事
↑夏バテはもちろんのこと、脚気を予防することもできます。

関連記事→カレーは薬膳。スパイスが胃腸を癒やして活力増進

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