文章構成術

文章構成術/パラグラフ(段落)の作り方

投稿日:2018年8月12日 更新日:

段落(パラグラフ)とは、「あるひとつの話題に絞って述べた文の集まり」のことです。

文章に段落がないと、話の流れを読みづらく、また、内容を把握しづらいので、読者に負担がかかります。

「この話はこれでおしまい。一段落つけて、次に行きますよ」

と読み手にうまく伝えられるようになるといいですね。

今回は、上手な段落の作り方についてご説明したいと思います。

1つの段落をどれくらいの長さにするのが適切か

段落とは本来、関連性のある文をひとまとめにするために設けるものなので、長短は問いません。

段落を区切る必要があるのは、話題を転換するときです。
ですから、ひとつのことを語りきるまでに文をいくつも連ねる必要があるならば、そのようにしていいのです。

といっても、1つの段落が長々と続くと、読者に飽きられてしまいます。

そこで──

「Aグループの中でも1に関することは1の段落で」

「2に関することは2の段落で」

というように、情報をできるだけ整理して書き、適度なボリュームで段落を改めることをおすすめします。

「情報伝達を目的とする実用文の場合は、1つの段落を3〜5つの文で構成し、全体で200文字前後におさめるのが適切」

といわれています。

5文以内でひとつのことを語り切り、次にまた新たな段落を設けて、5文以内でひとつのことを語り切る。
というようにしていくといいのですね。

段落をいくつ設けるのが適切か

文全体に段落をいくつ設けると適切かは、ケースバイケースです。

「序破急」の展開で書く短文ならば、3つの段落でよいでしょう。

●序破急

導入部

展開や転換が起きる

結末

「起承転結」の展開で書くならば、少なくとも4つの段落が必要です。

●起承転結

これから述べることの総意を簡潔に伝える

具体例を挙げるなどして、「起」を補足する

話題や視点を変える

「転」で述べたことを踏まえて、結論を述べる

●序論→本論→結論

「序破急」も「起承転結」も基本構造は同じで、

序論→本論→結論

という流れにすると読みやすくわかりやすい文になります。

「序破急だから3つの文、起承転結だから4つの文」というわけではなく、複数の文を連ねることがほとんどです。

3文(または5文)を超え、その話題に関することはすべて語りきったなら、段落を改めて次の話題に進む。

というようにするとよいですね。

「Aグループの中でも1に関することは1の段落で」

「2に関することは2の段落で」

というように、情報をできるだけ細かく仕分けして、ひとかたまりずつ書いていくことをおすすめします。
そうすれば、読み手にとって読みやすく、伝わりやすい文になります。

段落と段落をうまくつなぐには

段落と段落のつながりを意識することも大事です。

●話が行ったり来たりすることなく、流れがスムーズ

●内容に矛盾がなく、首尾一貫している

↑この2点をクリアして、理路整然とした文にしていきましょう。

具体的にどうすればよいかというと──

1.マクロ視点から全体を俯瞰しながら書く。

2.文全体の中で最も強調したい部分(中核部)を決める。

3.中核部を中心として、論拠を示す文を配置し、中核部を補強していく。

↑中核部を補強するには──

●例示/中核部を詳しく説明しうる具体例や類似例、または数字データを挙げる

●比較・対照/視点を転じて、反対例を挙げる

●念押し/中核部で訴えたかったことのエッセンスを、最後にもう一度繰り返す

などの方法があります。

↑このときに注意してほしいのは──

●段落ごとに論点をひとつに絞る

●論点と関係のないことは一切書かない

●話題や視点が変わるときは新しい段落を立てる

ということです。

●まとめ


「情報を整理し、段落ごとに話をまとめる」ということを意識して書いていきましょう。

最初からうまくいくことはほとんどなく、とっ散らかった文になってしまう場合もあるでしょうが、あまり気にすることはありません。
少し時間をおいて読み返し、手直しすればよいのです。

パソコンのコピー&ペースト機能を使えば、文の並べ替えが簡単にできます。
段落ごとズボッと入れ替えることも可能です。

●話が行ったり来たりすることなく、流れがスムーズ

●内容に矛盾がなく、首尾一貫している

そんな素敵な文にしていくことができます。

蛇足ながら、新たに段落を作るときは、「改行」をして、次の行の冒頭を「一文字下げる」というのがお約束です。

ただ、ネット上の文では頻繁に「改行」がなされることが多いので、必ずしも「次の行の冒頭を一文字下げる」必要はないようです。

関連記事→基本フォーマット12種類

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